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【現代ゲート×ソロ成長】日常の底で、刃は静かに成長する 〜孤独な少女は、ゲートの裏側で影となった〜  作者: ショーナ・レーベン


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13/13

第12話 器

 【YES】を選んだ瞬間、

 視界は強烈な白に塗りつぶされた。  


 数秒の後、私の目に映り込んだのは、

 元々いた洞穴ではなく

 ——赤く染まった月だった。


(……外?)


 驚きに目を見開く。  


 そこは、等間隔に樹木が並び、

 どこか人工的な夜の森だった。  

 

 モンスターの気配はない。


 しかし、不気味さを醸し出す赤い月が、

 ここがただの場所ではないと告げている。


 慎重に一歩を踏み出した、その時。


(……っ!?)


 地面に何か「違和感」を覚えた。  


 反射的に身を翻したが、完全には避けられない。    

 左腕に鋭い衝撃。  


「あ……がっ……!」


 何が起きたのか分からない。


 ただ、腕に走る焼けるような熱さが、

 遅れてやってくる。


 いたいいたいたいいたい


 私は歯を食いしばり、大きく距離を取る。    


 混乱する思考を無理やり抑え込み、

 影が揺らいだ場所に『鑑定』を叩きつけた。



【個体鑑定:《闇纏い》のソードアヴェンジャー】

レベル:13

スキル:【土遁】 / 【影潜伏】/【気配感知】

状態:闇纏い



 レベル13。スキルも多い。  


 格が違う事実に、一瞬身体がすくむ。


(どうする!? そうだ、しゅく……)


 焦る私の思考を嘲笑うように、

 地面が急激に隆起した。  

 

 足場を奪われ、身体が宙に浮く。


 空中で無防備になった瞬間、

 影が爆発的な速さで肉薄した。


 重い衝撃が、腹部にめり込む。


「……ぁ、はっ……」


 肺の空気がすべて引きずり出された。  


 吹き飛ばされ、太い幹に背中から激突する。  


 地面に崩れ落ちた私の視界は、

 どろりと赤く濁った。


 敵の足音が響く。


(……ここでしぬのか……な……)


 指先一つ動かない。  


 遠のく意識の中で、走馬灯が駆け巡る。    


 父と母が笑っていた食卓。  

 咲と一緒に遊園地で遊んだ記憶。  


…………。


——かえり、たい。    


 このまま消えるなんて、絶対に嫌だ!


 死の淵で、心が激しく叫んだ。


 それに応えるように。


——指先が硬い質感に触れる。  

 

 衝撃でポーチから転がり出た『上級回復薬(ハイ・ポーション)』。  


 私はそれを、震える手で掴み取り、

 無理やり口に流し込んだ。


 その瞬間。


——淡い粒子が全身に灯る。


 砕けたはずの肋骨が繋がり、

 全身が瞬時に再生した。


(——まだ、終わらせない!)


 敵がトドメの一撃を放とうと、

 地面の影に沈み込む。  


(……奴のスキル——【影潜伏】!)


 敵が影に潜る瞬間を見た。

 あれを真似できれば、背後を取れる。


(……【物真似】しかない!)


 私はコンマ一秒の間にステータスを操作し、

 温存していたポイントを即座に叩き込んだ。


 敵が影から飛び出し、

 私の背後に剣を振り下ろそうとした瞬間。  


 私も敵の影に入り込んだ。


——【物真似——影潜伏】。


 急に視界が黒に染まり、

 自分がどこにいるか分からなくなる。


(……これが、影の中?)

 

 感覚が歪む。上下左右が分からない。

 

 でも——敵の気配は分かる。


(……背後に出る!)


 瞬時に地面を蹴って、敵の背後から飛び出す。

 

 アヴェンジャーが、気づいていない。


 間合いに入った。


「……チェックメイト」


 影から這い出た勢いのまま、

 ナイフを横一文字に振るう。  


 吸い込まれるように、

 刃が奴の首元を断ち切った。


 黒い影が霧散し、敵の姿が露わになる。


 最後は『それでいい』と言うように

 笑顔を浮かべ、粒子に飲まれ消えていった。


 …………。


 森に静寂が戻る。  


「……はぁ……はぁ……」


 息が、荒い。


 足に、力が入らない。


 その場に、へたり込む。


「……勝った、んだよね?」


 自分に問いかけた瞬間、

 頭に無機質なログが浮かぶ。



【ソードアヴェンジャーの撃破を確認】

【報酬として新たな器を授与されました】

【称号:闇纏い】を授与

それに伴い【ユニークジョブ:忍者】を獲得


【忍者】

深淵に挑み、打ち勝った者のみに与えられる器。

獲得できるスキルは多々あるため、多様性が大きい。

ーーーーーーー

成長性

体力:B / 魔力:B / 攻撃:A / 防御:C /

敏捷:S / 器用:S / 感知:A / 運:D


初期獲得スキル:【影潜伏 Lv.1】

初期ボーナス:敏捷+4 器用+4


変更しますか?



 その内容に、魂が震えるのを感じた。

 迷わず、震える指で『YES』を選択する。  


 その瞬間、身体が光の奔流に包まれた。


 さらに、レベルが10から12へ跳ね上がり、

 身体の芯から爆発的な力が湧き上がった。



【ボーナスポイントを獲得】

敏捷+4 / 器用+4


【レベルが上昇しました:10 → 12】


体力:+4 / 魔力:+4 / 攻撃:+6 / 防御:+3 /

敏捷:+8 / 器用:+8 / 感知:+6 / 運:+2


獲得スキル:【影潜伏 Lv.1】


【ステータス】


名前:相沢 天音   レベル:12  

ジョブ:【忍者】  種族:人間


体力:30 / 魔力:32 / 攻撃:44 / 防御:17 /

敏捷:55 / 器用:50 / 感知:36 / 運:23


スキル:【気配遮断 Lv.3】 / 【鑑定 Lv.2】 /

    【物真似 Lv.1】 / 【影潜伏 Lv.1】

ユニークスキル:なし  

称号:【闇纏い】


所持スキルポイント:0


経験値:136 / 1200(次のレベルまで 1064)



 これが、今の私。


 そう思った瞬間、空間が崩れ、視界が歪む。


 次に立っていたのは、

 普通の月が見える見慣れた山の中だった。


 生暖かい風が頬を撫で、

 現実に戻ってきたと実感する。


……生きてる。


 正直、今回は死んだと思った。 

 自分の選択を一瞬後悔もした。


 それでも忍者という強力な力を

 得ることができた。


 この先、きっと力が必要な時が来る。


 今では自分の選択に、後悔はない。


……二度と、ここへ戻ることはないだろう。


 少しだけ感慨深くなり、目を細めた。


 風景を目に焼き付ける。


「全部終わった……家に帰ろう」


 そう呟いて、フードを被り。


 私は歩き出した。


 この手に掴んだ、新たな『器』を携えて。



※新たなジョブについた天音。

  この先何が待ち受けるのか。


 もし「続きが気になる」「天音を応援したい」と

 思っていただけましたら、

 下の評価やブクマ、感想を

 いただけますと幸いです。


 執筆の大きな力になります。


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