*** お風呂 ***
9話あたりのお話です。
ほのぼの路線からそれていますので、ご注意を(笑)。
夕飯の後、ルゥと風呂に入った。
手で湯をすくって体にかけてやると、白い毛がぺったりと体にはりついて、なんとも情けない姿になる。
俺は風呂に入るたび、この姿がおかしくて仕方ない。
石鹸を泡立てて、体を洗う。
頭の後ろを揉むように洗うと、気持ちよさそうに首を伸ばす。
背中、尻尾の先まで洗って、次は腹。
手の平の上でルゥをひっくり返し、喉から胸を撫でる。
ゴロゴロと喉を鳴らし、うっとりと目を閉じて俺に身をまかせるルゥ。
小さいなぁ。
かわいいなぁ。
30すぎの男が、風呂で子猫を洗って脂下がる姿など、とてもじゃないが人には見せられない。
子猫じゃなければいいのか?
たとえば夢に出てきたような・・・。
銀とも見まごう、つややかな白髪。
閉じられた瞳にかぶさる長い睫。
ほっそりした体を俺に寄せていた。
裸体だった彼女。
胸元にわずかばかりのふくらみを感じたような・・・・。
たしたし!
ルゥに叩かれて我に返った。
俺!
ルゥを洗いながらなんてことを・・・・・!
どれくらい妄想にふけっていたのか、ルゥの泡はすっかりなくなって、赤い瞳がにらんでいた。
手桶の湯を慌ててかけると耳に入ったらしく、「ふぎっ」と飛びのいてぷるぷると俺にしぶきを飛ばしてきた。
「わ!やめろ、ルゥ」
「んなーッ」
「俺が悪かった。そう怒るなよ」
いつもならこの後一緒に湯船につかるのだが、先にタオルでルゥを拭いてやって風呂場から出した。
ルゥが人になるなんて、俺どうかしてるよなぁ。
でも、元が猫なら体はやわらかいんだろうか。
首に指をはわせたら、喜ぶだろうか。
腕に抱いて、洗ってやったら・・・?
むくり、と俺の中心が反応した。
「・・・・・俺、終わってるな・・・・・」
猫に欲情するなよ。
浴槽の端にがっくりとうなだれて、ひとしきり落ち込んだ後、開き直って自分でヌいた。
これは! きっと、欲求不満だからだ。
辺境に来てから3か月以上、女を抱いていない。
王都ならばいくらでも処理できたものが、ここではできない。
そのせいだ。
・・・・・・たぶん。
失礼しました・・・。