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妄想図鑑が世界を変える? 〜異世界トランザニヤ物語〜 #イセトラ    作者: 楓 隆寿
第2幕 転章。  〜魔性のロカベルとハゴネの旅〜

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いい湯だな「ア・ハハン」 編 32 〜思い出の握り飯〜



 お気に入りの「ア・ハハン」編が、遂に(T . T)

 




 

 三柱が見守る中、下界では新たな動きがーー。


「ヒヒーン」


「ギャギャーーー!」


 ハゴネの山中を飛び交うペガサスの群れは、

 一頭の巨大なワイバーンを仕留めていたのである。


挿絵(By みてみん)


 「エリナ姉様、この付近には魔物の気配は、もう感じません」


 「わかったわ。とりあえず本部に戻るわよ」


 その言葉を皮切りに、ペガサスの群れはハゴネの山間を滑空していった。


 



 ーーその翌日、ゴクトーたちはホビットの里、

 プレシャス邸でのんびりとした朝を迎えていた。




 


 ■(神シロが語り部をつとめます)■



「ふぁーーあ、よく寝たにゃ〜」


 アリーが欠伸をしながら身体を伸ばす。


挿絵(By みてみん)

 

 その声に反応して、隣で寝ていたミーアも目を擦りながら身体を起こした。


「ふぁ、おはよ〜う、アリーちゃん♡」


 ミーアは眠たそうな表情のまま、アリーに愛情たっぷりの視線を送る。


 挿絵(By みてみん)


 一方で、ジュリのすぐ横に座っていたアカリは、朝から険しい表情を見せる。

 どうやらあまり眠れなかったらしい。


挿絵(By みてみん)


「ジュリ、もう起きなさい。布団も被らないで寝てたら風邪を引くわよ」


 アカリの言葉に腕を引っ張られてもジュリは身じろぎ一つしない。


 それどころか、まるで小さな子供のように布団に潜り、顔を埋めて逃げようとする。


挿絵(By みてみん)


 そんな光景を見ながら、パメラは優雅に起き上がった。


「あら? ミリネア教授、どこかしら?」


 目を擦りながら『爆弾(ダイナマイト)』の豊満な胸を堂々と晒し、

 浴衣が肌けた状態のままでアカリに問いかける。


挿絵(By みてみん)


 アカリは迷惑そうにため息をつきながらも、隣の部屋と繋がる襖へと歩み寄った。


「どこかしら……まさか、ダー様と添い寝でもしているのでは……?」


 小声で漏らしながら襖を静かに開ける。


 しかし、布団は二組あるものの、ゴクトーとノビの姿は見当たらなかった。


「……きっとお風呂ね。まさかミリネアさんも一緒なんてことは……」


 眉をしかめながら襖を閉めたアカリは振り返り、少し緊張した表情で言った。


「ちょっと、お風呂を見てくるわ」


 その言葉に、部屋にいた他の女子たちが一斉に反応する。


「僕もいくにゃ!」とアリーが跳ねるように立ち上がり、

「アリーちゃんが行くなら、うちもついて行く!」とミーアも後に続く。

「へんダーもノビもいない……わたしも行く」とジュリが布団から顔を出す。

「ミリネア教授に、独り占めさせるわけにはいかないわん」とパメラは浴衣をきちんと整えもせず、そのまま廊下を歩き出した。


 

