20話 勇者VS盗賊
王都から町まで馬で半日走って、山脈沿いの森へと入って行く。
この森の奥にユーリの家がある。
森を抜けて行くと、ユーリの家の近くに妙な奴らがいやがった。
……なんだこのおっさん共。
「……本当にこんな森の奥の家に金があんのか?」
「元とは言えSランク冒険者だ。たんまり貯め込んでやがる筈だ」
「おおいいねえ! 腕がなるぜ!」
5人のおっさん共が何か物騒なこと話してやがる……どうやらこいつらはユーリの家を襲う気らしい。
……これはチャンスだ!
今なら多分ユーリは家にいる。盗賊に襲われているユーリを俺が助けてやれば、ユーリは俺を見直してパーティに戻って来るはずだ。
俺はバレないよう盗賊の後をこっそりつけていった。
やがて、盗賊共はユーリの家へと辿り着いた。
ユーリは庭の芝生の上でのんびり体操してやがった。
「何か用ですか?」
「お前をぶっ殺して金を奪いに来た」
「命乞いすれば命だけは助けてやるぜ!」
――よし……! 今だ!
俺は茂みから颯爽と飛び出す。
「ようユーリ……戻って来る気は無いか?」
「全くないけど」
「お前状況分かってんのかよ!」
「盗賊に囲まれてるけど」
「なら戻って来いよ! 俺の助けが無いとお前は殺されるんだぞ!」
「別に殺されないし」
ダメだこいつ……馬鹿にも程があるだろ!
「お前は……自分の雑魚さ加減が分かってねえのかよ!?」
「――何だおめえ! いきなり出て来やがって!」
リーダーらしきモジャ髭のおっさんが突っかかって来やがった。
「あんだとコラ! お前は黙ってユーリの奴を脅してろ!」
「てめえが命令してんじゃねえぞガキ! ブッ殺すぞ!」
「良く分かんねえが殺していいんだよなこいつ?」
盗賊共はユーリから俺に標的を変えたらしかった。
チクショー! これじゃ俺が襲われてる感じになって意味がねえだろ!
「何やってんだお前ら! まずユーリの奴をボコれよ!」
「お前の方がムカつくからお前から殺すんだよ」
「……まあいい。敵を引き付けるってのも勇者っぽくてカッケーしな。見てろよユーリ! 俺の実力を――グッハアアアアアア!」
こいつら……伝説の勇者である俺を蹴飛ばすとは……間違いねえ……魔王以上に強い!
「こいつ、てんで弱いぜ」
「とっとと殺しちまおうぜ!」
クッソ……ヤベえ状況だが、逃げる訳には行かねえ!
「掛かって来い雑魚共! ユーリは俺のパーティで荷物持ちとして一生こき使ってやるって決めてんだよ! お前らみたいな雑魚にやらせるか!」
「ブッ殺す!」
俺は向かって来る盗賊を片っ端から切り飛ばして行く。
「グエエエエエエエエエエ!」
「何だこいつ……強いぞ!」
「当たり前だろ! 俺は伝説の勇者だぞ!」
何か知らないが俺の勇者としての力が覚醒したらしい。
妙に体が軽い上に盗賊の攻撃も痛くも痒くも無かった。
何故かユーリの手が光ってやがったが、まあ関係ないだろう。
「どうなってやがる!」
「クソッ! 逃げるぞ!」
盗賊どもは逃げていきやがった。ざまあ見やがれ。
「おいユーリ、何か言う事があるんじゃねえか?」
「……まあ助かったよ」
「だろうなあ! 俺がいなかったらお前は今頃殺されてたんだぞ! 感謝してるなら俺のパーティに戻って来い!」
「それは絶対嫌だけど」
「チクショオオオオオオオオ!」
その後、俺はユーリから貰った旨いピザをたらふく食べて満腹になった。
「今日は色々あって疲れたし、腹が一杯になったから帰ってやる! だが次は無いからな!」
「あっそ。じゃーなー」
相変わらず呑気な声しやがって……! だが憶えてやがれ!
次こそは絶対ユーリを俺のパーティに引き戻してやるからな!
俺は決意を新たに、王都へと華麗に帰って行った。




