フェン活躍!?
つか、今思ったんだけど、キャラ設定いかされてねぇ
ルミナを教会に引き渡した日、俺達は再びギルドで依頼を探していた。
が、いいのが見つからず、その日は各自自由にすることになった。
そして、その日の夕飯時。
「ね、渚。ちょっと聞いた話があるんだけど」
「ん?」
「なんでも、リスディアで毎年やってる武術大会を二週間後に開くらしいよ」
「へぇ」
「で、なんと優勝賞金が銀貨四百枚!!」
「「「よ、四百!!?」」」
さっきまで静かに話を聞いていた、ユリウス達と一緒に驚きの声を上げた。
「い、今まで苦労して集めた金より、多いだと……」
「そ、それは、すごいわね」
「すごいです……」
三者三様の反応をみせた。
「でも、明日馬車でここから出たとしても、ギリギリ間に合うかどうかって所らしいよ」
「そ、そんな……」
「馬車を借りるお金もないですし……」
「歩きじゃ、到底間に合わないよねぇ」
「……」
俺はふとフェンを見た。
「がうっ!!」
『主よ、私を使ってくれ』
頭の中に直接響いてきた、フェン(大)の声。
「いいのか?」
「がう!!」
どうやらいいようだ。
「一つだけ、方法がある」
「「「え!!?」」」
「フェンに乗る」
「「「はぁ……」」」
なんだ、その「頭おかしいんじゃね?」みたいな溜息は。
「まぁ、見た方が早い。明日、日の出と共にこの街を出るぞ」
「ナギがそういうなら……仕方ないなぁ」
「渚、頭大丈夫?」
「静香さんがそう言うなら……」
まぁ、何とか了承してくれたみたいだ。
「クロノ、後で殴る」
「なんで!?」
「なんかムカついたから」
「そんな理由で殴らないでよ!?」
結局俺はクロノを殴ることはできなかった。クロノが全力で逃げ出したから。
そして、次の日の朝。
俺達は街外れの野道にいた。
「ここらへんでいいよな?」
「がうっ!!」
「フェンちゃん、やる気満々なんだね」
「渚が無茶言ったのにねぇ」
「クロノさん……」
クロノがまたなんか言ったような気がする。
よし、後で殴ろうか?うん、殴ろう。何もおかしいことは無い。
「いや、おかしいよ!?」
む、心を読むとは、なかなかやるな。
「いや、読んでないよ!?普通に喋っちゃってるから!!」
「な、なんだと……」
「そんな意外そうな顔しないでよ!!」
まぁ、そんな馬鹿なやり取りは、ここまでにしておこう。
「フェン、行くぞ」
「がう!!」
「命ずる!!真の姿を現せ!!」
こんな事言わなくてもいいんだけど、なんか言ってみたかったんだよ。
言ってから分かったけど、無茶苦茶恥ずかしい。
「主よ、声に出さずともいいのだが」
「分かってるよ!!一回したかったの!!」
「そうか」
「「「……」」」
「どうした?お前ら」
三人とも固まってる。
「いや、ふぇ、フェンだよね?そこにいるの」
「あぁ」
「そうだぞ、クロノよ」
「「えぇ!!?フェンちゃん!!?」」
ユリウスと静香は二人そろって驚きだした。
「フェンちゃん、ホントはそんなにデカかったの!?」
「さ、さすがは『フェンリル』です……」
「ま、さっさとそのリスディアへ行こうぜ」
「さぁ、乗ってくれ」
そう言って、伏せるフェン。
それでも、結構な高さがあるんで、ユリウスが乗るのに苦労していた。
ようやく、俺以外の全員が乗った所でフェンを立ち上がらせた。
「あれ?渚は?」
「俺は走る。訓練を兼てな」
「つ、ついてこれるの?」
「ナギなら大丈夫だって。化け物みたいな奴だよ?」
「あ、そうだった」
「てめぇら、後で覚えとけよ」
「「何を?」」
「殺すっ!!」
「フェン、出発だー!!」
「捕まっておけ、三人とも」
そして、フェンはかなりの速さで走り出した。
「待てゴラァ!!」
俺もそれを追って走るのだった。
そして、アベリアを出て十日目の朝。
「はぁ、はぁ」
「お疲れ、ナギ」
「渚、大丈夫?」
「渚さん?」
三人から声を掛けられたが、返事ができない。
なんてったって、この十日間全力とまではいかないものの、八割の力で走り続けた。
ユリウス達は、フェンの背中で寝たり、一日三回の休みの間に飯を食ったり等々。
疲れるわけがなかろう。
「主よ、そろそろ私も元の姿に戻っておいた方がいいのでは?」
確かに、街がもう近いから、元に戻ってもらおう。
「じゃ、も、元、に戻って、くれ……」
「分かった」
そして、フェンは元の姿に戻ったのだった。
その後、俺の息を整えるのに要した時間は一時間だった。
渚、マジ化け物w
感想バッチコォォォォイィイィ!!