ワイバーン討伐編 2 〜コガラ覚醒と大いなる黒い影の襲来〜
ワイバーンとの戦闘はイラスト多め!!٩( 'ω' )و
「しかし、ルシーヌの末裔は相当肉食よのぅ」
肩を窄め、そう漏らす神シロが顔を上げた。
その言葉に黒銀の瞳を揺らすトランザニヤ。
一方、女神東雲がトランザニヤに寄り添い口を開く。
「思い出してしまうでしょうが……
わたくしは、親友の彼女が生きていると、未だに信じていますわ!」
そう言って力強く拳を握る彼女は、瞳を遥か彼方に向けていた。
ーーその頃ゴクトーたちは、
ハゴネの崖上で、信じ難い数のワイバーンと対峙していた。
◇(主人公のゴクトーが語り部をつとめます)◇
「あたいの『爆弾』で、ゴクちゃんの背中は守るわん!」
「いやいやいやいや」
必死に言葉を吐き出すも、胸中はそれどころではない。
あのぅーーパメラさん……?
鉄壁の防御はありがたいんだけど……
その『爆弾』を押し付けるのはやめて……
今は、戦闘中ですけども?
思考を必死に沈め、顔に血が昇る俺を他所に、
仲間たちは必死にワイバーンと戦い続けている。
だが俺は戦場のど真ん中で、自分の理性と激闘を繰り広げていた。
低空で飛翔する複数のワイバーン。
大気を揺るがすような鳴き声とともに、
羽ばたき、砂塵が舞い上がる。
小粒の石がぱらぱらと眼下に迫る崖下へと落ちていく。
その黒い影は頭上を覆い、太陽の陽射しさえ隠していた。
そんな中、ミリネアが一歩前に踏み出す。
「ご主様!ワタクシも【ゴット・スキル】の名に恥じぬようーー!」
「ここは私が!」
「うちも!!」
ミリネア、アカリ、そしてミーアまで、やる気満々で前線に繰り出す。
先頭のミリネアが【ロカベル】の【結界魔法】を唱える。
「【カイス:°マダコハ・ノシクタワ】!!」
続けて闇属性の魔法を唱え、しなやかに鞭を振るう。
「【ディアボロス・ウィップ】!」
"ゴォォォーーーッ༄༅༄༅༄༅”
鞭が紫色の濠炎を纏い、
"パシィーーーーーィンッ!”
ワイバーンを一掃するかのように振るわれた。
その一撃は鋭く、紫の濠炎が数体のワイバーンを包み込む。
「ギャガギャガググギャ!」
「ギャギャガガガーー!」
「ギャーオギャーン!」
燃え上がる紫炎に包まれたワイバーンが、
苦痛に満ちた声を響かせながら墜落していく。
一方で、ミリネアの鞭の炎から逃げるワイバーンをミーアが矢を番え、
【ロカベル】の魔法の力を込めた一撃を放つ。
「【イサナ:°ニシ】!」
"バスッ!”
"バスッ!”
放たれる二つの矢は正確無比で、ワイバーンを次々と撃ち抜く。
湧いてくるように現れるワイバーン。その数は100を超えてくる。
だが次の瞬間、崖の上に颯爽と風が舞い上がる。
連携を取るアカリが扇子を勢いよく振り翳し、
「風属性舞刀術 五の型ーー【颯闘舞妖】!」
風属性の斬撃を捻れるように飛ばす。
“≶≶≶≶≶≶≶≶≶≶≶≶”
"シュ ──── ンッ!”
鋭い風の刃が複数のワイバーンの体を切り裂き、次々と墜落させていく。
「ギャオーーン!」
「ギャガギャガググギャ!」
「ギャガ─ギャガガガーーーー!」
アカリはそのまま華麗な動きで、黄金色の輝く【桜刀】ーー
【黄金桜千貫】を振るい、接近戦でもワイバーンを圧倒した。
"バッタ─ンッ”
"バタン”
"バッタ─ンッ”……………………。
仲間が協力して次々とワイバーンを撃破していく。
その戦いぶりは見事という他なく、
もはや誰もが一騎当千の強さを誇っている。
「凄いな……ミリネア、アカリ、ミーア、いい連携だ!
