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妄想図鑑が世界を変える? 〜異世界トランザニヤ物語〜 #イセトラ    作者: 楓 隆寿
第3幕 動章  〜ワイバーン討伐と新たな仲間〜

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ワイバーン討伐編 8 〜次なる指針〜



 ブックマークありがとうございます╰(*´︶`*)╯♡

 




「良かったわ。ゴクトーくんたちは無事に龍皇一族の、

 彼と無事、打ち解けたみたいですわね」


 下界から顔を上げる女神東雲の言葉に、

 神シロも白髭を撫で付け、ほっと息をつく。


 一方、黒銀の眦を下げるトランザニヤは無言のままだった。




 ーーその頃ゴクトーたちは、

 討伐したワイバーンの回収に四苦八苦していた。




 ◇(ゴクトーが語り部をつとめます)◇




 青空に浮かぶ雲ひとつなく、真っ青なキャンバスのような空の下、

 ハゴネの山々が静かに立ち並んでいる。


 その山々は、豊かな緑に覆われ、

 時折見える岩肌が大自然の力強さを感じさせる。


 崖の上から見渡す景色には、無数のワイバーンの死骸が転がっていた。

 その数に、アカリが眉をひそめる。


「ダー様……このワイバーン、全部ギルド支部に持っていかれるのですか?」


 透き通る声で問いかけてくる彼女の青い瞳には、

 ”いにしえ”の光が揺れていた。


「いや、肉の部分だけは半分、貰うことにしよう。

 骨や鱗も使えるが、それはギルドに任せる」


 崖下の死骸を見やりながら答える。

 隣でパメラが手を腰に当ててつぶやく。


「でも……ゴクちゃん、これだけの量、どうやって運ぶのよん?」


 誰もがその問題に悩む中、ノビが思いついたように手を挙げた。


「先生!! これ【ミニマム】の魔法をかければ、小さぐなるんさ!」


 その一言に全員の目が丸くなった。


 ノビが驚きつつも少し得意げに胸を張る。

 一方でジュリが嬉しそうに彼の頭を撫でながら褒める。


「やるじゃん!ノビ!」


 そんな中、パメラが早速魔法の準備に取り掛かる。


「……けど、こんな大量の死骸を相手にするなんて……初めてだわねん」


 思わずパメラに魔力回復薬を十本手渡した。


「頼む、パメラ。俺たちが片付ける間、頑張ってくれ」


「了解よん、ゴクちゃん。任せてよ♪」


 パメラが短い紅い杖を掲げ、指揮者のように振る。

 そして杖が風を切るたび【ミニマム】の呪文を次々に唱え始めた。


挿絵(By みてみん)

 

 巨大だったワイバーンの死骸が、

 次々に手の平に乗るほどのサイズに縮んでいく。


 アカリとジュリがその小さくなったワイバーンを『万能巾着』に放り込んでいき、アリーとミーアが『アイテムボックス』に素早く収めていく。


 その間も、クロニクが『人型』の姿のままで紅蓮の火炎を吐き続け、

 氷漬けになったワイバーンを溶かしていく。

 コガラもクロニクの足元で小さな氷塊を溶かす手伝いをしていた。


挿絵(By みてみん)


「あるじーー! これでいいのーー?」


 コガラが”コトバ”を飛ばしてくる。

 その声には少しだけ誇らしげな響きがあった。


「ああ、コガラ。もう少しクロニクと頑張ってくれ」


「わかったーー!」


 ふとクロニクの紅蓮の火炎が一瞬止まり、俺の方へ振り向く。


「兄貴、溶かしたぜ」


「いや、俺は兄貴ではないぞ!」


 クロニクがコガラの頭を撫でながら報告してきた。

 その様子を見たミリネアが一歩前に出る。


「ご主様……クロニク殿のあの格好、腰巻だけでは色々とまずいかと」


 「ハッ」っとなり、ようやく気付いてクロニクに声をかけた。


「おい、クロニク! お前、その腰巻きしかないのか?」


 クロニクがキョトンとした顔で答える。


「服なんかこれで十分だろ?」


 俺は仕方なく、師匠が置いていった、

『スター◯ォーズのオビ◯ン』の装備一式を、

『アイテムボックス』から取り出した。


「これを着ろ。フードを被れば角も隠れるし、いいんじゃないか?」


 クロニクが早速上着とローブを羽織り、

 ミリネアが差し出す手鏡を覗き込んで、満足そうに微笑む。


挿絵(By みてみん)


