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妄想図鑑が世界を変える?【異世界トランザニヤ物語】  #イセトラ R15    作者: 楓 隆寿
第1幕 肉食女子編。 〜明かされていく妄想と真実〜

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すれ違う気持ちと大宴会











「おい、魔族が現れたってのに、のんびりしてる場合か!」


 神シロが黒銀の目を持つ友、トランザニヤにイライラをぶつける。


 眉間にシワを寄せ、ため息をつくその姿は、まるで子どものいたずらに呆れる父親のよう。


 「いや、緊張はしてるさ。ちゃんと見てろよ」


 トランザニヤは下界に視線を固定したまま、クールに答える。


 その目はまるでレーザービームのように鋭く、ゴクトーたちの動きを追いかけていた。


 「お二人とも、落ち着いてくださいまし。そんな興奮してちゃ、せっかくの静察が台無しですよ」


 神シロの妻、女神東雲が困ったような笑顔で二人を窘めた。


 彼女の声は穏やかだが、どこか「これ以上騒ぐとわたくしが怒りますよ?」という威圧感が漂う。


「まぁ、ゴクトーの成長は目に見えてるけどな」


 神シロが眉を下げつぶやく。 少しだけ機嫌が戻ったらしい。


 「ああ、ゆっくりだが、確実に何かを掴み始めている」


 トランザニヤのその言葉に、神々は静かに頷き、下界に視線を戻した。



 





 そこでは、ゴクトーたちの賑やかな日常が繰り広げられていたーー。



 ◇(主人公のゴクトーが語り部をつとめます)◇



 

「ゴクちゃん……今日は二人で乾杯、しちゃおっか?」


 パメラの声が、まるでシルクのように滑らかに響く。

 彼女の艶っぽい目線に、胸の『江戸っ子鼓動』がドキッと跳ねる。


 ちょっと待て、急にそんな大胆な誘い、どういうことッ!


 そう思っていた矢先ーー空気を読まない男、ノビが勢いよく手を挙げた。


「先生───!オラも一緒に!」


 ノビの満面の笑みは、まるで子犬が尻尾を振るような無邪気さだ。

 アリーとはまた違ったある意味可愛い。

 だが、その瞬間パメラの表情が凍りつく。


「………」


 嫌な予感がビンビンする。

 パメラの無言は嵐の前の静けさだ。


 パメラの肩が小刻みに震え出す。

 次の瞬間怒号が炸裂し、ノビに雷が落ちた。


「あたいは、ゴクちゃんと二人で飲むって言ってるの!

 また、貴様は邪魔するのかああああああ!!!」



 うわ、来た!パメラの本気モードだ!

 ビンタ事件のトラウマが甦るーー。

 いや、あれは俺のせいじゃないよなッ!


 

 まるで嵐の中に巻き込まれたようで、視線を二人から離せない。

 

 一方のノビは肩を落とし、いつもの「ケロッ」と立ち直る様子も見せない。

 まるで「ゲソッ」と萎れたイカのよう。


 珍しいな、ノビが反論しないなんて。

 あの事件がよっぽど効いてるのか?


 俺は頭の中でノビから聞いた話が蘇る。


 ーーここからゴクトーの回想ですーー

 

 「ゴクちゃん……背中、流してあげるわねん」


 パメラはタオルを胸にあてがい、妖艶な声を出す。

 彼女は頬を赤くしながら、バスルームのドアをそっと開けた。


 "カチャッ”


「ふふっ……あたいが特別に、色々教えてあげるんだから……覚悟してね」


 だがーー。


「ええぇぇぇぇえ!? いっじょに入るの?!」


 ーーそこにいたのは入浴中のノビだった。


 「貴、貴、貴様ああああああああああ!!!」


 "バシッ!” 


 怒りの形相でパメラは、ノビの顔面にビンタを叩き込んだ。


 ーー回想シーンでしたーー


 

 と。まぁ確かこんな感じだったよな?


