頼み事!?
「頼みがある。ついて来てくれ」
オルヴァさんにこう言われ、着いた先は「謁見の間」というやつらしい。
今そこにいるのは、俺と静香、オルヴァさんにユリウス。
そして、王がデカい椅子に座っている。
「で、頼みたい事ってなんですか?」
早速、話を切り出した。
「うむ、頼み事っていうのはな、ユリウスの旅に同行してほしいってことだ」
「旅?」
ユリウスの方を見ると、ユリウスも驚いた顔をしている。
「に、兄さん!」
「これは、以前から父に頼まれていた事だ」
「お父様、本当ですか?」
「そうだ、私がオルヴァに頼んで、ユリウスの旅の同行者を探してもらっていた」
なんだか、ユリウスも混乱しているような感じだな。
もちろん静香も混乱しているようだ。
「でもっ、この人達に迷惑だよ!!」
「まぁ、召喚された時点で、かなりの迷惑だったんだがな」
「っ!」
そこで俺が口を挟むと、ユリウスはすまなさそうに顔を伏せた。
「まぁ、気にしちゃいない。異世界に来るなんて、そうそう体験できねーしな?静香」
「へっ!?あ、うんうん、そうだよね!?って何言ってんの私ィィィィィ!!!??」
「まぁ、静香は放っておいて」
「放っておかないでよ!」
「ユリウスの旅ってのは、なんなんですか?」
それが、一番気になる。
「あぁ、それは私が説明しよう」
王が話し始めた。
しばらくして、王が話し終えた。
王の話を要約すると、こんな感じらしい。
彼ら、ラファイエ家には昔からのしきたりがある。
そのしきたりは『16歳になったら旅にでる』というものらしい。男女かかわらず。
そして、その旅の同行者は家族の者から出してはいけない。あくまで他人でなければいけない。
今まで同行者を集めなかった者はいなかった。
やり方もそれぞれ。
町で声を掛けたり、ギルドでメンバーを組んだり、決闘で打ち負かせて等々。
そして、魔術で呼び出すこともあったらしい。
「まぁ、見ての通りユリウスは人見知りだ。だから私はオルヴァに同行者を探してもらっていたんだが、すでにユリウスが召喚していたとはな」
「で、俺達に同行者としてユリウスを助けてほしい、と」
「あぁ、そういうことだ。どうだ?受けてくれるか?」
いやまぁ、受けないと元の世界に帰ることもできない。
それに、下手したらこっちの世界で餓死なんてこともあるかもしれない。
「ちょっと、どうするの?」
静香は小声で話しかけてきた。
「どうするっつっても、受けるしかないだろ」
「どうして?」
「今は、元の世界に帰れる可能性がある方に、賭けるしかないだろ?」
「あ、なるほど」
「わかったのか?今ので」
「何?馬鹿にしてんの?」
「いやいや」
静香も了解したようだし、受けてやろうじゃないか。
「わかりました、同行しますよ」
「え!?」
ユリウスが驚きの声を上げている。
「そうか!それは助かる!」
オルヴァさんは喜んでいるし、王も満足げに頷いている。
「し、静香さんは、いいんですか?」
「まぁ、ユリウスちゃんの事情を知ったら、誰でも放っておけないと思うよ?」
「い、いいんですか?」
「ああ、俺は構わない」
「私も」
そこまで言うと、ユリウスも安堵と困惑を混ぜ合わせた表情をしたまま、黙ってしまった。
「それでは早速なんだが、その服を着替えたらどうだ?」
王に言われて初めて気づいたが、俺達は制服のままだった。
このままでは、こちらの世界では目立つだろう。
「オルヴァ、ユリウス。二人の服を見繕ってやれ。私は国政の方に戻る」
「わかった」
「……はい」
そして、俺はオルヴァさん、静香はユリウスに連れられて、謁見の間を後にしたのだった。
あぁ、やってしまった。
旅をしなければならないしきたりってなんだよw
まぁ、次回の最後には出発したいとおもいます
感想、バッチコォォォォィ!!