「おお、これいいな! 兄貴、ありがとう!」


「ああ……これ、俺の師匠が着ていた服だ。

 すまないが、コガラと氷を溶かすのをもう少し頼むぞ」


「はいよ、兄貴」


 クロニクが軽く手を挙げ、コガラの元へ戻っていった。

 その足取りにはどこか弾むような軽快さがあった。


 そしてクロニクが深く息を吸い込んでから、

 渾身の力で紅蓮の火炎を吐き出した。

 炎は勢いよく氷を包み込み、瞬く間にその大部分を溶かしていく。


 一方、俺は食事で残った、ワイバーンの解体作業に集中していた。


 解体はこれまで何度もこなしてきたが、

 今回のように巨大な獲物は骨が入り組んでいて難易度が高い。

 慎重に【桜刀】、【黄金桜一文字】を骨の隙間へと滑り込ませるが、

 骨に肉が残るのは避けられない。


「まあ、仕方ないか」と苦笑しながら、

 羽根や脚部を丁寧に『アイテムボックス』に収めた。


「兄貴! 氷が溶けたぜ!」


「あるじーー! とけたーー!」


 クロニクとコガラ声がハゴネの山中に響く。

 小さな”相棒”を優しく撫でながら満足げにこちらにくる。


 そんな中、ワイバーンの小型化に尽力するパメラに指示を飛ばす。


「パメラ、頼む!」


「任せてよん! ゴクちゃん!」


 俺が振り返ると、やや『爆弾(ダイナマイト)』が小さくなったパメラが、

 パチッとウィンクを一つ寄越して、

 ノビと一緒に溶けたワイバーンの方へ向かった。


 彼女の家系は魔力(マナ)を消費すると胸が小さくなると聞いた。

 納得しないわけにはいかなかった。思わず苦笑する。


 日差しが丁度傾き始める頃。

 ハゴネ山中の冷たい風が少しづつ和らいでいく。

 雲ひとつない晴天の中、

 艶っぽい赤大魔導師と、小さな緑の戦士の影が崖の斜面に落ちる。


「【ミニマム】!【ミニマム】!【ミニマム】……!」


 パメラの魔法の詠唱が次々と響き、

 巨大なワイバーンの体が見る見るうちに小さくなっていく。

 細やかな動作で、ミニチュア化したワイバーンをせっせとノビが持つ『アイテムボックス』に、パメラが収める姿が微笑ましい。


 挿絵(By みてみん)



 手間取るかと思ったが、

 崖の上に散らばっていた巨体の片付けは順調で、終わりが見えてきた。


 俺は次の行動を考え、仲間たちを集めることにした。

 ひと仕事終えた彼らだがその表情は明るい。

 良い仲間たちだと思いながら口を開く。


「ギルド支部に行ったら、やることが多いよな……?」


 俺の問いかけに補佐役のミリネアが前に出る。


「そうですね、ご主様。先ずはワイバーンの討伐報告と解体依頼。

 そしてコガラの従魔申請、それとクロニク殿のパーティー登録も必要かと」


 そう言いながらミリネアがクロニクの様子を窺った。

 さすが【ゴット・スキル】と、呼ばれるだけのことはあるミリネアだ。

 次に何をすべきか彼女の中では、既に弾き出されていたのだろう。

 

 そんな中、クロニクのオッドアイが爛々と輝きを宿す。

 その様子に仲間たちも口元が緩んでいた。

 俺は確認のためにもクロニクに尋ねた。


「クロニク……お前、本当にうちのパーティーに入るのか?」

 

「もちろんだぜ、兄貴が断ったって、オイラは絶対入る!」


 そう言って自信満々に胸を張る。

 その無邪気さに思わず苦笑するしかなかった。

 仲間たちも嬉しそうに無言で頷く。


 その様子を見ながら次の目的地を話した。


「討伐報告が終わって、落ち着いたらカルディアに行こうと思ってる」


「ご主様、ありがとうございます。

 学院の研究施設で『機械銃(マシンガン)』の弾を精製すれば、

 格段に成功率が上がります……!」


 間髪入れず答えたミリネアの横から、一歩前に出たパメラが目尻を下げた。


「あら、嬉しい! ゴクちゃん、あたいも帰るわん!」


 その言葉にノビがしっかり喰らいつく。

 

「しだっけ、オラも学院に帰るんさ!」


 仲間たちが次々と賛同の声を上げる中、クロニクに視線を向ける。


「それでもクロニクは、いいのか?」


「もちろんだ! ギャガン叔父上にも、挨拶できるしなッ!」


「そうか…… アカリとジュリはどうする?」


「ダー様に、ずっとついていきます」


「もちろん、ネーと一緒についていくわ」


 桃色姉妹の二人が頬を朱に染めながら答えた。

 アカリが俺の腕を掴み、ジュリは俺の肩を”ボン”と叩く。

 相も変わらずの姉妹の反応に胸中は複雑。


 彼女たちの気持ちが、

 心読スキルで読み取れてしまうのが厄介でもある。



 ……ジュリの拳が重かったように思えたが、気のせいか?


