エピローグ
ガーラント王都から少し離れた場所には、聖域と呼ばれる森が存在する。
精霊の森とも呼ばれるその森には、初代国王エルフィンの命において、王族と教皇以外の立ち入りは一切禁止されており、万が一立ち入った場合は、問答無用で死罪が言い渡される。
許可された王族でも余程の事がない限り立ち入る事は出来ず、何故立ち入り禁止となっているのか、この森の奥に何があるのか、それを知っている者は極僅か。
長く人が立ち入らない森の奥には、ひっそりと人工の建物があった。
外壁は崩れている場所もあり、蔦は絡みいつ崩れても不思議では無いぼろぼろな建物。
しかし、一端足を踏み入れると、何千年と放置されていたのか疑ってしまうほど綺麗な状態を保っている。
ホコリ一つ落ちていない床に、天井のステンドグラスから差し込む陽射しが美しく光る。
人気の無い静かな建物にふわりふわりと四つの丸い光がどこからともなく現れた。
「………とうとう古の魔法が解放された」
赤く輝く光から人の声が聞こえてくる。
声を発するのは赤い光だけではなく、青、緑、黄の光らも続く。
「彼女の行いは無駄だったという事ね………」
「くそっ、ふざけんじゃねぇぞ、人間共め!」
「けど、まだ完成したわけではいのです。
今なら奴らを始末して、全てを消してしまえは問題ないのです」
黄の発言に青は同意を、緑からもやる気満々の気配が伝わってくる、赤が窘める。
「それは駄目だ」
「何でだよ!」
「我らには調和の王が欠けている。
そんな状態で我らが動けば、ぎりぎり保っている世界のバランスが崩れてしまう」
緑から悔しげな感情が伝わってくる。
「ならばあれに頼めばいいのです。
あの主至上主義の彼なら、死に物狂いで頑張ってくれるのです」
「………それしか方法は無いでしょうね」
それぞれが同意を示した所で話し合いは終わり、ふわふわと浮かんでいた四つの光は音もなく静かに消え去っていった。




