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悪魔使いは悪役に憧れる  作者: 空色
第四章
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悪魔使いは悪役令嬢と王都に行く③

 ローブを深く被り直すとレヴィは三人組と破落戸達を追った。

 屋根の上を移動し、破落戸達の背後に回り込むとその場所から音も無く地面に着地する。破落戸達は気付いた様子も無い。


 ──全部で7人か。得物は剣のみ。


 レヴィは破落戸達の人数と得物を素早く確認すると背後から声をかけた。


「お兄さん達、何してるの?」


 先程まで下卑た笑みを浮かべていた破落戸達がレヴィの存在に気付き驚いて振り返った。


「あ、わかった! カツアゲかな? いや、それとも追い剥ぎ?」


 レヴィは挑発する様に言葉を続ける。破落戸は音も無く現れたレヴィに驚いていたが、子供一人だと気づくとまた直ぐに下品な笑いを浮かべた。


「何だテメェ?」

「餓鬼か?」

「ヒーローごっこか? 痛い目見たくなきゃどっか行きな!」


 破落戸達は各々の言いたいように言っている。その後ろで一人苦虫をかみ潰した様な顔をした男がいる。


 ──この男がリーダー格かな。


 レヴィはそうあたりをつけた。


「面倒なところを見られた。あの餓鬼も始末しろ!」


 リーダー格と思われる男が吐き捨てるように言った。

 その言葉に外套を羽織った金髪の少年が顔を青くし、レヴィに向って声を張り上げた。


「何をしている! 早く逃げろ!」


 その声と同時に破落戸達がレヴィへと襲いかかってきた。レヴィは無駄の無い動きでヒラリと躱すと、そのまま真正面からやって来た破落戸の腹を蹴りあげた。


 ──まずは一人。


 蹴り飛ばされた勢いでもう一人ごと後ろに倒れ込んだ。 


 ──二人。


 三人目が剣をふり上げて襲いかかってくるがこれも難なく躱す。再び剣を振り上げたところで下手に入り、その姿勢から一気に腹を蹴り飛ばす。


 ──三人。


 四人目と五人目の男が両側から同時に襲いかかってく来たので、レヴィは勢いをつけて上に高く飛び上がる。相手方は目標を失い勝手に相討ちとなった。


 ──四人、五人。


 レヴィが地面に着地すると今度は六人目が殴りかかってきた。レヴィは近くの壁を駆け上がる。再び高く飛び上がり空中で身を翻し六人目の頭を踏み台にし、そのまま七人目も沈めた。


 ──六人、七人。


 七人目が倒れると同時にレヴィの頭の中のカウントも止まった。

 顔を上げると倒れた破落戸の向こう側には呆然としている三人組が立っていた。レヴィはローブのフードをとって、三人組に近付いた。フードをとるとレヴィの漆黒の髪が露になる。

 レヴィの前に立つ金髪の少年はサファイアの様な瞳を大きく見開いた。


「お前は!」


 自分を見て叫ぶ少年を初め不思議そうに見る。その少年に近づいて見るとレヴィも目を丸くした。


「レヴィ!!?」

「エドワード?」



 ◇◇◇



「エドワード様と貴方は一体いつお知り合いに?」


 怪我をしていた茶い髪の男──ブレッドと言うらしい──の応急処置を終えた後、レヴィとエドワードは涼やかな目元の青年──キースの前に二人揃って座らされていた。

 二人を見下ろす彼の青い瞳は涼し気を通り越して氷の様に冷たい。


 ──何だろう、この感覚覚えがある様な……。


 レヴィはその青年の冷たい視線に既視感を覚えて首を傾げたが、今は考えない事にした。それどころでは無い。レヴィは隣で冷や汗を書く金髪の少年をちらりと盗み見た。


 ──僕の記憶が正しければ、(エドワード)は……。つまり、この人(キース)()だよね。そもそも、なんでエドワードが城下に居るんだろ? 


 レヴィは予想外の出会いに少々動揺していた。エドワードとは再び出会う事があったとしてももっと後だと思っていたのだ。


「それは……」


 なんと答えるべきか迷っているのか、エドワードが口籠っている。そうしている内、キースの視線が益々厳しいものとなっている。


 ──視線で射殺されそうだ。


 レヴィは純粋にそう思った。それくらい目の前の青年の視線は冷たかった。


「知り合いというか、宿()()だよ!」

「は?」


 レヴィが何時もの調子で言うと、視線と同じ位かそれ以上に冷たい返事が帰ってきた。その声音にエドワードはブルリと震えた。


「ばっ、場をややこしくするな!」

「僕は場を和ませようとしただけさ!」

「どんな和ませ方だ!!」


 レヴィにとっての本心だったが、エドワードは真っ青な顔で「違うんだ!」と必死に弁明しようとしている。しかし、エドワード自身どう言って良いか分からず狼狽えている。


「随分と仲が宜しいのですね?」


 更に冷ややかな声を浴びせられ、エドワードは滔々硬直してしまった。


 ──あ、凍った。


 レヴィは完全にフリーズしてしまったエドワードを横目で見ながら彼と出会った時の事を思い出していた。



  ◆◆◆


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