17.予感
王都にある軍の訓練場で部下の訓練をしていたメリルは突然 寒気を覚えた。
なんだいまの身震いするような悪寒は?
「どうかしましたか、メリル将軍?」
隣で部下の訓練を直接指導していたジェシカがメリルを心配して近づいてきた。
「いや なんでもない。なんでか急に寒気がしたんだ。」
メリルの発言にジェシカが大慌しながら置いてあった上着を差し出した。
「大丈夫ですか。無理だけはしないでくださいね。」
「ああ、無理はしない。そろそろ変わろう。」
メリルはそう言うとジェシカが渡してくれた上着を羽織ると兵士の指導を変わった。
少し心配そうにメリルを見ていたジェシカもそのすぐ後同じように悪寒に身まわれた。
なんでかわからないが寒気がする。
疲れ?
それほど忙しかった記憶がないがジェシカも一応脱いでいた上着を羽織った。
そこに王宮から親書を持った兵士が訪れた。
「副将軍。陛下よりの親書です。サインをお願いします。」
ジェシカはうんざり顔で信書を受け取りサインをした。
この頃の王子は頭が回るらしく陛下に根回しして王よりの親書として将軍宛に舞踏会出席の招待状を送りつけて圧力をかけてくる。
さすがにメリルも自分の異母兄の息子それも現王からの招待状では断ることができないようで前回もブチブチ言いながら出席していた。
今回も出席するしかないでしょうね。
まったく面倒な。
ジェシカは気乗りしないながらもメリル様のドレスの発注や訓練スケジュールの変更を頭に入れた。
自分も同行しなければならないが行けばあのめんどくさい宮廷魔導士の相手もしなければならない。
ふと空を見上げて恨み言を呟いた。
早く迎えに来ないともう二度と会ってあげないからねクリス!
「副将軍。」
空を見上げていたジェシカの隣に直属の部下がやってきた。
「雨ですか、副将軍?」
部下が心配して近寄ってきた。
「ここじゃあないけどね。」
「はっ?」
ジェシカの言葉に何を言われたかわからなかった部下がもう一と聞き返してきた。
「いや何でもない。今日の訓練後少し残ってくれ隊長。少しスケジュールを組み直す。」
「畏まりました。」
彼は敬礼すると将軍に手合せしてもらいに列に戻っていった。
ジェシカから見てもメリルの剣技は美しい。
思わずうっとりしてしまう。
ジェシカは空を見上げてもう一度呟いた。
ヒュー様。早く迎えに来ないとメリル様を獲られますよ。
その日の空は恋人のクリスの瞳のようにどこまでも青く澄み渡っていた。