みんな凄過ぎるだろッ! 」
その光景を見ながら俺も気合を入れ直し、ワイバーンの攻撃に備える。
一方でノビが盾で庇いながらパメラとジュリの身を守る。
逃げ出そうと十数体のワイバーンが空中へ飛び上がろうとしたーーその瞬間。
桃色の髪を風に靡かせ、ジュリが鋭く詠唱を響かせた。
「燃え盛る火山よ、地の怒りを解き放ち、
天より降り注ぐ熾熱の礫よ、
その深淵の炎で敵を焼き尽くせ!!
【ボルケーノ・エクスプロージョン】!!!」
空から無数の小型隕石が“ゴォォォォォォッ༅༄༅༄༅༄༅༄༅”と轟音をたて、
"ヒューーンッ!”
"ヒューーンッ!”
"ヒューーンッ!”
紫炎を纏いながら落下し、ワイバーンを正確に狙い撃つ。
隕石が激しく着弾する度、爆発音とともに炎が巻き起こり、
ワイバーンは次々と炎に包まれ落ちていく。
“ボボボボボボボボボボ”
炎を纏ったワイバーンが逃げ惑う中、
ジュリが冷たく鋭い声で、新たな詠唱を始めた。
「【メイヤード・アイス・ガリガリクン】!!」
”*─=≡.。o○❄❄❄❄❄❄❄❄❄❄❄→”
”*─=≡.。o○❄❄❄❄❄❄❄❄❄❄❄→”
”*─=≡.。o○❄❄❄❄❄❄❄❄❄❄❄→”
”*─=≡.。o○❄❄❄❄❄❄❄❄❄❄❄→”
“カカカカカカカカ!”
“ココココココココココ!”
【氷の魔法矢】がーー正確に炎を纏った複数のワイバーンを射抜き、
瞬く間に氷漬けにしていく。
"パァッキィィィン!”
十数体のワイバーンが動きを止め、崩れ落ちるように絶命した。
「っえ?ジュリさんや!本気出し過ぎだろッ!
……しかも魔力の持続力がエグい。転移魔法使ったばっかりだよな?」
思わず口から溢れる。
だが、仲間たちの耳に俺の声など届かない。
戦況が有利に傾き始めたその時。
「"ピィョョョーーー!!”」
コガラの小さな体から発せられる鳴き声は、どこか愛嬌がある。
だがそれだけに、次の瞬間に起こった光景は信じられないものだった。
コガラの羽が金色に輝き、その体から放たれた光が周囲の空気を一変させる。
まるで大気そのものが震え、複数のワイバーンの動きが止まった。
宙空に羽ばたくワイバーンさえ、降下し崖に爪を噛ませる。
「……!」
全員が一瞬固まった。
やる気なのか? コガラ……。
誰にも届かない俺の内心はさて置き。
コガラの圧倒的な気迫が、大気そのものと同化し広がっていく。
"バシュッ!”
空中に跳び上がるコガラの羽から七色の光が放たれた。
見た目はただの美しい煌めきに過ぎない。
しかし、その光がワイバーンに触れる度ーー
「グオォォッ!」
「ギャオーー!」
「ギャガギャガググギャ!」
「ギャガーーギャガ!」
最前列のワイバーンがまるで紙のように消し飛び、岩肌に叩きつけられる。
次の瞬間、背後にいた複数体もその余波に飲み込まれ、無惨に崩れ落ちた。
次の刹那、空中を飛ぶコガラが念話を飛ばしてきた。
《「あるじーー コガラもやっつけたーー!」》
《「 ああ。 すごいな。コガラ、あとは俺たちに……」》
《「あるじーー! みててっ!」》
「おいっ!コガラ、待てっ!」
"シュ ーーーーーーー ンッ!!”
