結果発表
風邪を引いてしまったユイは、お店をしている祖父母の負担にならない為、治るまでの間はレイスの家で生活する事になった。
初日は誰が伝えたのか、ユイの病気を聞いたレイスがいつもより早い時間に帰ってきて、シェリナ以上に世話を焼いては邪魔だと執事のジョルジュに部屋から追い出され。
次の日の朝も行きたくないと駄々をこねてジョルジュに無理矢理外に放り出されていた。
その後はルエル達やレイスから話を聞いたロイクとリューイがお見舞いに来たりとしながら数日後には風邪も治った。
そして、登校すると先日の試験結果が張り出された。
そこには同じように見に来ていた生徒達が沢山おり、点数が上がって喜んでいる者や下がって落ち込んでいる者様々だ。
この試験結果は来年のクラス決めにも影響を及ぼすとあって真剣に自分の順位を確認している。
ユイ達は人ごみをかき分け順位を確認する。
「よっしゃー、さすが俺、成せばなる!!」
ゲインは結果が平均以上だったと、上機嫌で喜んでいた。
「うるさいわよ、恥ずかしいから叫ばないでよ」
「良いだろ、小遣い減らされずに済んだんだから。
ところでルエルはどうだったんだ?」
「………次行くわよ」
「………おう」
ゲインはそれ以上追及せず次に上位者の結果を見に行く。
上位者の結果はほとんどがAクラスの名前で占められていた。
四人はその中の二番目に書かれた名前に目を留めた。
「おー、フィニーお前二番じゃないか!」
「あらほんと、というか見事に上位はAクラスばっかりね」
「見下してるHクラスの人に負けたAクラスの人達は、悔しがって歯ぎしりしてるだろうね」
「……性格悪いぞお前」
結果を見ながら話していると後ろから声を掛けられた。
「ユイちゃん」
ユイが振り返るとマルクが立っていた。
「風邪で休んでたみたいだけど大丈夫?」
「うん平気」
「そっか、良かった。
それにしてもすごいんだね二番なんて、Hクラスの人がこんな上位にいるだなんて前代未聞じゃないかな」
「うん、フィニーは頭良いからね」
「そんな人がHクラスにいるなんて何でだろね
筆記試験の実力だけでも、もう少し上位のクラスに行っても良さそうなのに」
「……………そう言えばそうかも」
マルクに言われユイはこの時初めて疑問に思った。
けれどそう思ったのはユイだけではなかったようだ。
「確かに………フィニーは入学試験も普通に受けていたから点数も良かったはずなのにHクラス。
それにユイは状況はどうあれ八強まで行って推薦もらったんだぞ、Hクラスっておかしいよな。
ルエルだって体術と組み合わせた魔法強化が得意でBクラスでも通用するぐらい強い」
「それで言えばあんたもでしょ。
バカだけど魔力は高いからBクラス、最低でもCクラスぐらいでもおかしくないわ」
エリートが集まるAクラスは競争意識も高く教室内は殺伐としていると噂なので、むしろならなくて良かったぐらいで今まで特に不思議に思う事はなかったのだが、考え出したらきりがない程Hクラスでいる事が疑問でならなくなった。
お世辞を言い合っているのではなく、上位に入っていてもおかしくない実力があるのだ。
さすがにAクラスは実技と筆記両方優秀でなくては入れないが、実技さえ良ければCクラス程度には入れるのだ。
その時、ユイ・ルエル・ゲインが何かに思い至ったのか、視線をフィニーに向ける。
「お前何かしてないだろうな?」
「……………やってないよ」
フィニーはにっこりと笑って否定するが笑顔が胡散臭い。
「その間は何だ」
「だめよゲイン、そんな言い方じゃ。
言い方を変えるわ、あんた脅したのね」
「いやだなぁ、 あはははっ。
………脅したんじゃなくてちょっとお願いしただけだよ」
「やっぱりやってんじゃねえか!
言え!いったいどうやって脅したんだ!?」
「あはははははっ」
ゲインはフィニーの襟を掴み揺さぶるが、フィニーは笑うだけで答えようとしない。
「魔法学校ってそこそこ権力あるよね」
「だって、国にも仕える人材を育成する学校なんだからそれなりにあると思うよ」
「はぁ……つまり私達四人が一緒なのは裏で操作されてたって事ね」
「Aクラスなんかに行ったら毎日競い合って、今みたいに楽しくないだろうし、せっかくの学校生活楽しく過ごしたいじゃないか」
そう言ってフィニーはにやりと黒い笑みを見せた。
「………俺お前だけは敵にしたくねえ」