 俺は思い出しながら口元が緩む。


 気まずい空気を察したジュリが、控えめにつぶやく。


「パメラさん、みんなで飲もうよ……」


 その声は優しく、場の空気を和らげる魔法のよう。

 すかさずアカリが冷静に同調した。


「ジュリの言う通り、みんなで飲みましょう」


 さすが、影のリーダー、スゲー説得力ある響き。

 

 思いながら俺も流れに乗る。


「そうだな、酒場で飲むか?」


 仲間たちが頷く中、ミーアが小さな声でポツリ。


 「うち、人が多いとこは苦手、帰る」


 その言葉とともに、冷たく感じる風が窓から吹き込む。


 おい、ミーア!

 自分のペースを崩さないのは、カッコいいけどもッ!

 今帰ったら空気がッ!

 なんでこうなる……とほほ。


 内心焦りながら、なんとか場を繋ごうと逡巡する。

 だが暗雲立ち込めるこの場に少々手こずってもいた。

 

 そんな俺を他所にパメラは、ノビをチラリと見てつぶやく。


「嫌な雰囲気になっちゃったわ。仕方ないわねん……じゃ、あたいたちの部屋で飲みましょうか?」


 その言葉に、無邪気なアリーが跳ねながら声を上げる。


「ミーアしゃんも、くりゅんでしょ? 来ないと寂しいにゃッ!」


 その言葉にジュリもニッコリ笑って加勢。


「おいでよ、ミーア!お酒、いける口でしょ?」


 シンクロしたアカリも冷静に一押し。


「ミーア、お酒飲めるのよね?」


 仲間たちの言葉を少し考えてから、ミーアはコクリと頷く。

 

 一方のノビは泣きそうな声で懇願する。


「オラも……おねがいしまづ…」


 言いながらもパメラの返事を気にしている様子。

 その姿は目をうるうるさせる子犬みたいで、ちょっと応援したくなる。


「コヤツに、こんな目をされると……この目にあたいはどうも弱いのよねん」

 

 パメラの小言は、俺にしか聞こえていない様子。

 

 いらん情報だよッ!


 そう思った瞬間、表情がふっと変わりパメラが唇を噛む。


「貴様も……まぁ、パーティーの一員だしな」


 そう言いながらも、彼女の耳は朱に染まっていた。

 

 それはーーひねくれた愛情表現かもしれない。

 

 歳が離れてることを気にするパメラ。

 一方で直向きな愛情を向けるノビ。

 この師弟コンビ、本当に手が焼ける。

 

 思ったが口には出さない。

 

 食堂に流れ込む一陣の風。

 柔らかくそしてどこか温かい。

 まるで雨上がりに露草が、青しい香りを漂わせるかのよう。

 場の空気が徐々に変わっていく。

 窓から覗く二つの寄り添う月も、どこか微笑んでいるように見えた。

 

 仲間たちの表情にも笑みが溢れ始める。

 こうして俺たちは飲む流れに。

 

 食堂を出て階段を昇る途中、ミーアが俺の腕をすかさず掴む。

 彼女の小さな手が意外と力強いことに、俺の耳が熱くなる。


 もちろん”むにゅん”とした、柔らかい感触のせいなのだが。

 

 そんな中、一気に階段を駆け上がるジュリが肩を上下させ、


「ちょっと待って……」


 息切れのまま俺を制止し、焦った表情で部屋に飛び込んでいく。

 

 しばらく待つと、汗をかきながらジュリはドアを開けた。


 「お待たせ……ふぅ」


 彼女のその言葉と安堵の表情に、俺は疑問が残った。


 部屋に一歩足を踏み入れる。その瞬間甘い花のような香りと、洗い立ての洗濯物の匂いが漂った。


 この部屋には前に一度来たことがある。

 ダンジョンの宝を山分けした時には気付かなかったが、今回は妙に落ち着いて部屋を見回す余裕が持てた。

 

 入り口のスリッパ掛けには、小さなスリッパがちょこんと吊るされている。

 清潔感あふれる広いダイニング、高級そうな調度品、湯沸かしの魔導具まで完備。さすが大部屋!

