第一章 三話 死の詩
村にある小さな病院の待合室で村人全員で、待っていると、医者が手術室から出てきた。
「先生!勇者様の様態は…?」
医者は俯き言い放った
「午前8時23分。勇者アーサー様の死亡が確認されました。」
「お、おい!嘘だろ!?悪魔から世界を救った勇者がこんな簡単に死ぬなんて…」
アーサーの胸ぐらを掴んだが、その首は座らず、だらんとなってしまった。
「し、死んでる…」
「そ、そんな…」
「あ、悪夢だぁぁぁぁ!!
「勇者アーサーがいなくなった世界なんてもうおしまいだぁぁぁぁ!!」」
ハルノが今まで見た事ない程に、俺を睨んで来る。
「あ、あんたがやったの…?」
「ち、違う俺は」
「そうだお前がやったんだろう!」
「死んで償え!」
「ま、待て!俺がどうやって殺すんだ。」
そう言ったとき病院のドアが力強く開けられた。
「アキトの家から剣が見つかったぞ!」
あ、あれはアーサーからもらった剣!
「動かぬ証拠だな。お前に終身刑を言い渡す」
「いや、死刑だ!」
待て待て!俺の死が確定して来ている!
「お、おい待て!よくよく考えてみろよ!伝説の勇者をなんの取り柄もないただの一般市民の俺が殺すことができると思うか?そんな簡単に殺せるならコイツはもうとっくに死んでいるぞ!」
「た、確かに…」
「じゃあ、誰が殺したって言うんだよ!」
「そ、それは…」
わからない。犯人はきっと俺に罪を擦り付けているはずだ。それならば、
「悪魔…悪魔だ!悪魔が殺したことにしよう!」
「てめぇアキト!伝説の勇者様が悪魔に負けるわけないだろ!」
「いや、俺にいい考えがある。」
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その日の夜。俺は村人二人を連れて墓地にきた。
スコップを持って二十分かけて大きな穴を掘り、アーサーの死体
埋めた。
「これで、アーサーが行方不明ということに出来る俺達は無罪だ!。」
「いや、罪重ねてんじゃねーか」
「流石、勇者様を殺したヤツだイカれていやがる…」
「だから俺は殺してねーよ」
「だか、これで俺達はシロ!村の平和は守られたぜ!」
そんなやりとりをしていると、急に悪寒がした。
…誰かに見られている?
辺りを見回しても誰もいない(手伝いの二人を除いて)
「…気のせいか…」
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カーテンの隙間から日が差し込んでくる。
俺は立ち上がり洗面台へ向かう。
「はあ、昨日は災難だったな。全く、俺は穏便に過ごしたいだけなのによ。」
顔を洗い、タオルで顔を拭く。そして、鏡を覗くと、アーサーが立っていた。
…アーサーが…?
自分の顔をペタペタと触ってみる。
それに合わせてアーサーもペタペタ触る。
…は?
「はぁぁぁぉぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!????」
急いで家を飛び出し、ハルノの家へと向かう
何度も何度もドアを叩く
ガチャ。とドアが開き目の下のくまが凄いハルノが出てきた。恐らく一睡もできなかったのだろう。
「だ、誰…って勇者様!?」
ハルノにも見えている。ということは夢でも幻でもない。ということか。
「え、でも昨日!あれ、え、え?」
完全に混乱している。どっちかと言うと俺の方が混乱してるぞ。
とりあえずアーサーの真似をしてみる。
「ハハッ、私はあのくらいじゃ死にませんよ。」
「え、でも心肺停止って、」
「一時的に止めただけです。」
「え、アキトが埋めたって、」
「地面を掘って来ました。」
「え、でも…」
「ハルノさん。」
「え、あ、はい!」
「ここで話していたら騒がれてしまうので中に入れていただけませんか?」
「あ、そうですね!はい!」
ククク。これがアーサーの力か。あのハルノが家に入れてくれるとは。(ちなみに最後にハルノの家に入ったのは約10年前です。)
これがハルノの部屋か。以外と綺麗だな。以外と。
俺がハルノの部屋でキョロキョロしていると、身なりを整えていた、ハルノが部屋に入ってきた。
二日前のような少し恥ずかしがりながら。
コイツ完全に女の子の顔してやがる。
あれ、ハルノってこんなに可愛いかったっけ?
そんなこと考えているとハルノが唐突に
「臭い…」
「え?」
「臭すぎる!」
「勇者様がこんなに臭い訳がない!まさかアンタ勇者様に化けた悪魔ね!?」
なぜそうなる!?
「よりにもよって死んだはずの勇者様に化けるなんて許せない!!」
「ま、待て!俺だ!アキトだ!」
「アキトはそんなにカッコよくない!」
失礼な。
「円卓の無敵魔女ハルノ。」
「え?」
「円卓の無敵魔女ハルノ。お前の10歳の時の通り名だ。この村で知っているのは俺だけだ!」
「な、な!」
ハルノがみるみる赤くなっていく。
ふっ、これで、俺がアキトという事が証明されたな。
それなのに、
「ふんっ!」
「ぶふぉ!」
いきなり殴られた。
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「アキトって事はよーく分かったわ」
「ああ、わかったならこの縄を解いてくれ」
「それは無理。」
「なんで!?」
身動き一つ取れないほどしっかり結ばれていやがる…!
「…てか、アキッて魔法使えたんだ。」
「魔法じゃねーよ」
「じゃあなに変装…?それなら剥がしてやる!」
「へ?」
顔を思いっきり引っ張られてる!?
「いだだだだだだだだだだ!」
「…変装でもない?それなら何?」
「俺が聞きたいわ!」
「あ、呪いだ!アキが勇者様を殺したから勇者様の呪いが掛かったのよ!ざまぁみなさい!」
「ふふふ、よくぞ呪いだとわかったな!」
外から声が聞こえてきた。
「それは私の呪い《まほう》だ!」
ハルノが窓に駆け寄り誰が居るのか確認する。
「あ!フード被ってた子!ほら、アキトも来て!」
もう一度言おう。身動き一つ取れないほどしっかり結ばれている。
縄を解いて貰って窓に近づき見てみると、確かにあの時のフードを被っていた子だ。フードを被っていた子が木の上でカッコつけて座っている。
俺は息を吸い込み大声で叫ぶ。
「お前は何が目的だ!?俺を元に戻せ!」
「ふふふ、その前に…」
「ここから降ろして下さい…」
降りれないのに登るとか馬鹿すぎんだろ…
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「ふむ、助かったぞ!れいを言おう!」
見た感じ10歳という感じだ。白い髪に紅いメール不思議な少女だ。
「アキト殿…そんなにジロジロと見られると恥ずかしいぞ…」
「アキ、あんたねぇ…」
誤解です。
「まぁ、それはいいとして。」
いいんかい。
今までのおふざけな感じがなくなりキリッとして俺をみる。
「アキト殿!」
「な、何だよ。…」
「アキト殿にはアーサー殿の代わりに勇者になって頂きたい!」




