再会
ペンダントをなくした翌日、学園は休みだったのだが、幸いにも自主的に勉学に励む生徒は少なくなく、休みの間も学園は開放されていて入る事が出来た。
しかし、探す場所の範囲を広げて探してみてもペンダントは全く見つからなかった。
その上、探してる間に雨が振ってくるという災難に見舞われ、朝から暗くなるまで長い間雨に打たれながら探していた事で、風邪を引いてしまった。
しかし、試験最終日で休むわけにもいかず登校する。
「ユイ大丈夫なの?」
「………なんとか」
心配するルエルに大丈夫だと伝えるユイだが、実際は身体はだるく高熱でクラクラしていた。
「そういえば、前にトラちゃんに呼ばれた日、放課後呼び出しにあったみたいだね」
「呼び出しですって!?」
「何でだ?」
フィニーから発せられた情報にルエルとゲインが食いつく。
あの時周りには誰も居なかったはず……ユイは何故知っているんだという目でフィニーを見たが、よくある事なのであえて聞かなかった。
「この間ルエルちゃんに跳び蹴りされた人のファンで、告白されたくせに私が振ったのが気に食わないって」
「あいつどこまでユイに迷惑かけたら気が済むのよ。やっぱり再起不能にしておくんだった!」
今にも暴れ出しそうなほど怒りを露わにする。
「それで、休みの日わざわざ学園に来て、雨の中傘も差さないで何してたの?」
「お前なんで知ってんだよ、ストーカーか!」
「…………」
どこかで見ていたんじゃないかと思うほど行動を把握しているフィニーにゲインがつっこむ。
。
本当にどこから情報を仕入れてくるのか……過去に何度となく追求したが笑ってごまかし決して口を割らないのだ。
すると、試験を始めるため教室に担任のトラヴィスが入って来たので話はそこで終わりを告げる。
「終わったわよ、生きてる?」
「………………なんとか」
漸くすべての試験が終わり、ユイの様子を窺うルエルに、机に突っ伏しぐったりとしながら答える。
「無理そうだね」
「家まで一緒について行こうか?」
「ううん、大丈夫一人で帰れるよ。
それにちょっと用事があるから先帰ってて」
「おいおい、そんな状態で寄り道なんかするなよ」
「ほんと大丈夫だから……じゃあね、バイバイ」
心配そうにするルエル達に別れを告げると、フラフラとした体を引きずりながらペンダントを探しに向かった。
ユイが帰った後、ルエル、ゲインはまだ帰らずフィニーから話を聞いていた。
「ユイが熱出たのはその女達が原因?」
「そうだね、雨の中でもずっと何か探してるようだったらしいから」
「探し物だったら一緒にしたらいいんじゃないのか?」
「そうね、けど一緒に探して欲しいんだったら、あの子ならすぐに私達に言ってるわ」
「あれで頑固だからね」
「それよりその女達よ」
「そうだね。
当然それなりの制裁は受けてもらわないとね………フフフフッ」
「それでこそフィニーだわ、オホホホッ」
「ほどほどにしとけよ」
教室にいた他の生徒達は不気味な黒いオーラが漂う一角を必死で見ないようにしながら急いで教室から避難する。




