ワイバーン討伐編 9 〜俺たちが有名!?〜
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下界からやっと顔を上げたトランザニヤが零す。
「ワイバーン討伐を終えて、彼らも成長したな」
その言葉に、神シロと女神東雲も温かい眼差しで彼らを眺めた。
ーーゴクトーたちは、転移魔法でビヨンド村に丁度戻った頃だった。
◇(ゴクトーが語り部をつとめます)◇
転移の白い門から出ると、
ビヨンド村の広い路地に面した、空き地へと移動していた。
先頭を歩くアリーに先導され、ギルド支部を目指して歩き出す。
道がメインストリートに入り、
広々とした通りへ出ると、ジュリ、アリー、
そしてミーアが手を繋いで先頭を歩き始めた。
村人がすれ違うが、どこか怯えた表情ですれ違っていく。
一方で先を歩くノビとクロニクが「羨ましい」とでも言いたげな顔で、
チラチラとこちらに振り返る。
「ご主様…」と、”小玉スイカ級”を密着させるミリネアが、左腕を固定。
「ダー様…」と、右腕には柔らかいーーアカリの”ボイン”。
「ゴクちゃん…」と、
背中に"ピタッ”と張り付く、パメラの『爆弾』。
"むにゅにゅ〜ん” "むにゅっ” "ブルンブルン”
三味一体の肉弾攻撃に思わず理性も吹き飛んでいく。
されるがままの自分が情けないし、恥ずかしい。
どこをどう見ても異様な光景だ。
すれ違う人々からは、羨望と訝しげな視線の両方を浴びる。
『江戸っ子鼓動』が飛び跳ねるのを感じながらも、
胸を押さえ、足を止めずギルド支部を目指した。
やるせない気持ちを抑えつつ、爪に力が入るコガラに目を向ける。
肩に乗るコガラだが、初めて見る村の商店や風景を興味津々に眺めていた。
やがてギルド支部の前に到着し、建物の中に入ったーーその瞬間。
場の空気が明らかに変わった。
"ざわっ”
一人の男が仲間の肩を叩き、
「おい、あれ……見たことないか?」と小声で漏らす。
周囲にいた冒険者たちが一斉にこちらを注目し始め、
ヒソヒソと囁き合う声が耳に入る。
「デカいな……あのフードの若いの、
【覇気】も凄さまじいが……まさか紅蓮の……?」
「あのちっこいのって?」
「パン屋の息子のカエルノビだ!」
「あの可愛らしい獣人の女の子も、すげー武器を使うらしいぞ!」
「魔導銃のプリティーだろ!?」
「あの超絶美形のエルフって、噂になってる【ゴット・スキル】だよな……」
「弓を背負ってるエルフも、【ゴット・スキル】に似てないか!?」
「超美人だな、あのエルフ……あ、思い出した! ミーア・ロカベルだ。
冒険者ランク『A級』のーー魔性の二つ矢!」
「マジか……美人姉妹で高ランク……さすがロカベル、八士族だからかな?」
「ところで……あの鴉みたいな真っ黒な奴……美人に囲まれて羨ましいんだが?」
「あんた、自分の顔を見てから言いなさいよ!」
「うるせー!だからなんだよ!相方が、こんなブサイクなのはッ!」
「失礼しちゃうわ! 顔より実力でしょ!」
「お前ら、ここで喧嘩するなよ……みんな見てるだろ……」
「聞こえたらやばいぞ」
「あれがリーダーの八咫鴉だよな……」
「……あれが八咫鴉…」
「ああ、八咫鴉の肩に乗ってるのって、まさか……な……」
「まさかだろ……ははは!それよりこっちの美人を見てみろよ!」
「たまんねぇなぁ……あの爆発しそうな胸と”スラッ”とした美脚……」
「ああ…大人の色気とボディーがたまらんな。紅玉ダイナマイトだっけ……?」
「なんとなくだが……あの二人って似てないか……髪の色も同じような感じだ」
「桃色の髪……疾風と戦慄ーー桃色姉妹だろ!?」
「…あれが桃色姉妹か……」
「おい!このパーティって……」
「そうだ!噂の……」
「「「「「「「「「 リリゴパノアだ !!!!!!!!!!」」」」」」」」」
突然の歓声がギルド内に響き渡る。
その刹那、眉をつり上げたミリネアが鞭を振り、
“ビュッ!”
“パシィーーーンッ!”