 そんな思いを胸の奥に沈めながら口を開く。

 


「アリーは?」


「僕もゴクにぃに……ついていくにゃ!」


「ミーアは?」


「うちは、ベルマがいるから……」


 ミーアが不安げな表情を浮かべる中、

 ノビが値千金のアイデアを思いつく。


「しだっけ、ミーアさんは、

 先生に【メガント】と【ミニマム】を……教わればいいんさ。

 小さくしたり大きくできれば、なんとがなるんさ!」


 そのビックアイデアに、ジュリが飛び上がった。


「ノビーー凄ーーい!  それならなんとかなるね!」


 嬉しそうにジュリがノビの頭を撫で廻すと、

 顔を赤くしてパメラの顔を覗き込む。


 一方のパメラもハッとしたのか、目を丸くしたがーー。


「貴様も……たまには役にたつな」


 と漏らしながら頬を赤くした。


 次の瞬間、「ピ〜〜〜〜〜〜〜♬♪」と、可愛らしい鳴き声を出し、

「なるんさーー」と、コガラがノビを真似た無邪気な”コトバ”を飛ばす。


 「だから!」


 俺の言葉にコガラが羽をパタつかせ、”空”を使うように笑った。


 それぞれの声を聞き、じんわりとした温かさが場に広がっていく。


 ミーアが及ぼした微妙な空気が一気に消えて、

 全員が”ゲラゲラ”と笑い出した。

 

 ミリネアが優しく微笑みながら、コガラの小さな頭を撫でている。


「ふふっ、賢くなったわね、コガラ」


 その言葉にクロニクとアリーが顔を見合わせて”ニッコリ”と笑った。


 俺はそんな光景を見ながら腕を組んだ。


「そうか……いずれコガラは、人型になるんだよな」


「兄貴、コガラの人型の特訓は、オイラに任せとけ!」


 クロニクが胸を叩き、自信満々に笑ってみせる。

 その頼もしさに自然と頷く。


「クロニク……すまんが頼む」


「任せとけって!」


 クロニクの返事を流しつつ、ふとノビの提案を思い出す。


「さっきのノビのアイデアだが……パメラ、その魔法って難しいのか?」


「そうねぇ……でも、ミーアちゃんだったら、きっとすぐ覚えられるわん!

 ミーアちゃんも魔力量は、たっぷりあるし、大丈夫よ!」


 嬉しそうに答えるパメラに、ミーアも決心したように頷く。


「なら、うちもリーダーについていく!」


「ヨシ、それなら方針は決まったな!」


 俺が指示を出すと、ぐびぐびっとパメラが魔力回復薬を飲み干し、

 一歩前に出た。


 いきなり『爆弾』が弾けるようにーー胸が大きくなった。


「ちょっと待ってねん。

 ジュリちゃんが転移魔法を使う……その前に……【マジック・ヒーリー】!」


 パメラが杖を掲げて、ジュリに魔力回復、癒しの魔法をかける。

 赤い魔法陣の眩い光がジュリの身体を包み込む。


 ジュリが満足げに笑顔を浮かべながら零す。


「ありがとう、パメラさん……へんダー!帰るよね?」


「ああ、頼む」


 ジュリが深呼吸して杖を掲げると風が変わり、

 彼女の身体は白い光に包まれる。


「【アストラル・ゲート】!」


挿絵(By みてみん)


 詠唱とともに杖の先端が光を放つと、空間に白い魔法陣が浮かび上がった。

 白い光が渦を巻き、【転移の門】が現れる。

 

 白い輝きは、崖の頂上に幻想的な雰囲気を漂わせていた。

 光の輪郭が明確になるにつれ、空気が張り詰める。

 魔法の力が空間をねじ曲げる音が鼓膜に触れた。


「凄いな……毎回思うが、転移魔法ってのは、壮観だな」


 俺の言葉などお構いなしにジュリを先頭に、

 その【転移の白い門】へと足を踏み入れた。


【門】に入る瞬間、パメラの腕をノビが掴んで一緒に【門】を潜る。

 その様子が微笑ましく、思わず目を細めてしまう。


 初めて転移魔法を体験するクロニクが、そわそわと落ち着かない様子だったが、頭を撫でると少し安心したようだった。


 肩に乗ったコガラが、なんだか嬉しそうにじっと見上げてくる。

 その小さな体から伝わる温もりが、心を少し穏やかにしてくれた。


【"シュ ーー ーー  ン”】


 白い光が一瞬強くなり、そして色とりどりの光が、

 俺たちの頭上を通り過ぎていったーー。


 




 お読みいただき、ありがとうございます。

 引き続き読んでいただければ嬉しいです(๑╹ω╹๑ )



 




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― 新着の感想 ―
どんどん仲間が揃ってきてますね!(*´ω`*) これから物語がどう進んでいくのか、とても楽しみです ( *´艸`)
ワイバーン討伐後の後片付けまで面白いのがこの物語の強さだなぁと思いました。 クロニクの仲間感も一気に増して、次が楽しみです。
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