五感時計
断捨離して、時計なし生活になった。
時計はなくても、生きられる。
周りで毎日起こることで、だいたいの定刻は知れる。
日常の出来事のみで、定時を知る生活がずっと続いた。
家の前の道に爆音バイクが通るのが、午前5時半。
近所のニワトリが鳴き始める時間が、午前6時半。
真向かいの住人の朝カレーの香りがしてくるのが、午前7時15分。
前の道を通行する友達の呼ぶ声がするのが、午前8時。
斜め前の店が開店する時が、午前10時。
隣人のダンスの騒音が始まるのが、午前11時。
甘い唾液の分泌量が増え出すのが、午後2時45分。
自分の皮膚がひきつってくる時間が、午後5時。
その他にも、時刻を知る方法は全時間帯に沢山ある。
ただ、深夜の2時間は、定刻の音を見つけられていないので、目覚めてしまったら困る。