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18話 勇者VS別世界の勇者

 庭で体操をしていたら、例によってアレスが来た。


「おいユーリ! 戻って来てくれ!」


「普通に嫌だけど」


「チクショオオオ! 舐めやがって! お前は何回俺の有難い誘いを断れば気が済むんだよ! いい加減にしやがれ!」


 どうでもいいな。

 

「そんな事より気になる事があるんだが。お前の後ろにいる人誰?」


「はあ? お前何適当な事……って本当に居やがった! 何だお前!」


「僕の名はアキエル……別の世界から来た勇者です」


 アキエルと名乗った青年は、この世界には場違いな光沢のある緑色の服を着ている。


「ユーリさん……あなたのその神懸かり的な力は僕の世界でも聞き及んでいます」


「そうなんですか」


「そこで……そんなあなたに頼みがあるんです! 全ての世界を混沌の渦に巻き込もうとしているエターナルデビルを、僕と一緒に倒して欲しいんです!」


「……お前さっきから何訳の分からねえ事を言ってやがんだ?」


 口を挟んで来たアレスを、アキエルは軽くあしらう。


「悪いが君は引っ込んでいてくれないか?」


「このガキ調子に乗りやがって! 俺は勇者だぞ!」


「ハッキリ言って、君からは何も力を感じないね! 君の力は僕やユーリさんの足元にも及ばない!」


「何だとお前! 舐めやがってやんのかオラ!」


「おいおい……二人とも落ち着いて」


 なんか面倒な事になって来た。


「うるせえユーリ! お前はすっこんでろ! ……このクソ馬鹿と決着付けてやる!」


「僕は売られた喧嘩は買う主義だ! 掛かって来な!」


「――静かにしてくれ。人の家でこれ以上喧嘩するんだったら、マヨネーズは二度とやらないしエターナルデビルも倒さないから。リタはまだお昼寝してるんだぞ」


「……分かった! もう喧嘩はしないよ! なあ勇者君!」


「……おう!」


 どうやら二人とも分かってくれたらしいし、エターナルデビルとやらを倒してやろう。


「――時空転移ヒール


 俺は巨大なコンピュータールームに転移した。そしてフワフワと浮かんでいるピンク色のエターナルデビルを究極魔法ヒールで倒した。


「……コノ私ヲ倒ストハ……ダガ……計画ニ支障ハ無イ……マザーダークマター様ノ……計画ハ完遂サレル……」


 どうやらマザーダークマターとかいうのが黒幕という事らしい。


 俺は宇宙空間に位相転移ヒールして黒い惑星……マザーダークマターを適当に爆破しておいた。そして元の世界に戻った。


「エターナルデビル倒しといたよ」


「ユーリさん……変な冗談は止めてください……えっ!? これは……!? 星の紋章が消えている……!」


「だからもう倒したって」


「信じられない……! 噂以上だ! 本当にありがとうございますユーリさん! 大袈裟じゃなく、ユーリさんのお陰で世界の危機は救われたんです!」


「どうしたしまして。ところでアレスは?」


 どういう訳かアレスの姿が見当たらなかった。


「ああ、あいつならユーリさんを馬鹿にして来て腹が立ったから、虹色虫の惑星に送っておきました」


 アキエルが手を掲げると、空中に四角い画面が現れた。

 画面にはアレスが虹色の大きな甲虫に追いかけられている映像が映っている。


『うわああああああああ! チクショオオオオオ! 何なんだよこの虫はああああ!』


「一応知り合いだから死なれたら寝覚めが悪くなるし、程々にしておいてあげてね」


「分かりました!」


『ユーリイイイイイ! 助けてくれえええええええええ!』


「ちょっと音うるさいから消しといてくれる?」


「はい! ではありがとうございました! そしてさようなら!」


 光りながら去っていくアキエルを見送った俺は、軽く苦笑いを浮かべると体操を再開したのだった。



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