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燃ゆゆ

作者: 秋浦ユイ
掲載日:2025/09/01

燃ゆゆ

「帰りさない、君が来ていい場所じゃないよ」


 とあるライブハウスの入り口で

 一人の少女とスタッフが問答を繰り返していた。


「なんでですか?アタシだって此処でライブしたいんです!」


 少女の名前は“セキネ”。

 少女の背中にはギターケース、中にはセキネが愛用するエレキギターが仕舞われていた。


 スタッフは呆れ果てたように手払うがセキネは金色(こんじき)に染め上げた肩まである長い髪をクルクルと手遊びしていた。


「んでかさ、ハウスに入る事すら許されないとか、ど言う事ですか?理由も何も教えないで帰されたって納得する訳ないじゃないですか……」


 スタッフの男性が、腕を組んで溜息を吐いた。

 セキネの言い分は全て一つの条件によってライブハウスの入室を拒否する事になってしまうのだ。


「――君ここ未成年は立ち入り禁止なんだよ」


 

 時は流れて三年後、セキネは18歳の誕生日を迎えていた。


 この三年間、セキネはプロ並みまでにギターの技術を上げていた。


 セキネが、そこまでギターを上達させたのは、あの日味わった――


 年齢によって有りとあらゆる事を制限されていた“不自由”さと、自身が世の中を全く理解していなかった故の憤りが糧になっていたからだろうか。


 セキネの脅威的な集中力と潜在的な執念と羞恥心が、より一層にギターへの想いを加速させていたのだが――


「ハピバー……ッッ、ハッピバー……スディ」


 ギターに夢中になり過ぎた故に、ギター以外の千差万別を切り捨てていた。


「あぁ〜関根ってギター弾きながら、歌うの無理系なんだねーまあ、練習すれば出来るんじゃね?」


 ――セキネはその時、初めて気がついた――

 

 今日、自身の誕生日を自分自身でも祝おうと生涯の友達(オオハラ)に誘われノリで弾き語りを披露しようとしたのだが



「あ、あれ……」

 

 全く声が出ないのだ。


「な、なんでぇ!なんで!?」


 世界の中心で……正しくは日本のとある生涯の友達(オオハラ)の自宅で、まるで恐竜の咆哮のような声を張り上げた。


 顔面蒼白になり、酷くショックを受けている。

 その彼女の横でオオハラは話す

 

「まあそんな、白い顔しなくともさ〜めっちゃギター上手いからプラマイじゃね〜」


 だが、そんな励ましいも全く耳を通らない。


「そだ、関根の為にめっちゃ奮発して……ケーキ買っちゃたんだよねぇ〜」


 ――ドン!

 漫画なら、そのような効果音が付きそうな大きく重厚なショートケーキをセキネの前に出された。


 それはテーブルに輝き、誰しもが涎を垂らし喰らい付きたいと想うであろう1ホールのショートケーキを前にしていても尚、セキネは目を灯さない!


 

 セキネが此処まで萎れているのは訳がある。


「そうだよな……そんな簡単に割り切れる問題じゃないよな〜“夢”だったもんな……」


 彼女の以前からの夢はシンガーソングライター。つまり歌って奏でれるプロフェッショナルである。


「ただ、まあ二足の草鞋を履かなくともさ一足でもイケるからさセキネは……ほら普通に歌自体は上手いんだしさぁ〜」


 オオハラは現状の虚無感に苛まれているセキネに語り掛けて同情していた。


 実際、セキネはギターはプロ並み

 歌は歌で一般的な技術を身につけており上手い部類に入るであろう。


 それもこれも昔からシンガーソングライターの夢を見て力を着々と脈々と付けていた努力の結晶。


「う、うん……」


 細々とした声でセキネは呟く。

 そこに生気を感じるのかと問われると首を傾ける人が多い事だろう。


 オオハラの自宅にはセキネとオオハラのみ。

 現在、両親らは労働中である。

 それだからかその場の空気が数秒間、何年も閉ざされた伽藍等のような冷気が舞っている。


 冷気を感じて、“これは如何!”と思い立って気分を変えようとケーキを切り分けたオオハラ。

 その姿を横目に愛用のギターを手にして、何かを心の中で詰める、そんな重い表情をするセキネ。


「ヨシっ食べよー関根ッ!」「……決めた……」


 二人の声は重なり双方、何を言ってるのか聞き取ることが出来なかったのだろうか。

 また数秒、沈黙が流れた。

 

