第一章 一話 始まりの日(前編)
『勇者』悪魔を退治する戦士であって、人々からはとても尊敬されるジョブ。(ちなみに勇者はただ働きではなく、悪魔の心臓である『魔晶石』を、換金して、お金を得ている。)だから、俺は勇者を、とても尊敬している。という訳ではない。だいたい勇者って、大抵が、賞金稼ぎじゃん。金の為なら命を掛けますってか。とまあ、このように俺は勇者を酷く嫌っている。しかし、唯一尊敬している人がいる。
「アイラさん、一度で良いから会ってみてぇなぁ」
1枚のポスターを必死に眺めながら、そう、呟いた。
勇者アイラ。アイラ・バレント。世界の勇者の十本指に数えられながら、『戦場の舞姫』と、称される程美しい勇者だ。
ちなみに俺にとってもナンバーワン美女だったりする。
アイラさんのポスターを眺めていると唐突に頭上から垂直にチョップが入る。
「痛ってぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
「バカアキッ!何を仕事サボってニヤニヤしてんの、気持ち悪い…!」
まじか、ニヤニヤしてたのか、全然気がつかなかった…。以後気を付けないと…。
「だからってチョップすることねーだろ。お前のチョップは死にそうなくらい痛てーんだから!」
「あら、そのまま死ねば良かったのに。」
「なんて物騒な事言うんだお前は…!」
彼女はハルノ。ハルノ・二アニス。俺の唯一の幼馴染みで、少し荒っぽい奴だ。髪は金髪で、後ろに2つ結びしてある。スタイルは、ボン、キュッ、ボンという感じで抜群だが、やはり荒っぽい所がマイナスポイントだ。
小さい時から勇者に憧れていて、毎日、何らかの修行をしている。とても乙女とは言えないような少女だ。
女はみかけによらないってか。外見だけに誤魔化されないようにしないと。お前らも気を付けろよ。
「何1人でブツブツ言ってんの気持ち悪い……」
え?声漏れてた?マジかよ。
「そんな事言ってるけどなー。お前だって、いい歳して、まだ抱き枕抱いてねてんじゃねーか、あれだって十分気持ちわrぶふぉ!」
いきなり痛恨の一撃が入る。
「あ、顎が…」
「な、なんでアキがそんなこと知ってんのよ!」
「なんでって…見たから?」
「最っっっ低!」
あ、今更だけど、俺はアキ。ではなく、アキト・マーライ。現在18歳フリーターだぜっ!
「だいたいアキはいっつもそう!」
あー説教が始まりやがった。
「なにをやらかしても反省の色が…な…」
ハルノの声が詰まる。顔を見て見ると俺の後ろの方を目を大きく明け、震えるように見ている。
なんだろうと振り返るとそこには
黒い人型の悪魔が立っていた。
一瞬にして、空気が凍り付く。
そして、再び
時間が、動き出す。
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」
「あ、悪魔だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
目線をハルノに戻し、
「ハ、ハルノ!急いで逃げっ!…ハルノ?」
ハルノは既に走り出していた。一直線に悪魔に向かって。
「お、おいバカ!もどれぇ!」
しかし、ハルノは
「だ、大丈夫…!修行の成果見せてあげる!」
声は震え、脚も、ガクガクとしている。
「バカっ!強がらなくていいから!逃げろハルノ!」
ハルノに向かって走り出した。何故だか分からない。本能的に走り出していた。
「ハルノォ!」
悪魔は急速にハルノに近づき腕を大きく振り上げた。
ーーーーーーーーああ、また助けられなかったーーーーー
瞬時、アキトは脳裏に焼き付いた、あの日の事を思い出した。また、大切な人を失った。
そう思ったその瞬間。空高く飛んだ1人の男が悪魔を真っ二つに切り上げた。
ただただ唖然とする中その男が、口を開けた。
「怪我はありませんか?あ、安心して下さい。僕は勇者です。」
笑顔で微笑むその勇者は誰もが知っている地上最強の勇者。
勇者アーサーの姿がそこにあった。
今週中に後編を出す予定です。




