22.軍に勧誘される。
連戦連勝でだいぶ金の溜まった二人を軍の人間が尋ねてきた。
「なんかよう?」
クリスが酒のジョッキを傾けながら偉そうにしている相手を睨み付けた。
「君たちがここ一週間以上、連戦連勝している二人だと聞いたんだが。」
いかつい顔をして軍服をきたおっさんが二人に話しかけてきた。
「確かに負けたことはないがそれが・・・。」
ヒューもなんで彼らがここにやって来たのかが理解出来ずうるさそうに睨み付けた。
「君たちを正式に軍の第七部隊として雇いたい。」
「「第七部隊?」」
ヒューとクリスは聞いたことのない名前にお互い顔を見合わせた。
チケット売り場のおっさんがいつの間にか二人の所に来て、その第七部隊の概要を説明してくれた。
どうやらその部隊は今まで通常の軍人では絶対出来ないような特殊なことを数々こなしてきた伝説の部隊のようだ。
なんとも胡散臭い話だ。
そんな話を聞いても予想に反して二人は興味なさげな態度だった。
これには逆に勧誘に来た軍人のおっさんの方が慌てていた。
「君たちは軍に入りたいんじゃないのか?」
「別に入りたい訳じゃない。」
ヒューが冷たく言い放った。
「じゃあなんでトーナメントに出ているんだ?」
「「暇つぶし。」」
二人が同時に呟いた。
周囲にいた全員が絶句していた。
「あんたら暇潰しでこれだけ稼いだのか?」
チケット売り場のおっさんが目を丸くしている。
「まっそれはおまけみたいなもんかな。」
クリスがそう答えれば周りにいた熟女たちが熱い視線でみつめてきた。
ちょっと今のセリフ聞いた。
本当素敵ね。
いいわぁ。
ザワザワと囁き合っているようだ。
しばらく呆けていた軍人たちはハッと我に返るとさらに問いかけてきた。
「なら君らは何がしたいんだ。」
他の軍人も二人の机に手を着くとすごい勢いで問いかけて来た。
「将軍に会えるならいいぞ。」
ヒューがうんざり顔で酒が入ったジョッキを一気飲みするとすごんでいる軍人たちに答えた。
「俺も副将軍に会えるならいいよ。」
クリスも同じようにジョッキを一気飲みしてヒューに同意した。
その話を聞いておっさん軍人たちはほくそ笑むと二人に書類を渡し、明日の朝、軍の訓練場に来るように言い放つと去って行った。
「あんたらすごいなぁ。俺は何十年もこの仕事をしているが軍の連中が直接勧誘に来たのを見たのは始めてだ。」
チケット売り場のおっさんはそう言って感心しながら頷くとひとしきりしゃべり続けてから売り場へ戻っていった。
おっさんが元の売り場に戻った所でクリスがヒューに声をかけた。
「あの右のヤツ、昨日ヒューが剣をへし折った男ですよね。」
クリスがヒューを見てチーズをつまみながら指摘した。
「それを言うなら左側の奴はお前がコテンパンにのした男だったな。」
ヒューは皿に乗っていた肉片をつまみながら返した。
「見たいですね。でもあれで軍人なんて・・・。俺はジェシカが心配でたまらないですよ。」
「まっそれを言うなら俺もだ。あんなんじゃメリルの盾にもならん。そう思うと心配で気がおかしくなりそうだ。」
二人は周囲の人間が考えているのとは違う斜め上の事を心配していた。
それから二人は勧誘に来た軍人のひ弱さを一通り酒を飲みながらあげつらった後、部屋に戻った。