 

 なんて思いながら周囲を見回す。

 女性の部屋に入るのはこれで3度目。

 なんだか背中にじっとりとしたものが滲んでくる。

 

 だが、好奇心が勝る俺の目に飛び込んできたのは、曇りガラスのその先ーーカラフルな洗濯物が透けて見える。それはユニットバスの中、きっとジュリが置いたものに違いない。 


 思わず目を逸らすと、一方で寝室のドアが少し開いており、脱ぎ捨てられた“派手”が目に入る。


 その瞬間ーー”バクバク”。


「鼓動、落ち着け!」


 俺は胸を押さえ、冷や汗を垂らしながらその場で立ち止まった。


 そんな俺に気づいたジュリ。

 彼女は訝しい目を向けながら「へんダー、座れば?」と、ソファを勧めてくれる。


 平静を装いつつ、「酒とつまみはどうする?」と思わず口に出した。


 その言葉にパメラが即応。


「あるわよん!」


 言いながら彼女は俺にウィンク。

 場の空気が変にならないかと内心ドキマギ、いや、ヒヤヒヤか。

 見ている仲間たちがそれぞれに違う表情を見せる。

 もう苦笑いしかない。

 

 気にしてない様子のパメラはアイテムボックスから、酒を3本取り出した。


「ゴクちゃん、これは大国『ゴマ』で作られた、バルボンっていう55%の強烈なお酒なのよん。あたいの好きなお酒なの。これを飲まない?」


 彼女は言いながら瓶を頬に当て、妖艶に微笑する。


 一方ノビはそれを見て顔を真っ赤にしていた。

 

 なぜ、お前がッ!


 ツッコミながら、思わず目をはぐらかした。


 負けじとアカリが『*万能巾着』から大きな瓶を2本、テーブルにドンドンと置く。


「これは『ヤマト酒』。お米で作られた20%の酒ですわ。実家から持ってきた大事なものですが、ダー様も是非どうぞ」


 その声は艶っぽく、まるで虎のような鋭い目で俺を見つめる。


 対抗心か?

 なんか怖いぞ、この空気ッ!


 先が思いやられるこの展開。

 ひりつく空気が漂う中、俺は控えめに言の葉を落とす。


「そんな貴重な酒、いいのか?」


 その言葉にアカリは怪しげな微笑を浮かべた。


「ダンジョン攻略のお祝いですわ。また買いますから」


 そう言ってアカリはパメラをキッと睨んだ。


 パメラとアカリの視線が火花を散らす中、俺は耐えきれずーー


「女将さんに、つまみ頼んでくる!」


 そう言って立ち上がると、ジュリとアリーが「わたしも!」「僕もにゃ!」と追いかけてくる。多分、ついてきたふたりも、この居た堪れない空気に嫌気がさしたのだろう。思いながらも3人で階段を駆け降りた。

 

 食堂で女将さんに事情を説明すると快諾してくれた。

 料理を待つ間、食堂の椅子に腰掛ける。

 一方でアリーとジュリは俺の対面に座ると、どこかほっとしたような表情を見せる。


 挿絵(By みてみん)

(*ジュリとアリーのイラスト)

 

 待ってる間、手持ち無沙汰の俺は新加入のミーアについて思考を巡らせていた。


 獣人のアリーはもう既にいるけど、

 ハイエルフのミーアは貴重種だし未知数だ。

 ジュリとアリーはどう思ってるんだろう?


「新しい戦力、どう思う?」


 思わず口から漏れた。

 その言葉にジュリは少し考えて唇を動かした。


「まだ実感が湧かないけど……強そうよね」


(見て!わたしの『谷間』、できてるでしょ! でも、これってーー最新魔道具のおかげなんだけどね……)


 自慢げな表情のすぐ後、肩を落とすジュリの心の声が漏れる。

 

 読めてしまうのが辛い。このスキルが恨めしい。

 彼女の気持ちに応えなきゃいけないけど……。

 

 葛藤を抑えながらアリーにも尋ねた。


「アリーは?」


「声はちいしゃいけど、ジュリねぇよりお胸は大きいにゃ!」


 アリーの無邪気な言葉に、ジュリが「うぅ……」と、テーブルに突っ伏す。


(でも、『ヌーブラン』のおかげで、わたしも負けてないわ!)


