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悪魔使いは悪役に憧れる  作者: 空色
第一章
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悪魔使いは悪役令嬢を仲間にする⑬

 高い金属をたてて剣と杖がぶつかりあう。


「モリー! 今の内にお嬢様を探して下さい!」

「はっ、はい!」


 モリーは頷くと急いで応接間に向かった。それをオーガストは何もせず見送る。どうやら、ロベルトの相手を優先させたらしく、オーガストは剣を構え直し、ロベルトに向って来る。

 オーガストの剣を杖で躱すが、若干ロベルトが押され気味だ。


「!?」


 その時、ガタンと音がして棚がオーガストを目掛け倒れてきた。

 ロベルトからオーガストは距離を取るが立て続けに棚や花瓶が倒れて来る。


「くっ!」

「これは……?」


 オーガストが怯むと今度はオーガストを目掛けてナイフが飛んで来る。それを剣で叩き落とす。


「ロベルトさん! 大丈夫ですか!?」


 レヴィがオーガストを挟む形で反対の通路側から現れた。奥の窓が開いているのでそこから、木を登ってやって来たらしい。


「まさか、貴様がロベルトの言っていた味方か? こんな子供が──!」 


 続けざまにナイフが連続して飛んで来る。何とか二本は防ぐが一本が顔を掠め、顔に赤い線を引く。


「そのまさかですぞ」


 ニヤリとロベルトが笑い、杖を構え直して、オーガストに向って行く。


 オーガストは、ロベルトの攻撃を躱していくが、徐々に動きが鈍くなっていく。レヴィの投げるナイフを避けられず、体を掠めていく。


 ──おかしい。ロベルトを避けながらの攻撃にしては甘いと思っていたが──。


 ガクリとオーガストの体が傾く。


 ──毒薬を塗っていたか!


 その瞬間オーガストは意識を手放した。オーガストが完全に意識を失ったことを確認するとロベルトは、レヴィの方を向いた。


「──全く老人を働かせるとは、教育が必要ですね」

「えぇ!? すみません。ナイフに薬を塗っているのに気付かれないようにするには、ロベルトさんに注意を向けてもらった方が良いかと思って」


 ロベルトの言にえぇ!と大袈裟にレヴィが反応すると、ロベルトは表情を弛めて笑う。


「ふふっ、冗談です。助かりました。ありがとうございます。貴女の()()()にも伝えてください。さぁ、お嬢様の所に参りましょう」


 レヴィは一瞬きょとんとするが、直ににんまりわらって「はーい!」と元気良く返事をした。



 ◇◇◇


 一方でエミリアは呆然と立ちつくしていた。


「エミリア様、ご無事ですか!?」


 開け放たれた扉からモリーの声がする。モリーがエミリアの元に辿り着くとあちらこちらの棚や装飾が落ち、その破片で酷い有様だった。その中心でダレルが気を失って倒れており、少し離れた所でエミリアは座り込んでいた。


「エミリア様、これは一体!? お怪我はありませんか?」

「えぇ、私は大丈夫よ。モリー」


 モリーは直にエミリアの側に駆け寄る。

 付近は酷い有様だというのに不思議な事にエミリアの近くには、破片一つ落ちていなかった。


「一体何があったのですか?」

「私にもよくわからないの」


 エミリアの話によると、騒ぎに気が付いたエミリアとダレルは正門が見える部屋に移動した。


 ──馬車が襲われている?


「この為に、私を呼び戻したのですね」


 ダレルが呟いた。


「え?」


 クルリとダレルがエミリアの方を向く。その目は剣呑な光を宿している。


「分かりやすくいいますと、お嬢様、私を嵌めたのですか?」

「な、何をおっしゃるの?」

「妙だとは思っていましたが……、だが貴方には人質になっていただきましょう」


 そう言って、ダレルが襲いかかって来たときだった。


 ガシャン!


 近くで花瓶が割れる音がした。それを皮切りに、ダレルを目掛けて花瓶やら装飾品やらが飛んで来る。


「なっ、何なんだ!?」


 ダレルは飛んで来た物を避けるが、次から次へと飛んで来る。

 最終的には倒れて来た棚の下敷きになり、伸びてしまったらしい。


「何故そんな事に?」

「多分、アレのせいだと思うのだけれど……」


 エミリアは棚の隙間を指す。その先には、黒い塊が隙間から見え隠れしている。


「何もありませんが……?」


 棚の隙間を見て首を傾げた。モリーには見えないらしい。


「──それは妖精の悪戯ですよ、お嬢様。ご無事でしたか?」


 柔和な声音がした。


「ロベルト!?」


 エミリアが勢いよく振り向いた。ロベルトはレヴィに支えられながら立っていた。


「お見苦しい姿で失礼します」

「そんな! 会いたかったわ、ロベルト! 今まで一体何処にいたの? 随分と痩せてしまったようだわ。大丈夫なの?」


 ロベルトは駆け寄ろうとするエミリアを制して、レヴィに支えられながら自ら近寄った。


「こんな時にも私めを心配してくださるとは……。相変わらず、お嬢様はお優しくていらっしゃる」

「そんな事は……」

「当然です! お嬢様は常にお優しくていらっしゃいます。それよりもロベルトさん、オーガストはどうなったのですか?」


 感動の再会に目頭を態とらしく押さえるロベルトに対してモリーが食い気味に言い放った。その様子にロベルトは苦笑する。


「彼は捕えて縄で縛っておきました。暫くは薬が効いて動けないでしょうから、安心して良いでしょう。この男も今の内に縛っておきましょう。話はその後です」







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