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悪魔使いは悪役に憧れる  作者: 空色
第五章
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悪魔使いは三賢人に招待される②

 

 研究塔はその名の通り背の高い塔であり、天高く聳え立っている。その為、王城の中でも石造りの無機質な塔はよく目立っていた。それを目印にレヴィは門番に教えられた通りに研究塔に向かって歩いていた。

 しかし──。


「──嵌められた」


 レヴィは苦々しい声を漏らした。どんなに歩いても一向に研究塔に近付けないのだ。


 ──方違え? 或いは見えている塔が偽物なのか……? 


 三賢人の一人は魔術の極めた人物だ。何かしらの魔法が使われているのだろう。油断していたとは自分でも思う。


 ──それでも、あちらから招待しておいて、迷わせるなんて酷いじゃないか!! 真っ直ぐ研究塔まで行かせてくれれば良いものを!


 とレヴィはぷうと頬を膨らませた。何にせよ、さっさと魔法陣か、媒体となる物を見つけだせばこの魔法の中からは出られるだろう。レヴィは気持ちを切り替ると周囲を見回した。しかし、手掛かりになりそうな物はこれといって見当たらない。


 ──三賢人と言うのは結構曲者なんじゃないの?


 レヴィは未だ見ぬ三賢人の容貌を勝手にイメージしてみた。それこそ子供に読み聞かせるお伽噺の中に出てくるような()()を。性格の悪そうな顔の老人。真っ黒なローブを身に纏った老人だ。その老人達が3人寄り集まって策を練っている構図を思い浮かべた。良いイメージが出来た事で満足したレヴィは思考を巡らせる。


 ──にしても、三賢人の目に止まるなんて、僕何かしたっけ?


 それがレヴィの一番の疑問だった。確かに夜会に乱入したが、レヴィは魔法や魔術の類いは使っていない。黒犬や小悪魔も気配を悟られない様に完璧に隠している。これに関してはレヴィの師匠、アナスタシア直伝であるから間違いはない筈だ。それに、薬学や医術の知識についても辺境の教会やランドルフ領以外で誰かに披露した事は無い。


 ──では、何故?


 何となく周囲を見渡した。周囲を見渡しても人の姿はない。完全に自分が術中に嵌っているのを確認出来だだけだ。


 ──人気がない?


 レヴィはふと思った。王城には王族は勿論、官吏、大勢の使用人や衛兵、騎士等様々な人間がいるのだ。幾ら高名な魔道士であろうとそこからレヴィだけを隔離する事は出来るのだろうか?


 ──答えは否だ。


 魔術、魔法を行使するには条件が必要だ。それは精霊女王のいた庭園も同じである。

 あの庭園には元々精霊女王によって()()()の魔法がかけられていた。つまり、人間は弾かれ、精霊は入る事が出来るのだ。しかし、レヴィは入る事が出来た。


 ──それは何故か? 


 子供の頃と今回の共通点を考える。直ぐに答えに行き当たった。それは精霊。

 レヴィは前回も今回も精霊の後を着けてその領域に入る事が出来たのだ。つまり、条件からは精霊が招いた者、精霊に導かれる形で訪れた者は除外されるという事だ。あの妖精猫の飼い主もそうだろう。

 では、今の状況はどうだろうか? 此処は普通の使用人がいるし、騎士もいる。大規模な人払いの魔法や方違えは使われていないと考える。もし、実際に使われていたならば、彼方此方で王城にいる人間が彷徨うことになり、騒動になってしまうからだ。レヴィが王城を訪れた時点ではそんな様子は無かった。なら──。


「これか!」


 レヴィは鞄の中から勢いよく招待状を引っ張り出した。手紙の模様が僅かに光っている。その模様には巧妙に魔法陣が隠されており、恐らく王城に入った段階で発動するように仕組まれていたのだろう。


 ──全く気付かなかった。


 レヴィは手紙を見ると感嘆した。とても精密な魔法陣だったからだ。魔力量の多いレヴィには到底出来ない代物だ。恐らく魔術における賢人は魔力量は然程多くは無いのだろう。魔術における組み立てを事細かく研究し、無駄の無い構成を作り上げる。本当の意味で魔術を極めた人である事は間違い無いのだろう。

 レヴィは勿体ないと思いつつも手紙を破り捨てた。すると模様は光を失い、ただの紙切れに変わってしまった。

 レヴィは道筋に沿って歩き出すと、今までが嘘の様に研究塔まで辿り着いた。


「ほほほ、もう気づかれたか」

「早かったなあ」

「全く悪戯が過ぎるぞい」


 快活な声と共に三人の老人が現れた。レヴィはその老人三人組を見て目を見張った。


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