精霊の楽園
少し遅れました。
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※5/11 大編集を実施。
「結構深くまで降りてきたね…」
「ああ、魔力が濃くなってきたぞ」
俺たちは精霊の大洞窟の最深部の一歩手前辺りまで降りてきていた。
道中いろんな魔物に遭遇したが無事に切り抜けてきた。
魔物の種類は始めに会ったオーガの他にゴブリン、オーク、ゴーレムもいたな。
と、いうかだ。
「魔力が濃いってどういうことだ、クシン?」
「え?ああ。魔力は人の中に内包されてるってのは言ったよね?」
うむ。それはギルドのおっさんに聞いたからな。
人は身体に魔力を内包していて、その魔力を使って術を発動させる。
行く道中にクシンからも聞いたぞ。
「それはオーガやゴブリンといった魔物も例外じゃない。そしてドラゴン、上位精霊なんかはとてつもない量の魔力を保有しているんだ」
「そーだよー。そして魔物ってのは自分で魔力を生成することが可能なんだよねー」
「へーなるほどなー………って、ハァッ?!」
何気なく話題を引き継いだのはバンだ。
っていうかコイツ今なんて言った?!割ととんでもないことをぶち込んだ気がするんだが?!
「おいどういうことだよバン!?魔物は自分で魔力を生成できるかよ!?」
「そうだよ〜。魔物は自分で魔力を生成する。で、身体の大きい魔物ほど生成する魔力量は多くなる。そしてその許容量を超えた魔力は…」
「その魔物から溢れ出る。そういうことか…」
つまりこの【精霊の大洞窟】には相当な魔力を持つ魔物がいるということだ。そしてそいつは長い間その魔力を垂れ流していたということになる。なんとも迷惑な…
「でも、そういう魔物のおかげで僕たち人が術を使えるんだけどね」
後から聞いた話をだが、人も魔力は生成できるがその量は微々たるもので術を発動するには至らない。呼吸することにより大気中の魔力を取り込んでいるのだと。魔物に関しては体内には《魔石》と呼ばれるものがあり、そこから魔力を生成しているそうだ。精霊は常に魔力を生成しているようだ。
つまり【精霊の大洞窟】にいるのは魔物ではなく精霊ってことだな。勘違いしてた。
余談だが、スキルにも【魔力回復】というものがあり、自動的に魔力が回復していくスキルらしい。
そんな話をしていると俺たちは精霊の大洞窟、その最下層に降りるための道まで来ていた。
「レイ、準備はできてるか?」
「大丈夫、いつでもいいよ」
ここを降りるということは精霊術師となるための試験と同じだ。果たして精霊が俺と契約してくれるかは運に左右されるが、そればっかりは運頼みだ。
自分を信じるしかない。
「よし、行くか!!」
俺は強い決意を胸に最下層へと続く道を進んだ。
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たどり着いたのは巨大な空間。中央には大きな石像が配置されてある。
「なんだ、ここ?」
「かなりの魔力だ。一体何がいるというんだ…?」
すると突然、その石像が光った。
『なんだテメェらは。この【精霊の楽園】にやってきた目的はなんだ?と、いっても目的は一つだろうがな』
そして声が響いた。あまりにも突然すぎて反応するのが遅れたぐらいだ。
「俺はレイ、精霊術師だ。だが、まだなんの精霊とも契約していない。だから精霊術師として生きるために俺と契約してほしい!!」
俺は少し考えてそう言い放った。
『ほう。オマエ、精霊術師か。精霊術師が来るのは何年ぶりか…』
何年ぶり、そう言うということは精霊術師になろうとする人が少ないからではないだろうか。
それほどまでに人がこないらしい。
『まぁいい。オレとの契約を望むならその力を示してオレを認めさせてみろ!!』
そう言うとその光はおさまり、
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………
そんな音を立てて、
「くるぞ、戦闘準備!!」
「「「おう!!」」」
『さぁ、かかってきな!!』
その石像は俺たちに襲いかかってきた。