2歩進んで本能
短いですが、投稿です
窓に寄りかかって増えていく人を眺める。
さっき、転生って言ったけど。
転生って死んで生まれ変わることだよね。
私は死ぬようなことしてないはずなんですけど。
死んだ自覚はないし、よくある前世の記憶がぁ!ってわけでもない。
「うーん?私死んだの?」
それはひとまず置いとておこう。
これから先どうするかだよ。
私は幼女だ。
ってことは親がいて私を養ってくれているはず。
このまま、娘として養ってもらえば衣食住に関しては大丈夫だよね。幼女でよかったぁ。
さて、ここからが問題なんですのよ、奥様。
何が問題って私は幼女のことが何一つわからないんですよ。
名前もわからないし、ましてや誰が両親なのかもわからない。
黙って様子見したいとこだが黙っている子供ほど怖いものはない。
ある時を境に態度が変わる娘、不審がる両親。
食い違う意見。始まるDV。
そして家庭崩壊。
嫌だ、そんな昼ドラは全力で遠慮するわ。
それに、せっかくゲームの中にいるなら楽しみたいじゃないか!
せめて名前が分かればなぁ。
私の創ったゲームだから名前さえわかればどんなポジションなのか大体わかる…と思う。
これがモブだったらどうしようもないんだけどね。
「!?」
背後からガチャンと何やら硬いものを落とす音が聞こえた。
だ、誰だ!?背後からとは卑怯だぞ!
「メノウ…?」
呆然としている美女が立っていた。
足元にはさっき落としたと思われるスープやパン、食器類が散らばってる。
「ママ?」
口が勝手に動く。
え?この人、私のお母さんなの?
私のお母さんはこの人じゃない。
『ママ』
でも、私のなかの何がママだと言ってる。
確かによく見てみると目元が幼女の私に似ている気がする。
もう一度呼んでみる。
「ママ」
うん、しっくりくる。
雛の刷り込みたいな感じたわ。
本能がママっていってる。
この美人さんはこの世界の私のお母さんなんだ。
ママがわなわな震えている。
おまけにきれいな目から涙がポロポロ流れてる。
なぜ泣く!?
ヤバい、ママ呼びが不自然だったかな?
やっぱりお母さんだったの?
まさかの事態にオロオロしていると荒々しい足音が聞こえてきた。
「どうした!アリア」
部屋に入って来たのは紅い目のしたマッチョな男性でした。
すごい肉体美だね。
『パパ』
またもや頭の中に声が響く。
どうやら、このマッチョはこの世界の私のお父さんらしい。
ってことは、この二人は夫婦か!
美女と野獣って感じで萌えるぞ。
薄い本即興で作れる気がする。
「あなた…!メノウが!」
「!!」
パパ?が私を見てとても驚いた顔をした。
嘘だろとか呟いてるけど何に驚いてるの一体。
やめて。その反応、色々私のHPがへってくだろ。
「夢じゃないわよね!?メノウが立ってるわ」
「…夢じゃねぇ、あの子が立ってる」
どうやらこの両親は私が立ってることに感動してるらしい。
みんな1歳越えれば個人差はあるけど立てるようになるからね!
ましてや、多分この体型からだと私は3歳児である。
もしかして、今まで私立てなかったの?
そういえば私の足がプルプルしてる気がする。
「わっ!」
ママが駆け寄ってきてぎゅっと抱きしめられた。
美人なだけあって体もボンキュボンだわ。
「偉いわメノウ。さすが私達のメノウだわ」
「良くできたな」
パパも紅い目を細めて頭をなでてくれる。
わーい、パパイケメン!
DVとか言ってごめんね。
ところで、さっきから連呼されてる『メノウ』とは私のことでしょうか?
メノウ、メノウ…?
あれ?どこかで描いたことがあるような?
次回、攻略キャラだせるかも
かもです(´・ω・`)