 ーーこうして、風呂場へ向かう女性陣の一団が結成された。





 ◇(ここからゴクトーが語り部をつとめます)◇




「モモおおねいしゃんと、モフねぇ、

 ちいねぇちゃんと、あたいのおねーしゃん、

 モモちいねぇしゃんがくるよ。

 あるじーー」


 コガラが俺に告げてくる。

 どうやらコガラはその個人の【覇気】によって、

 接近を察知しているらしい。


 そんな中、湯に浸かっていたミリネアが唇を噛む。


「ご主様……ワタクシは女湯へ参ります」


 そう言って彼女は湯からザバッと立ち上がると、

 物干しに掛けてあった緑色のバスタオルを優雅に手に取り、

 しなやかな動きで身体に巻きつけた。


 そして、コガラと戯れていたノビに向かって一言だけ落とす。


「ノビ君、わかっていますよね?」


 その言葉にノビは、どこか誇らしげに胸を張りながら応える。


「大丈夫なんさ。オラ、口はかたいんさ!」


 ミリネアはその返事に満足したのか、

 片手を軽く挙げて後ろを向き、そのまま湯船を後にする。


 曇ったガラスの引き戸が静かに閉じる音が響き、

 ノビと俺、そして湯の中で泳ぐコガラだけが残された。


 そんな中、ノビはぼんやりと曇ったガラスの向こうを見つめながらポツリ。


「ミリネア教授、やっばりかっこいいんさ……でもパメラ先生はもっど!」


 その言葉に俺は少し眉を上げ、半分笑いながらーー


「お前、どんだけ一途なんだよ。パメラしか見てないのな……」


 俺の言葉にノビは肩をすくめた後、真顔で言い返す。


「オラはパメラ先生一筋なんさ。ほがの人には、興味ないんさ!」


 そのノビの言葉は、露天風呂の蒸気とともに、朝日の中に溶けていった。

 芽吹きが香りを乗せる春めいた風が吹く中、

 俺は湯の中で笑いを堪えながら、

 どこか感心したように頬を膨らますノビを見ていた。


「あるじ、みんなきたよーー!」


 コガラが教えてくれた。


 同時に廊下から聞こえてくる足音が次第に近づいてくるのを、

 俺の耳が敏感に捉えた。


「ふっ…全く……姦しい仲間だよ……」


 そう零しながら、俺は湯の中で小さく息をついた。



 


 ■(ここからは女神東雲が語り部をつとめます)■




 男湯から去ったミリネアは、女湯の引き戸を音も立てずに開けた。


 艶やかな動きで浴衣と、

 『Caravan・Climb』を丁寧に畳んで脱衣所の棚に置き、

 緑のバスタオルを纏ったまま、曇りガラス越しに湯船の方へ視線を向ける。

 

 スッとした仕草で引き戸を開けると、

 微かに漂う湯気が彼女の緑色の長い髪をしっとりと包んだ。


 ハラリとバスタオルを物干しにかけ、ミリネアは腰を落として木桶を掴む。


「ふうっ……」


 掛け湯の瞬間、温かな水滴が肌を滑り落ちるのを感じる。


 その仕草はどこかの貴族のような余裕をも漂わせていた。

 湯船に身体を沈め、音もなく澄ました顔を浮かべたまま、

 彼女は湯の温もりを静かに味わっていた。


 やがて、アカリが暖簾をくぐり、引き戸を開ける音がした。

 続いて他の女性陣の声が脱衣所から聞こえてくる。



 「ミリネアさん、もう入っていたのね」


 最初に曇りガラスを開けたアカリがそう声を掛けると、

 湯気の向こうでミリネアが優雅に顔を上げた。



挿絵(By みてみん)



 「ええ、少し早く目が覚めてしまって。とても気持ちがいいですよ」


 その言葉に込められた落ち着きと温かみは、聞く者を自然と和ませる。


「ピ~~~♪♬」と、どこからともなくコガラの鳴き声が響き渡った。


 一方で、女湯を見渡しながらジュリが落とす。


「へんダーは……いないみたいね……」


 脱衣所の方から声が上がると、ミリネアは口元に微笑みを浮かべる。


「まあ、それは当然でしょう……もう、お怪我もされてませんし……」


 軽やかだがどこか含みのあるその言葉に、女性陣は小さく笑い声を漏らす。


「ノビたんとゴクにぃも男湯だにゃ!!」


 アリーの明るい声を残し、パタパタと足音が遠ざかる。

 彼女たちは女湯を後にしたようだ。


 一人湯に浸かりながら、ミリネアは僅かに目を閉じ、

 朝焼けの光と湯気に包まれた静寂を楽しんでいた。


 彼女の佇まいはどこか孤高でありながらも、

 その場の空気を温かく満たしていた。



 


 ◇(ここからゴクトーが語り部をつとめます)◇



 ーー男湯では、


「ゴクどーさん、上がりましょう」



 湯気に包まれた静寂を破りノビの声が響く。


 俺たちは湯船から”ザバー”と音を立てて立ち上がり、腰にタオルを巻いた。

 熱が心地良く残る肌を感じながら、俺は軽く目を閉じ、念話を送る。


《「ミリネア、コガラ、もう上がるぞ」》


《「かしこまりました。ご主様」》


《「あるじーーわかった!」》


 “パタパタ”と小さな羽音が近づき、コガラが板の間に舞い降りる。


 その軽やかな動きが妙に頼もしい。

 

 脱衣所に入った俺とノビは、コガラの羽を丁寧にタオルで拭き、

 その小さな体を木の棚に座らせた。


 黒パンを履き、シャツとジーンズを身に着けながら、俺はふとノビを見る。

 