 ジュリの心の声が俺の頭に響く。


 アリー、そこッ!

 触れちゃダメなとこッ!


 気まずい空気を変えようと焦る。だが代案が浮かばない。

 

 ふとアリーが突然立ち上がり、厨房へ突進していく。


「アリー、どこ行くんだ?」


 彼女は俺の言葉など聞かず、厨房へ消えていった。

 不思議に思うが、事態はますます厄介なことに。


 (大好きな『谷間よ』ーーじっくり見てていいんだからね)

 

 ジュリがそう思いながら顔を上げ、俺を見つめる。

 その表情は、まるで子供がはしゃいだ時に見せる笑顔そのもの。

 

 その瞬間、食堂の空気がガラリと変わった。

 

 耳に届くのは”たんたんたんたん”。

 打ち続けられる打楽器ーーいや、違う。

 小気味の良い包丁のリズムだ。

 微かなスパイシーの香りも、しんとした食堂に漂う。

 生贄を屠るかのようなジュジュ〜と油が弾けるような音。

 

 ここは天国なのか、地獄なのか。

 

 その香りと音を感じながら、俺は小声で零す。


 「大きいよな、実際」


 その言葉に、ジュリの赤碧色の瞳の奥がギラリと何かを宿す。

 場を和まそうと漏れ出た言葉に思わず、あたふたしてしまう。

 

 一方ジュリはニヤニヤ惚けた顔。


 普段なら「へんダー!」と怒号を上げる場面だ。

 だがどこか様子がおかしい。

 

「でも、ミーアもほんと、大きいよな」

 

