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悪魔使いは悪役に憧れる  作者: 空色
第五章
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悪魔使いは三賢人に招待される①

 

 ──招待状が届いてから数日後。


 レヴィは再び王城を訪れていた。

 レヴィは王城の大門を見上げる。夜会で訪れた時は馬車の中にいた為、気付かなかったが、この大門には初代国王陛下を彷彿とさせるオリーブの葉の紋様が刻まれていた。

 フォーサイス王国王城には5つの門が存在している。

 まず、貴族街に面した貴族が使用する門。先日の夜会の際はこの門から王城入りした。例外として、貴族の使用人も使用する事が出来る。

 次に平民街に面した王宮使用人や業者が使用する門。この門が最も使用される。五つの門の内で二番目に大きな門であり、常に人の行き来がある。

 三番目は、それ以外の平民や貴族が使用する門。この門は特殊で、王城での採用試験が開かれる際に開かれる。ただ、研究塔に最も近い為、普段は研究塔の関係者が使用している。その為、貴族も平民も何方も使用する門である。

 四番目は罪人を追放する時に使用する門。主に貴族の罪人の追放時に使用されている。

 最後に王族や他国の賓客が使用する門である。中でもこの王族が使用する門が一番大きく立派である。正面には王族を象徴する王冠とオリーブの紋様が両扉に彫刻が施してある。しかし、王族の祝い事やパレードが開かれる際、他国からの賓客を迎える際にしか開らかれることがない。


 ──実に勿体ない。使わない門なら要らないんじゃない?


 と招待状を手に現実逃避に耽っていた。 

 正直、レヴィ自身はあまり気乗りではなかったのだ。しかしながら、周囲がお祝いムードなのでほぼ押されるかたちで本日王城までやって来ていたのだ。

 レヴィは研究塔に最も近い門の前で大きな門を見上げながら、先日事を思い出していた。



 ◆◆◆



「──(レヴィ)は凄いなぁ! 私も鼻高々だよ!!」


 招待状を受け取ったレヴィにマクシミリアンが我が事様に嬉しそうに満面笑みを浮かべた。

 何故なら、三賢人直々に招待状が届くと言う事自体が非常に喜ばしい事なのだ。

 フォーサイス王国にはいくつか学院(アカデミー)が存在する。貴族や豪商の子息子女が領地経営を学んだり、結婚相手を探す為通う学院(アカデミー)。主に貴族の次男三男坊か通う騎士になる為の学院(アカデミー)。後は特殊な技能を学ぶ為の学院(アカデミー)

 しかし、実は王立の学院(アカデミー)にはハイレベルの学院(アカデミー)が存在する。主に研究を目的とした学院(アカデミー)である。

 この学院(アカデミー)は貴賤を問わない代わりに入る事も出る事も非常に難しいとされている。一般以上の教育を受けた貴族の子息子女でも中々入学出来ないのだ。その学院(アカデミー)に入る近道となるのが、この国の重鎮である()()()()()()()だ。

 勿論、学費等は必要なく、高待遇かつ最高の環境で最高の教育を受ける事が出来る。ここを卒業すれば将来は研究塔に就職し、一生安泰とまで言われている。

 その招待状が現在レヴィの手の内にあるのだ。


「何かの、間違い、では?」

「謙遜は必要ないよ! とても素晴らしい事だ、もっと誇るべきだよ!」


 レヴィが何とも言えない顔で言うと、マクシミリアンは純粋そのものの笑顔を向けてくる。レヴィは何も謙遜してはいないし、寧ろとても困っていた。

 確かにハイレベルの学院にはとても興味が惹かれる。しかし、一度学院に入れば、3年は出て来られないと言う話だ。勿論、休暇はあるが、学習速度も早く、難易度も高い学院だ。休暇も使っての勉強漬けの日々になるだろう。それはかなり困る。とても困る。なんて言ったって──。


 ──僕の輝かしき《悪の魔道士計画》が中断してしまう!!


 レヴィは内心で叫んだ。

 一体、輝かしき《悪の魔道士計画》とは何なのか……。《悪役令嬢(エミリア)》を仲間にした事以外全く以て進んでいない、何一つとして悪役らしい事などしていないレヴィの計画とは何なのか……。レヴィの内心での叫びなので、当然誰も突っ込みを入れる事などできなかった。

 内心悶々としているレヴィだが、周囲の反応は違った。既にお祭り騒ぎだ。


「凄いわ! レヴィ!」

「それが招待状! まさか、一生のうちで拝める日がが来るなんてな!」


 等等。とてもじゃないが、「行かない」とは言い出せる状況ではなかった。


「──レヴィ、何をしているのです?」


 ふらふらと屋敷内を散策していると、ヨハンがやって来た。彼は雑用から家庭教師まで何時もなんでも屋の様に何かしら手伝いをしている。いい加減、教会に帰らなくていいのかとも思うが、今は丁度良かった。


「ヨハンも行くべきだと思う?」


 レヴィが尋ねるとヨハンは顎に手を当てて少し考える素振りをした。


「確かに貴重な機会ではあります。しかし、学問というのは例えどんなに最高の環境を与えられても本人にやる気が無ければ身につかないでしょう?」


 ヨハンは深緑の瞳で真っ直ぐにレヴィを見た。


「貴女はどうしたいのですか? 今はまだ招待状を貰っただけですよ。少しでも迷っているならその三賢人とらやらに会いに行けば良いのです」

「え?」 


 ヨハンの答えにレヴィは目を見張った。


「三賢人と呼ばれるくらいです。レヴィの納得する答えを出してくれるかもしれませんよ」


 珍しく微笑んでくれた養父にレヴィは王城を訪れる事を決めた。



 ◆◆◆



 決めたはいいが、先程から王城前で躊躇して仕舞うレヴィである。ヨハン言葉を思い出し、レヴィは覚悟を決め王城へと足を踏み入れた。



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