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悪魔使いは悪役に憧れる  作者: 空色
第一章
18/279

悪魔使いは悪役令嬢を仲間にする⑰

 やっとその質問かとばかりにレヴィは笑った。


「僕達はお嬢様の噂を聞いてやって来たのです!」

「私の噂とは、何かしら?」


 エミリアは恐る恐る尋ねた。何か噂になる様な事柄があっただろうかと、エミリアは首を捻る。


 “ノースブルック侯爵の令嬢は我儘で性格が悪い“

 “容姿こそ母親に似て美しいが、浪費家の侯爵に似て贅沢で傲慢“


 考えてもあまり良い噂が思い浮かばず、少しばかり気が沈んでしまった。その横でモリーは少し嫌な予感がするわとばかりに顔を顰めた。


「その噂というのがですねぇ──『すっっっごい我儘で、傲慢で、美少女』。やっぱり美少女って所に興味を惹かれました!」

「なっ!?」


 良い笑顔で言うレヴィに対して、エミリアはやっぱりかと肩を落とした。落ち込むエミリアとは対象的にモリーがわなわなと震えている。


「エミリアお嬢様は、大変お美しくいらっしゃいますが、我儘でも傲慢でもありませんわ! とてもお優しいお方です!」

「そっ、そうだよ、エミリアは優しい子だよ!」

「大丈夫です。お嬢様程の美少女ならば少しくらい我儘で、傲慢でも問題ありませんって」


 楽しそうに言うレヴィに対して、モリーが憤慨する。いつの間にかに復活した侯爵も参戦するが、当のレヴィの方はどこ吹く風で話を続けた。


「僕、昔から物語の勇者や英雄よりも悪役に憧れてたんです。最近は……そうですね。巷で流行りの小説はご存知ですか? 王子と平民のヒロインの恋のお話なんですけどね。僕その中の悪役令嬢が一番お気に入りなんです」

「それが、お嬢様の噂とどう関係があるのかしら?」


 訝し気にモリーがレヴィを見る。小説の内容はモリーもエミリアも知っている。


「確か最新刊で邪悪な魔道士と手を組んで、ヒロインと王子の邪魔をするって話だった様な……」


 エミリアが小説の内容を思い出しながら口にした。


「そう……、僕は偉大なる()()大魔道士になる為に侯爵領にやって来たのです!! やはり、悪の大魔道士には悪役令嬢が必須かと!!!」 

「──何んなのよそれ!?」

「ケイシー様!?」

「あわわわ!?」


 胸を張り言い切るレヴィに一同は白い目を向けるのと同時に、バンッと勢いよくドアを開けてケイシーが入って来た。その後をマーティンとコリンが慌てて続く。


「まぁ、噂と違う事は初日から分かってました。噂もオーガストが侯爵家の評判を落とす為に撒いたんでしょうし」

「何故そんな事を?」


 キョトンとする侯爵にロベルトが続ける。


「悪事が明るみなった時に、全て侯爵家に擦り付ける為でしょう。全て最初から計算済みだったという事でしょうな」

「ちょっと無視しないでよ!」


 乱入を無視して会話を続ける面々にキーと唸るケイシーをコリンがどうどうと宥めている。


「ところで、保護した者たちの手当てと事情は聞けましたかな?」

「はい、終わったのでお知らせしようと思って来たのですが、お話中に割り込んでしまい、その、申し訳ありません……」


 しどろもどろになるマーティンに対して、いえいえと、ロベルトは首を振った。


「貴方達も少しお休みなさい」

「いえ、大丈夫です。それより、オイラ達はどうなるのでしょうか? オイラ達は皆、孤児や貧しい家の出の者ばかりです。暇を出されても帰る所がありません」

「そうですね。そこは勿論此方で何とか致しましょう。いやはや、ノースブルック侯爵の腕の見せ所ですな」


 人の悪い笑みを浮かべてロベルトが侯爵を見た。侯爵はひえっと小さく悲鳴を上げて縮こまる。


「そっそんな、私に出来るだろうか……。良かれと思って始めた事だって最初から騙されていたというのに……」


 小さく縮こまった侯爵が呟くと、ロベルトが呆れ顔をする。


「全く弱気な事ですな。高い代償を払って良い勉強をしたとでも思いなさい。それに始めたからには責任が伴うものです。此処は旦那様の頑張り所ではないですか。……勿論、貴方一人でどうにかしろとは言いません。私も当家の執事として協力は惜しみませんよ」

「! お父様、私も一緒に頑張りますわ!」

「ロベルト、エミリア……!!」

「私はエミリアに何処までもついて行きますわ!」

「モリーまで!」


 感動で目を潤ませる侯爵にロベルトは軽く咳払いをする。


「──とは言え、旦那様。課題は山積しています。子供達の事が例え解決したとしても、貴方の解決しなければならない事柄は多く存在します。現在この侯爵領の問題点は、土地が痩せ、穀物が不作だという事です。これは以前からの問題ではありますが、貴方が侯爵を継いでから、丸三年放置していたのです。これでは、領民は他領に流れ、侯爵家の存続も危ぶまれるでしょう」

「そんなぁ」


 侯爵は、情けない声を上げる。


「あれ? でも、レヴィお前来年は豊作になるって言っていなかったか?」


 コリンが首を傾げながら、レヴィを見る。


「そうなのかい?」


 コリンの言を受け期待に満ちた瞳で侯爵と一同がレヴィを見た。


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