夢Ⅰ
無駄な時間が過ぎていく。
灰色の箱の中に閉じ込められて無理矢理勉強をさせられる生活だ。一体どのくらいの期間なのだろう。
分からない。物心が付いた時にはこの生活だった。
『偉い人になるためには勉強しなくてはいけません。だから一生懸命勉強しなさい』
世間一般で言われている決まり文句の一つだろう。幼子にこのような短絡的な言葉を言うのは如何なものか。
子供だって馬鹿な大人にはなりたくない、と思って勉強に取り組むだろう。
だが、歳を取るにつれてエゴが生まれてくると反抗するようになる。
俺は思う。
小さい子に意味もない勉強を強要するのは正しいのか、と。
この問いに対しても模範解答が決まっている。
『小さな子が将来を決められる訳がない。だから親が導いてあげないといけない』
立派な解答だ。大変子供のことを大切に思っているのだろう。
だが子供にとって見ればどうでもいいのではないか。小学校に入る前の教育で将来が決まる、なんてあり得ない。
馬鹿げている、の一言につきる。子供を自分の自慢の為に用いる道具としか見ていない。
ああ、どんな批判でも受けよう。だがな。そんな教育を受けてきた本人から言わせてもらおう。
甚だ迷惑だ。そんな教科書通りにしか動けないつまらない人間の末路を教えてやろう。
誰にも相手にされない。
いや、多少語弊があるな。
全くではない。大半の人間から、が正しい。
そこで再び親からの模範解答を出してみよう。
『あんな馬鹿な子達の相手にしなくていいの。あなたはあなただから』
ちゃんちゃら笑わせてくれやがる。この親は恐らく自身が体験したことないからこんなことを言えるのだろう。
『孤独』という巨大な壁に立ち向かえる奴なんてそうそういやしない。
それは例え人と関わることがあまり好きではない俺も例外ではない。
どうしようもない寂寥感に駆り立てられることなんていくらでもある。
ああ、だからだろうか。
俺は幼少期からこう呼ばれていた。
『欠陥品』
これまで語った大人の模範解答に応えられないからだろう。確かに否定できる材料が見当たらない。
やはり俺は死ぬべきなのだろうか。いや、まだできない。
まだ死にたくない。
知らなくてはいけないことがある。
だから自分で道を切り開かなくてはいけない。
それが親の思惑通りに動くしかない、という現実であっても……。