 そうつぶやいたーーその瞬間。

 ジュリの頬が大きく膨らむ。

 烈火の如く赤く染まった彼女の顔。


 気まず過ぎて、ここから逃げ出したくなった。

 妙な空気が漂う中、そこへアリーが戻ってきた。


「出来たにゃ!」


 彼女が鼻をひくつかせ告げる。

 その姿にふっと息をつき、脂汗を拭う。

 相変わらずジュリはどこか表情は曇らせるが、なんとかこの場は凌いだ。


 こうして料理が完成し、女将さんに頭を下げ、深く感謝。


 カトラリーや皿も借り、女中さんに手伝ってもらいながら階段を登った。


 大部屋に戻ると、酒盛りが既に始まっていた。


 ノビと和装に着替えたミーアがソファで顔を赤らめ、楽しそうに飲んでいる。


「今日はとことん飲むんさ!」


 そう言ってノビがミーアに絡む。


 ミーアは「うち、このお酒大好き」と、ガブガブ飲んでいた。


 他方、パメラもバルボンを一気飲みしている。


 和装で髪を束ねるアカリは、ヤマト酒を静かに味わう。

 だが頬はほんのりと赤い。


 アリーが「待たせにゃ!」と、つまみをドンと置いたタイミングで、俺とジュリ、女中さんは料理とカテラリーを並べた。


 まずはアリーから並べる。

『ホロホロ鶏の唐揚げ』。はカラッとした黄金色で、香ばしい香りが食欲をそそる。『羊肉の串焼き』も、こんがりと焼けた肉汁が滴り落ちるほどジューシー。


 アリーの目はその2品に釘付けだ。


 次に女中さんが並べる『オックス牛のメンチコロッケ』は、割った瞬間中の肉汁が溢れそうで、揚げたてのサクサク感も伝わってくる。


 ミーアが早速口に運び、サクッとした音とともに案の定、「あひッ!」と小さく漏らした。


 続けて女中さんが並べる『オーク(豚)肉の生姜焼き』は、甘辛いタレの香りが鼻を突き、思わず手を伸ばしたくなる一品。


 やってくれますこの男。気兼ねなく手を伸ばし、口の周りをタレだらけにしながら「くちゃくちゃ」とノビが咀嚼。

 次の瞬間、「間違いないんさ!」と顔を赤くしてつぶやく。


 仲間たちもそれを見てゲラゲラと笑っていた。


 ジュリが並べる『(いろどり)野菜のスティックサラダ』は、鮮やかな色彩で視覚から食欲を刺激する。


 パメラが上流階級さながらにスッとフォークとスプーンを優雅に使い、サラダを絡め取る。


 続けて並べる『ポテトフライ』は、黄金色でホクホクとした食感が見ただけで想像できる。


 アカリはフォークを使わず、フィンガースタイルでそれを口に入れた。

 その仕草は上品で、艶っぽい。


 俺が並べた『レッド・バードのだし巻き玉子』は、ふんわりとしており、ほんのりと湯気が立ち上っていた。


 置いた瞬間、スプーンを入れるジュリの頬もふんわりとしていた。

 まだ、ご機嫌斜めのご様子だ。


 最後の皿『腸詰炒め』は、濃厚なスパイスの香りを漂わせていた。


 どれも美味そうーー”そそる”香りに部屋全体が包まれた。


 女中さんが軽く頭を下げ退出。

 突然、ジュリが「私も着替えてくる」と、ベットルームに。


 俺は床に胡座をかき、師匠の言葉を思い出す。


『酒を飲むときは、男はどしっと胡座でな!はっはははは』と、笑ていた姿は懐かしい。


 そんな中、アリーは『アイテムボックス』を“ゴソゴソ”探っていた。


 ん? アリー、

 何してるんだ?……何を出すつもりだ?


「僕はコレにゃ!『ペプシュ・コーラ』にゃっ!」

 

 黒い瓶の『ペプシュ・コーラ』の栓を勢いよく“ポン”と抜くと、瓶の口から勢いよく“プシ”っと炭酸が噴き出しそうになる。


「こぼれりゅ……!」


 アリーは急いで口に瓶を運び、“ゴクゴクゴク”と豪快に飲み干した。


「プッハァ──ッ!」と、満足顔のアリー。


 そうか……だから食堂に入って行ったのか。

 ぺプシュがあるか聞くために……。


 思いながら口元が綻ぶ。

 

 丁度いいタイミングで、頬を赤くしながら和装に着替えたジュリが戻った。


 仲間たちは「美味い!」と料理を頬張り、さらに笑い声が広がる。

 幸福感、安心感、満足感ーー仲間たちそれぞれの顔に思わず感動してしまう。

 

 和やかな空気が漂う中、俺は背後にピリついた視線の圧を感じた。

 

 ふとアカリが立ち上がり、俺に近づいてくる。


「ダー様、この部屋暑い……」


 甘い声で俺に寄りかかり、彼女は胸元をチラリ。


 一瞬で頭に血が昇り、瞬く間に目は霞む。

 目の前がゆらっと揺れる。

 そして俺は自分の”癖”の世界に入っていった。


 

【妄想スイッチ:オン】

 

  

 ──ここから妄想です──


 

 その瞬間、胸の『江戸っ子鼓動』がボンと音を立てる。


 胸元の隙間から飛び出してきのはーー


『桃色と黒のストライプ模様、ジェット戦闘機型タイプの魔物』。

 

 そこから離陸。 ”キィ───ンッ!”と飛び立つ。


 飛び立つその下には『峡谷』が美しい凹凸を描いていた。



 【妄想スイッチ:オフ】


 ──現実に戻りました──



 突然、『妄想図鑑』のページがパラっと開いた。


「我が名はボイング」と言い残し、『ジェット戦闘機型タイプの魔物』は図鑑に吸収された。


 俺は我に帰り、意識を戻す。


「ジェット戦闘機だと……」

 

 現実に戻った俺の口からそれは零れた。

 前世の記憶が頭をよぎる。


 そして、アカリが『峡谷』にヤマト酒を注ぎ始めた。


 ゴクリと唾を飲み込む。


「ダー様、どうぞお召し上がりくださいませ……」


 彼女の艶然とした笑みが、俺の理性を揺さぶるーー。



 









 













 お読みいただきありがとうございます。

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