第一の神
「異議のある者はこの場に名乗り出よ」
男は言った。
「……」
誰一人としてその場に名乗り出た者はいなかった。
「異議無し。満場一致で第一の神、『時雨 透』を資格存続非対象者とし、神の資格剥奪及び政府認定第一等危険人物とする。なお奴を捕らえた者、もしくは奴の首をここに持って来た者には相当の懸賞金を渡す。以上、解散。」
場にいた者は瞬く間に姿を消した。
時同じくここは第一区。
「よお、畑野のじいちゃん。今日はどのくらい採れた?」
「おお、時雨様。今日はまずまずでごさいます。最近は何分雨が少ないもので。我らも困り果てております。」
「だーかーらー、様は要らないっていっつも言ってるだろ。時雨でいいよ。そうか、大変なんだな。でもごめんよ。今日はあっちを手伝わなきゃいけないんだ。」
「何をおっしゃいますか時雨様。神であるあなた様がお手伝いして下さることさえ本来はあり得ないこと。他の区の者は重税で今にも死にそうでございます。それに比べれば我々は多大な幸せを手にしているというもの。時雨様には本当に感謝しております。」
「そうか。有難な。じゃあ俺行くわ。」
「行ってらっしゃいませ。」
時雨は再び歩き始めた。時雨はこの世界で始めて神の称号を取得した人物であり、第一の神である。故にここ第一区の頭である。その会話を近くで盗み聞きしていた影が二つ。
「なんだあいつ。自分の状況が分かってねーのか。」
「いかがなさる、神よ。」
「まぁ、いいさ。近い内に消してやるよ」
『時雨 透』について話をしようと思います。この小説を書いていこうと思った時に以前思い浮かんだ名前を使おうと思ったのです。それが時雨 透なのです。この小説で一番盛り上がる場面と言えばやはり時雨が戦うところです。普段はちゃらんぽらんだけどいざという時には自分の信念を貫き通すという性格が個人的に凄くかっこいいと思ったので、読んでいっていただけるならぜひ時雨の発言なんかにも注目していってください。