神の香り
こんな感じの話もいいかなと思い書いてみました。
「これは…」
ツカサは立ち止まって木をじっと見つめる。村人たちはどうしたものかと様子を伺う。
「どうかされましたか?ツカサ殿。」
少しして村長が事情を尋ねる。ツカサは我に返って半ば興奮気味に村長たちに説明する。
「これは伽羅と言って香木の一種なのです。この木の香りは神の香りとも言われとてつもない価値があるものです。」
「成る程…してその価値は如何程ですか?」
「ここ一帯に群生している木は数世紀に渡って生え続けているものですよね?」
「はい。先祖代々大切に守ってきた森です。私もどれぐらい古いかは分かりません。」
「お金にすると一本で数千万…白金貨数枚は下らないと思います。」
それを聞いた村人たちは時が止まったかのように動かなくなる。聞こえてくる音は鳥の囀りだけである。
「はぁ。とんでもないことになったわね。」
「そうですねアリエルさん。この木があればこの村は安泰ですね。」
「逆よ。逆。」
「え?」
「盗賊団とかに目をつけられて大変な目に遭うってことよ。こんな兵士がいない村なんてすぐに占領されちゃうでしょ。」
「成る程…」
ツカサは自分が思っている以上の事態を招いたことを理解する。
「どうすれば良いと思います?アリエルさん。」
困ったときのアリエルさん!
「まぁ先ずは領主に報告するのが妥当かな。村長さんたちもそれで大丈夫?」
村長含め村人全員が首を縦に振る。その後早速準備が進められる。とりあえず先ずは村の者たちでその香りを嗅いでみることになった。
「じゃあいきますね。」
ツカサが削り取った木片に火をつける。するとそこには何とも言えない心地いい香りが広がるのであった。
「これは…」
「神の香りと言うのも納得だ。こんな香りそこらのものでは生み出せない。」
「俺たちがこんな香り嗅いで良いのか?」
「俺たちの村にあるもんだからそれは問題ないだろ。」
村人たちは各々思ったことを口にして最後に全員がツカサに礼を言う。
「重ね重ね感謝致します。貴方様のおかけでこの村も何とかやっていけそうです。」
「いえいえ。お役に立てなら良かったです。」
そしてツカサは伽羅を領主に届けるためその村を一旦後にする。
その後その村ではツカサの等身大の木像が作られて以後村の守り人として祀られるのだがそれはまた別のお話。
暫くして村長と共にクレタの街にやってきたツカサは門番に領主に贈り物があることを伝えやって来た領主の使いのものに事情を説明する。
「成る程…香木ですか。しかし香りに於いてはサンドゥルウッドという香木の香りが最上級とされていますがそれとは違うのですか?」
「はい。違います。とりあえず嗅いでもらえれば分かります。」
「分かりました。どうぞ屋敷にお越し下さい。私はさ領主に伝えて参ります。」
そして暫くして領主の屋敷に着く。ガチガチに緊張した村長と共に屋敷に入りファンガリに会う。
「お久しぶりです。」
「久しぶりだな。ツカサ殿。今日は何やら香木を持ってきたとか?」
「はい。最上級のものです。」
「しかしこの辺りにはサンドゥルウッドは生えていないはずだが…。」
「その香木とは違う香木です。とりあえず嗅いでもらえれば分かるので早速準備しますね。」
「うむ。今さっき街一番の調香師を呼び寄せたところだ。」
フェンガリの許可も貰ったところでツカサは用意された場所で準備を整えていく。準備が終わったところで調香師がやってきたみたいでツカサは自己紹介をする。
「ツカサと言います。」
「調香師のカーラと言います。本日はよろしくお願いします。」
そう言って背丈の高い女性はツカサに礼をして挨拶をする。ツカサも合わせて礼をする。
「新品の香炉を持ってきたのですがお使いになりますか?」
「ありがとうございます!」
ツカサは香炉を持ってきてくれたカーラに感謝して拳ぐらいの大きさの伽羅の木を削り出す。
「ではいきます。プチファイア。」
ツカサが火をつけるとそこには村での香りと同じように言葉に表せない程の芳醇な香りが広がる。立っていた執事やメイドはその場で座り込むが誰もそれを咎める者はいなかった。
暫くして全て燃え尽きるとツカサは香炉をカーラに返そうとしたのだがそこには放心状態の面々がいた。
ツカサは全員が我に返るまで体育座りでその場に座り余韻を楽しむのであった。
伽羅は一回嗅いだことがあってその時は放心状態になりましたw
本当に良い香りで嗅いだことがない方は是非一度嗅いでみることをオススメします。死ぬときに嗅いでいたいと思える香りです。




