プロローグ
※4/23 大編集を実施。
ある日、とてもとても穏やかな空で、暖かい日に。
一つの影がものすごい勢いで。
空から地面に向けて駆け抜けていった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
悔いはなかった。
それは自分が望んだことだから。
それでよかったのはずなのに少し悲しかった。
では、なにを望んだのだろう?
…
…
…
…
…
…思い出せない。
さっきまで鮮明に思い出せたはずなのに。
思考が回らない。
…
…
…
…
…
状況を確認しよう。
自分は落下している。
とても高いところから、ただひたすらまっすぐに。
何かをしようともがいてみる。
かつて使えたチカラを使おうとする。
…
…
…
…
…
何もできずに霧散する。
なぜだろう?なぜかできないのか?
もう一度、
…
…
…
…
…
使えない。使えたチカラが使えない。
使えたチカラ…なんだったか。
忘れてしまった。思い出せない。
…
…
…
…
…
やがて俺は諦めた。
落ちてきた方向を見上げる。
そこには白いもくもくしたカタマリがあって。
…
…
…
…
…
…思い出せない。
これはなんだろう。
知っているはずなのに思い出せない。
今いる場所の名前すらも。青が広がるこの場所は、あの白いカタマリは、
…
…
…
…
…
気がつけば白いカタマリはとても遠い場所にあった。
…なぜか無性に寂しかった。
その思いを振り切るように下を見る。
近づいてくるのは、
…
…
…
…
…
…なんだろう?
無数の箱が並んでて、高さがバラバラで。
上にあった白いカタマリを吐いている。
似たようなモノなのに違う気がする。
吐いていないのもある。
…
…
…
…
…
そして気づいた。
でも気づいた時にはもう手遅れで。
諦めた俺は。
その落下の終着点にたどり着いた。
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…ここはどこだろう。
この柔らかいモノはなんだろう。
俺の身体に乗っているモノは…?
「やあ、起きたかい?」
突然、声がした。
声の主は白い布を体にまとっており、手にもっているのは…杖?
「…あんたは?」
「僕はクシン、ここに住んでる人間だよ。君は?」
俺?俺は、俺は、俺は…
「……ない」
「え?」
「わからない。自分の名前以外はわからない…」
俺は…なんだ?
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俺の名前はレイ。
それだけが思い出せる唯一の内容だ。
親の名前、出身地、どこからきたのか、何もかも思い出せない。
「うーん、記憶喪失か。僕と同じじゃないか…」
「…?」
「僕も記憶喪失だったんだよ。この街にいる時より前のことは何も思い出せない。分かるのは自分の名前だけ。」
記憶喪失…それが今の俺。
聞いたことがあるような、ないような。
…わからない。
ああ、一つ気になっていることがあった。
「そういえば…ここはどこなんだ?」
「ああ、この街は“リューレス“。この大陸に存在する七大都市の一つさ。」
【リューレス】、それが俺の今いる場所だった。
更新は不定期になります。