14.出発
隊商のリーダーらしき人物が二人の前に来ると問いかけて来た。
「あのー、よろしければあっしらもこれから王都に向かいますので、ご一緒にどうですか?」
「それは本当か?」
ヒューは思いがけない誘いに隊商のリーダーを見た。
「はい。あなた方のように腕っ節の強い人間とご一緒できるなんて助かります。よろしくお願いします。」
そこに宿の主人がボトルを持って現れた。
「良かったですね旦那方。これは宿からのサービスです。」
「ほう。これはうまそうだな。」
ヒューは飲みかけの酒を一気に飲み干すとグラスを空にした。
主人はそこに持ってきた酒を注いだ。
「伝言板を預けていった方々も良く飲まれていましたよ。」
クリスはその話にヒューと同じように飲みかけの酒を一気に飲み干すとグラスを空にした。
「俺にもその酒をくれ。」
「もちろんです。よろしければ手土産用にあと何本か用意しましょうか?」
「ああ、頼む。」
ヒューはそう言うとまた酒に口をつけた。
さっぱりしていて後味も良い。
いかにもメリルが好みそうな酒だ。
隣を見るとクリスも幸せそうな顔で酒を味わっていた。
二人は宿の主人が勧める酒を食事が終わった後、喜んで手土産用にたくさん購入した。
翌日。
食堂で約束した隊商と一緒に宿屋を出ると彼らが仕入れた荷物を荷馬車に積むのを手伝い、砂漠に向かった。
王都はこの砂漠を抜けた先にあるようだ。
「旦那方は砂漠は初めてですか?」
荷物を積みながら隊商のリーダーをしている男が聞いてきた。
「まあそうだな。見たことはあるが荷馬車で超えるのは初めてかな。」
クリスの回答にヒューは隣で苦笑いをした。
確かに今までは砂漠の上を飛んで越えていたからな。
「まあ、大丈夫ですよ。この荷馬車には水もしこたま積んでますんで、安心してください。」
「心強いね。」
クリスはそう返すと首都だと思われる方をぼんやりと眺めた。
ジェシカ、もうすぐそっちに行くからな。
ヒューは王都の方向を熱い眼差しで見ているクリスに気がついた。
ふと自分も同じよう用に王都を見ながらメリルのことを考えていた。
メリル待っていてくれ。
すぐに会いにいくからな。




