第四話・昔話
俺は、本を手に取った
ページをめくりながら先ほど見つけたベンチへ向かう
「あたっ」
人にぶつかり尻もちをついた
「大丈夫ですか?」
ぶつかった人が声をかける
緑の髪でセンター分け──そして丸い眼鏡
赤紙の俺が言えたことじゃないが、この世界の人は皆髪色が派手だ
「すみません、ありがとうございます」
俺は彼の手を取って立ち上がる
「君もこの本が好きなの?」
俺の持っている本を指さして言った
「いえ、少し気になったので」
俺はそう言いベンチへ向かった
むかしむかし、あるところに
魔剣を使い、世界を恐怖で支配した魔王がいました
その魔王は、剣を振るだけで山も海も割ってしまいました
そんな魔王を恐れ国の人は、皆魔王の命令に従うしかありませんでした
そんな中、一人の魔法使いが打倒魔王を掲げました
その魔法使いは、ボロボロの杖を使い低級魔法しか使えませんでしたが、知恵と工夫で魔王を倒しました
魔王の使っていた魔剣は、魔法使いにより封印され世界は平和になりました
魔法使いは『勇者』と呼ばれ皆に感謝されたとさ
めでたしめでたし……
──子供用の本……桃太郎と同じようなものだろうか
内容はシンプルで小さな子どもでもわかるような感じでこの世界なら誰もが知っている……なんてものだ
実際この世界の人に魔王のことを聞くと、この本と同じようなことを言っていた
話す言語は同じだか、書いてある言語は正直よくわからない
学んだこともなければ見たこともない
読もうとすると頭の中に日本語で浮かんでくる
脳内で文字が翻訳されるようなイメージだ
見ているものと脳内に流れてくる情報が違って凄い気持ち悪い感覚がする
俺は本を閉じ他の本を探そうと本棚へ戻った
全然投稿できてなくてすみません
リアルが忙しすぎて完全に力尽きてました……
来月からは第二、第四土曜日の20時投稿をしていきたいと思います