魔王城攻略戦3 ひのきの棒
俺がしようとしている事。
それは『燻り出し』だ。
魔王城を煙で攻める。
どうやら魔王城の封印の結界は敵対心を持つ物を通さないらしい。
物資を運搬する馬車が通る事が出来て、俺や大岩が通れないのはそういう事だ。
なら煙なら直接の敵対心を持っていないので入れるのではないか?
そう思って焚き火を燃やして試してみると……行けた!
見事煙は魔王城の封印を貫通!
これでいける!
俺は勝利を確信した。
俺は街を回って材木を集めまくった。
材木は正直あまり集まらなかったが、初心者用として売られているひのきの棒はこれでもかと言うぐらい集まった。
ひのきの棒は攻撃力低くてあんまり人気無いもんな。
売れ残りまくるのも解るわ。
その数、材木が五十万本、ひのきの棒が五百万本!
各国の王宮の騎士団に在庫で備蓄している木の棒もアウ王女を介して全部放出して貰った。
山に生えてる木も根こそぎ取り込んで、着火剤になるオークの背脂も買えるだけ買い込んだ。
三ヶ月の仕込み期間を経て、戻って来ました魔王城。
アウ王女のお腹はかなり大きくなって歩くのも辛そうだ。
「もうすぐ臨月だろ? ついて来なくてもいいのに」
「なに言ってるのよ! 夫婦なんだからどんな時も一緒よ!」
「まあ、お前がそういうならそれでいいんだけどさ、辛くない?」
「大丈夫。護符が有るし、あんたと死に別れする方が辛いし。私がいればクビちょんぱになっても、もげたてなら復活出来るしね」
「おいおい、これから魔王城攻略なのに縁起でもない事言うなよ」
「大丈夫。あんたならそんな事にならないって信じてるから!」
俺は魔王城に着くと、小高い丘の上からそのすべてを魔王城に向かってぶち撒けた。
*
魔王城の結界の上にこんもりと積み上がる木材。
日差しを遮り魔王城が薄暗くなった。
「な、何が起こった? いきなり薄暗くなったんだが?」
狼狽える魔王娘。
ノーライフキングが報告する。
「勇者が魔王城の封印の上に木材を積み上げています」
「なんだと! 奴は何をしようとしてるんだ?」
突然揺れる魔王城。
そして部屋の中が真っ暗になった。
「今度はなんだ?」
「勇者がその上にひのきの棒を積み上げました。どうやら封印の上に木材を積み上げて押し潰す気のようです」
「耐えられるのか? その木材の重さに!」
「これが丸一日続いても耐えられると思います。ただ……」
「ただ、なんだ?」
「これが三日続いたら確実に封印が破壊されて潰れてしまいます」
「ど、どうすればいいんだ?」
「既にこれだけの木材を積み上げられた後だと、封印を消し去ると魔王城は木材の下敷きで確実に潰れます! それに封印を解いたら確実に勇者が乗り込んで来ます!」
「なんだと! 勇者汚い! 汚過ぎる! わらわはどうすればいい?」
「木材がこれ以上増えない事を祈るしか有りません」
「そ、そうか。じゃあ祈るぞ!」
一生懸命祈る魔王様。
祈りが通じたのか、勇者は木材を積み上げるのをやめた。
「ど、どうだ! わらわの祈りが神に通じたぞ!」
「魔王様が神様に祈っちゃダメですよ!」
「結果オーライだ! これでわらわが勝てた! わらわの勝ちだ! うわはは! あの勇者に勝てたぞ! 勝てた!」
テンション最高で小躍りする魔王娘!
あまりに嬉しかったのか小躍りし過ぎで息を切らせるほどだ。
「勝ててうれしさの余りに興奮して暴れたせいか、少し暑いな。暑くなって来た! 冷たい飲み物を持ってこい」
「魔王様、そんな物を取ってるどころじゃ有りません! 勇者が木材に火を着けました! 暑いのはそのせいです!」
「なんだと! なんて汚い勇者だ! 汚過ぎる! なんで正面から一騎打ちに来ない?」
「それは魔王様が魔王城に引き篭もってしまったせいでは?」
「ぐぬぬぬぬぬ! それにしても酷い! あり得ない! それになんだんだ? この煙は!」
「ひのきの棒の燃えた煙です!」
「このままじゃ蒸し焼きじゃないか! どうすればいいんだ!」
下衆な勇者に翻弄されて、狼狽えまくる魔王娘だった。
読んでくれてありがとう!
@2~3話で終わります。
*
(連載中)
クラスごと集団転移しましたが、一番強い俺は最弱ランクの商人に偽装しました。
http://ncode.syosetu.com/n7017dt/
2018年1月~4月更新再開予定
スキルの間違った使い方 。~アイテムボックスで魔王討伐!~
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