俺の制止も聞かずコガラは飛び出し、
凄まじい速度で複数のワイバーンに向かっていく。
"ドスドスドスドスドスドスドスドス!”
コガラの尾がワイバーンの体を次々と突き刺し、
毒が急速に全身を回っていく。
紫色に変色したワイバーンは悲鳴を上げながら倒れていった。
"バッタ─ンッ”
"バタン”
"バッタァ─ンッ”………………。
数体が倒れると、さらに残ったワイバーンにコガラが口から火炎を放つ。
“ゴォォォォォォッ༄༅༄༅༄༅༄༅༄༅”
「ギャオギャン!」
「ギャガ─ギャガガーー!」
炎に包まれたワイバーンが逃げ惑う中、
コガラは畳みかけるように氷の息吹を吹きかける。
”*─=≡.。o○❄❄❄❄❄❄❄❄❄❄❄❄❄❄❄❄❄❄❄❄❄”
“ココココココココココ!”
“シャキィィィン!”
一瞬で凍りつき、動きを止める複数のワイバーン。
気づけば崖の頂上には、
コガラが倒した数十体のワイバーンが氷漬けとなっていた。
仲間たちが倒したものも合わせると50体は超えている。
「嘘でしょ……?」
ジュリが驚愕の声を漏らす。
彼女の杖を握る手が僅かに震えている。
「ピ〜ピ〜♬」
一方で、当のコガラは楽しげに旋回し、
羽ばたきながら次々と敵を撃破していく。
その姿はまるで無邪気に遊ぶ小鳥のようだが、
その光景を目の当たりにした誰もが、
コガラの凄まじい力に圧倒されていた。
「これが……コガラの、妖精龍の力なの……?」
ミリネアが感嘆の声を漏らしながら鞭を構え直す。
一瞬でワイバーンの数が激減し、
生き残った数体が震えながら後退を始めた。
その様子に気づいたコガラは、
くるりと体を回転させ、俺の肩に戻ってくる。
「ピ〜ッ!」
嬉しそうに鳴きながら俺の頬を小突く。
「お前、可愛い顔して、やることはエグいな……」
そう言いながらも、コガラを撫でた。
小さな体は相変わらず温かく、どこまでも無邪気で頼もしい。
「コガラ、凄いんさ!」
「うちはわかってたけど、それにしても……!」
「コガラちゃん強いにゃ〜!」
コガラは照れくさそうに声を上げる。
「あるじーー! ミーアちいねぇちゃんと、
ジュリちいねぇしゃんのまねちたー!」
「コガラ、真似したってレベルじゃないぞ!」
「ピ〜〜♪」
仲間が褒めそやす中、俺は肩を落とした。
コガラが凄すぎて、俺の出番が消えたじゃないか……
一応リーダーですけども……?
パメラの『爆弾』としか……俺、戦ってないッ!
思いながらもこの戦況を確認する。
「ヨシ! 死体は俺たちで片付けるぞ!」
仲間たちは気を引き締め、回収の準備を整え始める。
コガラの無双劇に触発され、既に興奮は最高潮だ。
全員の目は山積みの死体へと向いていた。
だが次の瞬間、背中に寒気が走った。
「!!!」
なんだ? この威圧的な【覇気】は……?
思ったその矢先。
「へんだーーっ! まずいよ、この気配!」
「"ピィーーーーッ!”」
ジュリが叫ぶのとほぼ同時に、コガラが警戒の鳴き声を上げた。
《「あるじーー おおきいの くるでちゅ!」》
コガラが震えた念話を飛ばしてくる。
ジュリの叫びとコガラの反応に仲間も即座に身構える。
そんな中ーー逃げ去っていくワイバーンとともに、
目のいいアリーが空を指差し、
黒い点が徐々に大きくなるのを見つける。
「あれは、黒龍にゃ!!」
その声は崖上、いやハゴネの山間に木霊したーー。
お読みいただき、ありがとうございます。
引き続き読んでいただければ嬉しいです(๑╹ω╹๑ )