 彼も真剣な顔つきで"帰る(カエル)”装備に着替えていた。

 その表情にはどこか覚悟の色が滲んでいた。


「コガラ、おいで」


 呼びかけると、コガラは”パタパタ”と俺の肩に飛び乗る。


 その重みを感じながら、脱衣所の引き戸をトンと閉め、

 畳んだ浴衣を手に『男』の暖簾をくぐった。


 長い廊下を歩き部屋に戻ると、すでにミリネアが装備を整え待っていた。

 その仕草すべてが洗練されていて、どこか余裕すら感じさせる。



 部屋の布団を畳んでいると、障子がすーと静かに開く。

 そこには穏やかな笑みを浮かべたサリの姿があった。



「おはようございます。 布団は後ほど、私と父が片付けます。

 それより皆様、朝風呂は済まされましたか?」



「ああ」

「ピ~~~♬」

「いい湯だったんさ!」


挿絵(By みてみん)


 

 俺と肩に乗るコガラ、そしてノビがそれぞれ返事をすると、

 サリは笑みを深めて頷いた。


「朝食に父が朝から張り切って、握り飯をこさえております。

 是非召し上がってください。台所におりますので……」



「……ありがとう」


 その礼を聞き入れ、笑顔を見せるサリが障子をトンと閉め、

 廊下を歩いていく姿を見送りながら、

 彼女とプレシャスの気遣いに深く感謝する。


 

 そんな俺たちは身支度を整え、部屋を出た。


 台所では翁のプレシャスが既に待っていた。


 彼の手には竹の皮で包まれた握り飯があり、

 どこか誇らしげな表情を浮かべている。


「ほっほ。皆様、これはナガラさんとの思い出の握り飯です。

 どうぞお持ちください」


 一つ一つ丁寧に手渡される握り飯。

 俺もコガラの分を受け取りながら、プレシャスに小さく礼を言う。


「翁……ありがとう」


 同時に『アイテムボックス』から、金貨入りの小袋とともに手にしたのは、

 ダンジョンで得た一つの『魔導具』。


「これが昨日の話にあった、例の『通信の魔導具』じゃないのか?」


 俺が手渡すと、翁の目が驚きと喜びで見開かれる。


「これは……!超小型で貴重な品ですぞ。確かに『通信の魔道具』ですな。

 いかに離れていようとも……これで会話ができますな!ほっほ」


 翁は手に取ったそれを慈しむように見つめる。

 昨晩語ってくれたナガラ師匠との思い出が、

 彼の心に熱を灯しているのだろう。


「これで、師匠が現れたら連絡してくれ」


「それはもちろん。ですがゴクトーさん……このような大金まで……」


 そう零す翁の目にほんのり光るものが見えた。

 サリはその様子をじっと見守りながら、

 笑顔を浮かべ『万能巾着』から『ヤマト』の郷土品を取り出した。


「これをお土産にどうぞ」


 漆塗りの箸箱を一つ一つ配る彼女の指は丁寧で、

 そこには彼女なりの感謝が込められているようだった。


「ありがとうございます」


 アカリが箱を開けると、そこには綺麗な箸が並んでいた。

 仲間が次々に笑顔を見せる中、サリは少し寂しそうに目を伏せる。


「ありがとう、翁。サリ……。ヨシ!ワイバーンを討伐しに行こう!」


 その言葉に仲間は頷き、コガラが一際大きな声で鳴いた。


「ピ~~~~~♪♬」


 サリと翁は俺たちの背中が森の先に消えていくまでーー

 名残惜しそうに、里の入り口に立って見守ってくれていた。

 

 サリの瞳にはほんの少しの寂しさと、

 どこか祈るような想いが宿っていたように感じた。

 それでも彼女は精一杯の笑顔を浮かべている。


 一方、翁は長い人生を歩んできた者特有のーー

 潤んだ眼差しで、俺たちを見送っていた。

 その姿にはただ「無事を願う」という、

 純粋な想いが滲んでいるように思える。


 じんわりと胸に残るその視線を背中に受けながらも、

 俺は一瞬たりとも振り返ることはなかった。

 

 名残を断ち切るように、足を前へと進める。

 いまは立ち止まる時ではない。

 ともに歩く仲間の姿を確認し、俺は改めて心を引き締めた。


 それはワイバーン討伐という、レイド(依頼)が待っていたからだ。 



挿絵(By みてみん)





 お読みいただき、ありがとうございます。


 いい湯だな「ア・ハハン』編は、これにて完結です。


 少しでも『続きが気になる!』『ゴクトーたち頑張れ!』と思ったら、

 下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援お願いします!

 その一票がランキングを押し上げ、更新の原動力になります╰(*´︶`*)╯♡



 引き続きよろしくお願いします・:*+.\(( °ω° ))/.:+


 次のエピソードから華ちゃんが再び活躍ーー!


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― 新着の感想 ―
今回イラスト凄く多い!? ゴクトーさんカッコ良すぎ!(*´ω`*) そして……ミリネアさん!(///∇///) 温泉回終了前に、ミリネアさんがどびっきりのサービスを(*/∀\*) 次の話も楽しみ…
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