床に叩きつけた。
鞭が空気を裂いた瞬間、
まるで時間そのものが止まったように、全員が凍りつく。
「お静かに!」
ミリネアの澄んだ声だけがギルド内に響く。
「ご主様、参りましょう!」
“シュルル”
ニッコリと笑う彼女が鞭を腰のホルダーへ戻す仕草に、
ギルド内の冒険者たちが固まったまま見惚れていた。
あーあ……やっちまったかぁ。
この光景を見慣れているせいか、思いながらも苦笑する。
一方クロニクとコガラが驚いている中、
皆、平然とした表情でその場を後にする。
ギルド支部が静寂に包まれる中、
受付前に一歩踏みだす影のリーダー、アカリが声をかける。
「支部長は、いらっしゃいますか?」
その言葉に目を白黒させる受付嬢。
俺が声をかけようとした瞬間、
ジュリが首を横に振り、アカリへと目配せする。
察したアカリが、先ほどとは打って変わった柔らかな表情でーー
受付嬢に話しかけた。
「支部長から依頼されていたワイバーンの討伐報告と、
その解体と買取り……それから、
新しく加わる仲間のパーティー登録の申請手続きと、
従魔の登録申請をお願いしたいんですが?」
「かしこまりました。では、先ずパーティ登録と従魔の申請から進めましょう。
それでは、パーティリーダーのカードをお預かりします」
さすが受付嬢だ。仕事はきっちりとこなす。
「これを」
俺は黒縁の白金カードを差し出す。
ふと横から顔を出すクロニク。
「兄貴も『S級』だったのか……ま、そうでなきゃオイラが簡単に……」
つぶやいたその刹那、すぐに隣のミリネアが冷静な声で制した。
「クロニク殿、余計な発言は控えるべきです」
「ああ、すまねえ……これがオイラのカードだ。
それと、冒険者ネームを『黒龍』から『クロニク』に変えてもらいたい」
クロニクが白金カードを差し出しながら、
冒険者ネームの変更を申し出た。
その瞬間、受付嬢の目が見開く。
「!!!」
さらにカードを確認した瞬間、
その驚きが倍増したようで、目が溢れそうになっていた。
「『S級』冒険者……しかも紅蓮の黒龍とは、あなたでしたか……
かしこまりました。少々お待ちください」
受付嬢が慌ただしく『魔導端末』にカードをスキャンし始めた。
操作音が絶え間なく響く中、
画面に映る何かに目を凝らしながら、手を動かし続けている。
しばらくして、「お待たせいたしました。
登録が完了いたしました。こちらが新しいカードです」と。
黒縁の白金カードを手渡されたクロニクが、それを嬉しそうに眺める。
そのカードは更新され、冒険者ネームが『クロニク』に変更されていた。
クロニク、そんなに喜ぶなよ……少しは落ち着けって。
内心で苦笑する俺を他所に、
受付嬢が次の手続きを進めていく。
「次は従魔の登録ですね。こちらの用紙に必要事項をご記入ください」
受付嬢が差し出した書類を俺が受け取ろうとしたーーその時。
ミリネアが手を伸ばし、代わりに受け取った。
「ここはご主様、お任せください。ワタクシが記入いたします」
流れるような手つきで、
用紙に文字を書き込むミリネア。
その筆跡は優雅で整然としていた。
書き終えた用紙を手渡すと、
受付嬢の表情が尋常ではなくなった。
その顔はやばいな、急に老け込んで皺が増えたぞ!
なんて思いながらも受付嬢の手続きを待っていた。
『魔導端末』の音がどこか耳に心地よい。
他の受付でレイドを受ける冒険者たちも様々で、
獣人だったり、ドワーフだったりが、
こちらを警戒するかのように睨みつける。
向けられる視線にクロニクがひと睨み。
慌てて目を逸す冒険者たちに内心笑えた。
さすが黒龍のクロニクーー頼もしい限りだ。
そんな中、手続きを終えた受付嬢から声がかかった。
「主人はゴクトーさん、
従魔はピクシー・ドラゴンのコガラで間違いありませんね?」
「ああ」
「それでは、こちらのチャームを従魔につけてください」
受付嬢が差し出したのは、
星型のアミュレットが付いた黒縁白金のチャーム。
俺はそれを受け取り、慎重にコガラの足につけた。
「これで従魔の登録も完了しました。こちらが更新されたカードになります」
受け取ったカードには、
=従魔=
-種別- ピクシー・ドラゴン
-名前- コガラ
追加情報として従魔の詳細が記載された。
「では、こちらへ」
応接室へと案内される。
扉の向こうには、どんな未来が待っているのかーー。
期待と責任を胸に、俺は二階へと続く”重たい扉”をくぐった。
お読みいただき、ありがとうございます。
引き続き読んでいただければ嬉しいです(๑╹ω╹๑ )




