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初めてで連載書こうとするバカですが生暖かい目で見ていただけるとうれしいです。
「ただいま~」
暑い日射しの中家の玄関を開けて手早く靴をぬぐ。
あまりの暑さに溶けるかと思ったわ。
今日から夏休みだからもう外には出ないぞ。
私の声を聞いたのかリビングからひょこっと弟の郁斗が出てきた。
「…お帰り。姉ちゃん、珍しく帰ってくんの早いな」
「今日、悪友が遊びに来るから早めに帰って来たの」
「部活は?」
「先生会議だから部活ないよ」
「ふーん…」
「あ、ちょっと待った」
興味なさそうにリビングに引っ込もうとする郁斗にを捕まえる。
姉を見てそんな嫌そうな顔するなよ。
傷つくだろ、私のハートはガラスのハート並みにもろいんだぞ!
もっちろん、嘘です、はい。
そこまで耐久性のないハートなわけはありませんよ。防弾ガラスと同じぐらいだと自負してる。
「郁!ちょっとジュース持ってきてよ」
「はぁ?めんどいんだけど」
「お願い、これから悪友も来るからついでにおやつも作って。じゃ、よろしく」
「あ、ちょっと待てよ!」
拒否されてしまう前にさっさと部屋に駆け込む。
なんだかんだ言って郁斗は優しいから面倒だとか言いながら作ってきてくれるでしょ。
口は悪いんだけどやることはツンデレまがいなんだよね。
それにしても私の弟は家庭的だ。
郁斗は男のくせに料理が上手いんだよね。
お裁縫も上手いし、家事は何でも御座れだ。
なんか姉としても女としても負けてるきがする。
あれ、目から汗が…
防弾ガラスとか言っておきながらもろいとか言っちゃ駄目だ。
「やばっ!時間ないわ」
ふざけてる場合じゃないぞ。
時計を見ると悪友来る時間まで5分ぐらいしかない。
急いでクーラーとパソコンの電源をつける。
悪友が来る前にゲームをインストールしないと。
私の悪友は待たされるのが大嫌いなんだよ。
待たせようものなら私はインストールの待ち時間に
フルぼっこにされるだろう。
マジ怖い。ガタブルものだよ。
ちゃっちゃと制服を脱ぎ捨てタンクトップに短パンへと着替えてゲームをカバンから取り出してディスクに入れる。
ちなみに今からインストールするゲームは私と悪友が作ったですよ!
データが消えるとか電気代上がるとか色々あったけど無事に完成しました。
そして、今日製作した悪友と集まって私の家でプレイするのだ。
ん?何のゲームかって?
よくぞ聞いてくれました。
なんと、乙女ゲームなんですよ!
その名を『瑠璃色の薔薇』
厨二病とか思った奴、挙手しろ。
大丈夫、私も考えててイタいと思ったから。
魔法学園もので王子がいたり次期マフィアの当主がいたり学園内で内乱があったりとイベント盛りだくさんに作りました!
各ルートによってまちまちだけどモブも主人公に負けず劣らず可愛いく描いたからね。べっぴんさんだよ!
ストーリーは悪友担当。
キャラクターの絵やスチルは私が担当した。
頑張ったよ~、締め切りないのに泊まりがけの徹夜したんだから。
「え?…なにこれ?」
パソコンの画面が黒く光る。
真っ黒なのに光ってる。
そこに浮き出た白い文字。
《プレイヤー残り3名》
ガチャ
パンケーキとジュース二人分をお盆にのせ部屋を開けた郁斗。
「姉ちゃん、できたぞ…あれ?姉ちゃん?」
部屋を見回してみるが。部屋の主である姉、楓がいない。
「人に作らせておいて、どこいった。あのバカ姉」
一人愚痴り郁斗はパソコンの横にあるテーブルにお盆を置いた。
そして、パソコンの黒い画面に気づくことなく部屋を出た。