 だが、直ぐ様に二人の心が通じたのか沈黙を経て

 二人は同じタイミングで笑い合った。


「ンフフ!ありがとオオハラ!ケーキ、嬉しいよ!」

 

「ンハハハ!イイって事よ〜そうだ!なに、決めたんだ?セキネ」


「ん、あぁ……」


 笑い合って、流れるように会話を続ける二人。お互いがお互いに信頼し合っていて互いを尊敬し合っているからこそ、笑い合えた。


 どんなにギターに夢中になっていても、それを邪魔せず適度に距離感を保ちながらセキネと共に絆を深めてきたオオハラ。


 彼女はライブハウスの常識を知って今日のように酷くショックを受けていた時も、ギターをひたすらに練習して、その成果を披露する相手も

 オオハラは優しく接してくれていた。


 互いが互いを思っている実に良質な関係性である


「アタシさぁー」


 セキネは先程、オオハラが切り分けてくれたケーキを慎重に紙皿に乗せケーキを凝視し、フォークで優しく切り分け、甘く蕩けるケーキを一口。


「う、あま……」


 そう、漏れ出た声がオオハラの笑いを誘う。

 ゆっくりケーキを味わい終えて決心した事柄をオオハラに打ち明ける。


「……私さバンド組みたい……」


 セキネから出た言葉は揺らぎを通してオオハラの耳に即座に届き、彼女の脳内が直ぐに言葉の意味を理解するとオオハラは自然と


 ――笑みを見せた。


「アタシ燃えた、マジで燃えた……こんなに努力してギター上手くできても課題はまだあるし、弾き語りも出来なかったんなんて腹立つ!」


 自分自身への愚痴をケーキを頬張りながらコレでもかと味わう姿はまる小動物。

 

 その金髪は胸まで伸びていて揺らめく。


 対面には対照的な黒髪でショートカットのオオハラ、彼女は真剣に、でもいつもと変わらない姿であるセキネから発せられる言葉を笑顔で受け止める。


「それならさアタシさ、バンド組んで……ギターだとか、それこそボーカルをさ担当して音楽を作りたいんだよ……どうかなオオハラ」


 セキネの考えは、昔と変わっていた。

 昔は“ギターを背負って、シンガーソングライターとして弾き語りをし観客に届ける”


「シンガーソングライターを目指していたのだってさ……根本的にはアタシ音楽がしたかったからなんだよ」


 現在、セキネはギターを自由気ままに、そしていち早く自由に音楽を作りたい届けたい、そんな想いがあるのだろう。


「……確かにオオハラの言う通り“練習すれば出来るんじゃね?”ってのは分かる……だけど、アタシには時間が無いんだよ」


「メンバー集めも、統率も合わせも全部……大変だと思うけどさ……だけどさオオハラどうかな?」


 オオハラは呼吸を整えて一言はなつ。


「うん――イイんじゃない?」


 そして続けた。


「関根のバンドメンバーに入ってやんよ……勿論、私が得意な――ドラムでな」



 セキネは一か八かで、オオハラに問い掛けた。その結果、しっかりと返事を貰えて喜びに満たされた笑顔を見せた。

 

 「ありがと!」


 《数日後》

 

 物語は奇妙な方向へ徐々に進んでいくのだった。

 ある一人の――


「え、なになに?関根、何見てんの?オカルトとか結構好き系だったけ?」


「ち、違うよ……最近ネットで話題の奴ね着ぐるみを着た超絶にカッコよくて上手いベーシスト!」

 

 ――ギタリストによって


「この人……ウチのバンドに加えようよ!!」

 

勢い任せで第一話というか短編みたいなのを書きました。


面白かったでしょうか?

と言うよりこれだけじゃ分からないこと多すぎるよね



続き読んでみたいと思ったら何かしらアクションしてくれると嬉しいです。

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