脱獄と邂逅
脱獄及び裏ギルド加入手前までのお話です
ツカサは医務室の前に来ていた。
「先生。体調不良を訴えている囚人をお連れしました。」
「通して。」
「ハッ!さぁ入れ。」
ツカサは恐る恐る部屋の中へと入っていく。部屋の中には椅子に座った若い女性がいた。その女性はツカサを見ると一瞬目を細めだが直ぐに元の表情へと戻る。
「騎士の皆さんお疲れ様。後は任せて外で待っていてくれる?」
「ハッ。しかし騎士長にはしっかり見張っていろと言われており…」
「それは私がこの子供に遅れを取るって言いたい訳?」
「失言でした!外で待機しております!」
そう言って騎士の二人は慌てて部屋を出ていく。
「さて邪魔者も居なくなったところで自己紹介といきましょうか。椅子に座って。」
ツカサは言われた通り椅子に座る。
「まず私からね。私の名前はエレオラ。ここで軍医として働いているわ。貴方のことを教えてくれるかしら?」
「ツカサと言います。僕は何故自分がここにいるか全くもって分かりません。何もしてないのに勝手に囚人になってました。」
「成る程ね。確かに濡れ衣っぽいわね。貴方全然強そうじゃないもの。ただ裏の人間の気配はするわね。」
「はい…なのでどうやって此処を出ようかと思っているところです。」
「そういうことなら任せておいて。」
エレオラは机の引き出しから紙を取り出すとペンを取り出して何かを書いたあと折り畳みツカサに渡す。
「これは…?」
「まずはそこに行くと良いわ。ノックすると"鷲"って言ってくるから"烏"って返すこと。いい?」
ツカサは急な展開に頭が混乱するのであった。
「ありがとうございます…?貴方は一体…?」
「また会うときにでも教えてあげるわ。」
そう言ってエレオラは立ち上がり本棚から本を取ったかと思うとその本棚が移動し通路が出現するのであった。
「ここから逃げられるわ。最初の分かれ道を左に行って次を右ね。1番奥まで行ったら右の松明を左に傾けて。通路が現れるからそこから外に出られるわ。」
「ありがとうございます。この恩は忘れません。」
「いいのよ。可愛い後輩のためだし。私は部屋の窓を割って注意を引くわ。」
ツカサが通路に入ったのを確認したエレオラは本を入れて本棚を元通りにし窓を割って倒れたフリをする。
「先生!どうされましたか!?」
「先生!?」
窓の音に反応した外から騎士の叫び声がする。騎士達はエレオラの反応がないことに気づき扉を開けて部屋の中へと入ってくるのであった。倒れ伏したエレオラと割れた窓を見て状況を把握するのであった。
「俺は囚人を追う!お前は騎士長に報告だ!」
「分かった。しかし相手は先生を倒すほどの手練れだ。気を付けろ。」
「分かっている。だが大方不意打ちをかましたのだろう。あの囚人め。生かしてはおけん。」
二人の騎士はツカサのことに意識を向けすぎていた。故に気づかなかった。意識外からの攻撃に。
「な…ぜ?」
一人の騎士の首が宙に舞いもう一人の騎士の胸から剣が生える。
「ごめんなさいね。」
二人の命を奪ったエレオラはそう言うと倒れたフリを続けるのであった。
一方その頃ツカサは松明の前に来ていた。そして右の松明を左に傾けると目の前の左の壁がズレてそこに通路が現れるのであった。通路を進んでいくと光が見えてきた。進んでいくとツカサは大通りに出るのであった。
「本当に外に出れた…」
ツカサは暫し感動の余韻に浸っていたが気を取り直して渡された紙を開いていく。するとそこには地図が書かれていた。
「酒場ダァディー?」
ツカサは地図の通り進み目的地辿り着く。その酒場は大通りから外れた路地のところにあった。ツカサはノックをする。
「鷲。」
「烏。」
エレオラに教えてもらった通りに合言葉を言うと扉が開いた。中に入るとカウンターに男が座っていた。
「依頼か?」
ツカサは急に声をかけられ緊張する。
「い、いえ。エレオラさんにココに行けと言われてやって来た者です。」
「エレオラが?あぁ成る程。新しい奴を見つけてきたってことか。」
ツカサは理解が追いつかず頭を悩ませる。
「安心しろ。俺いや俺達はお前の敵じゃねぇ。ただ一つ聞きたいことがあるがいいか?」
「自分に答えられることなら何でも。」
「お前俺たちの仲間になるか?」
《特別クエスト:裏ギルドへの加入。このクエストは今後起こりません。受諾しますか?YES/NO》
久しぶりに行った、はなまるうどんが美味すぎた件。