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白猫の恋わずらい  作者: みきまろ
第4部
53/100

***閑話 協力者 ***


エメさんとの勉強会初日。

私はお城の中で迷子になっていた。

それを助けてくれたのが、この王様だった。


あの日、私は本当に困っていた。


猫と人とじゃ視界が違うのはわかっていたはずなのに、一度案内してもらったくらいで大丈夫だと思うなんて、甘かった。

廊下ですれ違うお城の人たちは、「ほら、あれが王様の猫よ」「まぁ、きれいね」なんて言うばかりで、エメさんの部屋は教えてくれない。

ぐるぐると歩き回った末にたどり着いた中庭で、私は途方に暮れていた。

ちょうどいい大きさの石を見つけ、一休みすることにする。


それにしてもこの中庭、いい日当たりだなぁ。

もう寝ちゃおっかな。

猫になると、どうしても猫の習性につられちゃうのよね。

眠ーい。


ぽかぽかと温かい日差しに眠気を誘われて、石の上で丸くなろうとしたそのとき―


「おや、そなたは」


声をかけてきた人がいた。


「ほぉ、これが猫の姿か。本物そっくりだな。どれ、鳴いてみろ」


抱き上げて、顔を近づけてくる。

きゃあぁ、王様だ。


「ん? 鳴かんのか?」


「ん、んなーぅ」


「おお、かわいい声だな。もっと鳴け」


「なーぅ」


「おもしろいな。しゃべれはしないのか?」


「しゃべれます」


「わぁ!」


しゃべれといわれたからしゃべってみれば、びっくりした拍子に投げ出された。

くるりと一回転して着地する。


「驚かすなよ」


「す、すみません」


なんだかこの王様、くるくると表情が変わっておもしろい。

この間カールと一緒にお会いしたときは、初めて入ったお城の雰囲気に圧倒されてたせいか、怖いって印象しかなかった。

でも今、一対一で話してみると、とっても気さくでいい人に思える。


「きれいなだけの人形みたいな姫君かと思ったら、存外おもしろいな」


王様も、似たような印象を持ったようだ。

人形っていうのはどうかと思うけど。


「これからエメのところへ行くのか?」


「はい」


「一緒に勉強か。うらやましいな」


そうなの?

王様も魔術を習いたいのかしら。


「エメには以前から求愛しているのだが、謙遜したり照れたりして、さっぱり受け入れてくれんのだ。

 最近ようやく城に住んでくれるようにはなったが、共に過ごす時間がなかなかなくてな」


私の不思議そうな顔を察して、王様はそう言った。


「えーと、それはつまり・・・?」


「私はエメが好きなんだ。正妃にしたいとずっと言っている。この頃じゃ言いすぎてあいさつのようになっている」


えええ、そうだったんだ!

エメさんたら、何も言わないから知らなかった。


「エメのところに行くなら、私が連れて行ってやろう。彼女に会う口実になる」


「あ、ありがとうございます。実は道に迷っているところでした」


「ははっ、そうだったのか。呑気のんきそうに見えたが、声をかけてよかった」


「あれは・・・このお庭があまりに気持ちよくて、つい眠気が・・・」


「そうか。庭師をほめておこう。

 で、エメの部屋まで私がエスコートしてもよろしいかな、姫君?」


「私の方からお願いします。でもその“姫君”っていうのは・・・」


私なんかにはふさわしくない呼び名だ。

ものすごく抵抗がある。


「姫君であろう? 滅亡したとはいえ一国の姫だ。礼節は守る」


「えっと、あの、慣れてないので・・・。私、猫ですし、誰かに聞かれたら変です。

 こうしてしゃべってるのも、本当はよくないと思います」


「ふむ、そうか。では姫でよかろう。

 飼い猫を可愛がって“姫”と呼ぶ輩はいるからな」


「それもあんまり・・・」


「ぬぅ。贅沢なやつよ。何と呼んでほしいのだ?」


「ルゥでいいです。私はただのルゥですから」


「ふぅ。エメの話だと“ただの”ルゥではなさそうだがな。

 まぁ、いい。ではルゥと呼ぶが、代わりに一つ頼まれてくれ」


「はい?」


私が王様の頼みなんて聞けるかしら。


「これから勉強会の日には、先に私の執務室へやに寄ってほしい。

 そして一緒にエメの部屋へ行こう。」


「それくらいなら」


私にもできる。


「そうか! うむ、これは心強い味方を手に入れた。私とエメの恋路のため、協力を頼むな」


ええ! そういうことになっちゃうの?

あああ、まぁいいか。

相手は王様だもんね。エメさんだってきっとまんざらでもないんだろう。

エメさんが私とカールのことを応援してくれたみたいに、私もエメさんのためにがんばろう!

にこにこ顔の王様に抱かれ、まずは執務室の場所を教わった。

そしてエメさんの部屋へ。


コンコン


王様が扉をノックする。


「はーい、ルチノーちゃん? 遅かったわね・・・ってなんでリックと一緒なのよ」


「迷子になっちゃったの」


「私が助けたんだ。そこで意気投合してな。これからは毎回私が連れてきてやろう」


「はぁ? あなた仕事しなさいってば。さぁ、ルチノーちゃん、いらっしゃい。待ってたわ」


あれれ。

エメさんのためにがんばろうって思ったのは間違いだったのかな。

王様を好きなようには見えないけど。


王様は私を床に降ろすとき、耳元でささやいた。


「照れてるんだ。本当は私に会えてうれしいのさ」


「う、あ、はい」


そうかなぁ。

王様が言うんだからそうなのかな。


「では、またな」


「はい、ありがとうございました」


「ルチノーちゃん、気を付けてね。リックはほんと女好きだから。安易に近付いちゃだめよ」


うーん、これはやきもち??

よくわかんないな。

王様を振り返ると、バチンとウィンクされた。

私、安易な約束をしてしまったかも。

ちょっと後悔した、お勉強会初日だった。



どうも、うまくエピソードが入らず、閑話で挿入・・・。

あとで編集し直すかもしれません。

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