13.王都に向かう隊商
二人が食堂の端に座って食事をしていると何だか胡散臭そうなごつい体つきをした連中が入って来て、店主に食事と酒を頼んだ。
そのまま見ているとどうやら中央に座っている金持ちの商人たちを気にしているようだ。
商人たちは何も気づかずに酒と食事を楽しんでいる。
何かの隊商のようで同じような恰好をした人間が周囲のテーブルを囲んでいた。
そこに胡散臭い連中が通路を歩いてきた男の足を引っ掛けて、いきなり難癖をつけ始めた。
「おいおいおい。酔ってるからっていきなり酒を浴びせるっていくらなんでもひど過ぎないか。だんなぁ。」
「いや今のはあんたらがいきなり足を・・・。」
商人風の男が真面目に返答すると
「ああ!おれらのせいっていうのかぁー。」
なんとも見ていて酒がまずくなる光景にクリスは立ち上がると男の襟首を抑えた。
「なにしやがる?」
男が振り返って襟首の手を外そうとするとクリスは逆にその手を取って捻り上げた。
イテテテテテッ
「なにしやがる!」
「酒が不味くなるから黙れ。」
クリスはそう言うと手を離した。
男は放された手をさすりながら今度はヒューが座っている席に難癖を付けにきた。
「あんたらこんなことをしてどうなるのか、わかってるのか?」
クリスとそれまで黙って食事をしていたヒューも顔を上げた。
「おい。あんたら俺たちが誰かわかって難癖つけているのか?」
「いや知らないな。」
ヒューの素直な一言に男たちが全員顔色を変えた。
「なんだと。」
一人が凄んでヒューの襟首を掴もうとしてさっきのクリスと同じように逆に腕を取られ捻り上げられる。
イテテテテテッ
「ああ、ここはちょっと狭いから外で話そうか。」
ヒューは穏やかにそう言うと男を引きずってドアから出て行った。
慌ててその後を胡散臭そうな連中が追いかけ、クリスも同じように外に出た。
そこでは先程の男が大の字で伸びていた。
後から来た胡散臭そうな連中もそれを見てヒューに掴み掛っていった。
ヒューか軽くかわすと相手の鳩尾に拳を握って一撃を入れた。
ものの五分もかからず全員が外に伸びていた。
「ヒュー。最初やり出したのは俺なんだから、少し残しておいてくださいよ。」
「すまん。まさかこんなに弱いとは思わなかったんだ。」
身もふたもない会話を二人はすると胡散臭そうな連中をそのまま外に放置して、食事の続きをするべく宿の食堂に戻った。
そこには先程絡まれていた隊商の連中がこちらを興味津々の目で見つめていた。
そこに二人が無傷の状態で現れたので大騒ぎになった。
「あの連中はどうしたんだ?」
「疲れたようで外で寝ている。」
ヒューは状況をそのまま述べた。
食堂で食事をしていた連中が全員息を飲んだ。
一人が食堂を飛び出して外に駆けていった。
ヒューとクリスはそれを無視して先程食べかけていた食事を再開した。
すぐに外の様子を見て帰ってきたお客が状況を詳細に説明する。
全員が確かに外で殴り倒されているのを知って、隊商の商人たちが二人の机にやってきた。
「あのー危ない所を本当にありがとうございます。」
先程絡まれていた商人が帽子を手にぺこぺこと頭を下げた。
「いや別にこれといって大したことはしてないから気にしないでくれ。」
ヒューはそう言って持っていた酒を飲んだ。
「でもそれじゃ俺達の気がすみません。何かお返しがしたいんですが?」
「急に言われても・・・。」
ヒューは考え込んでしまった。
それを見ていたクリスがハッとして商人たちに問いかけた。
「ちょっと知りたいんだがあんたらの仲間の中に王都に行く予定の隊商はないかな。俺達これから王都に向かう予定なんだが生憎二人とも馬に乗れなくて困っているんだ。」
クリスの話に商人たちはお互いの顔を見合わせた。




