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プロローグ

 そこでダンジョンに死に物狂いで潜っている彼、向江水(むこうみず) 激志(はげし)には、幼馴染がいる。


 親同士が知り合いで、生まれた時から家族同士での交友があり、自然とペアのように行動していた。


 そんな関係性が変わったのは中学生に入った頃の事だった。


 え?そんなことよりダンジョンについて話せ、だって?


 仕方ないな、向江水君のことについては軽く説明してダンジョンについて話そうじゃないか。


 まぁ簡単に言えば幼馴染ちゃんは美人に成長して、連日告白されていたわけだ。


 んで、向江水君が聞いているとも知らず、ダンジョンに潜って冒険者のランクをXにまで上げたら考えてあげる!と言ったのである。


 Xランクだなんて聞いたことが無かった学校の者たちが彼女に訊ねると、親がこの国、日本の冒険者ギルドに5つあるエリア統括の役割も担っている北海道支部の支部長だから知っている、重要人物にだけ与えられるランクである、と言ったのだ。


 そして続けて、そんな立場だから信頼できる人じゃないと付き合えません!とね。


 まぁ、変なのに引っかかって不正要求やダンジョン内での特定人物の抹殺要求などの脅迫の材料に使われては大変だから、彼女に護衛が影についているのは事実なのだが。


 さて、そんな重要要素であるダンジョンについて話そうじゃないか。


 君たちも気になっているんだろう?


 まずダンジョンが出来たのは30年前、2025年の1月の話だ。


 ”リズちゃん”と名乗る謎の存在が世界中に、全ての言語話者が理解できる謎の言葉でこう告げたのである。


『この時空は下等生物ばっかりだから、やさしいやさしいリズちゃんが進化のチャンスをあげちゃうぞ☆彡


 今からこの時空にはレベルとスキルが実装されるのさ!


 とーくーべつに!時間は下等生物たちの基準に合わせてあげる☆彡


 うーん、そうね。各国の一番上の人には先にステータスを配って、その人がその時間、って決めてステータスに表記されてるボタンを押した時に付与されるようにしてあげるわ!私ってば天才♪


 あ、でもでも、ずーっと付与しないのは駄目だから、タイムリミットを付けちゃいまーす♪1か月後まで!これくらいあれば下等生物な君たちでも準備できるでしょ?


 あー、でも早く決めた子達に良いことあった方が良いかしら?


 えぇーっと、そうだわ!押した順番にいっぱいダンジョン配置してあげる♪


 っていってもダンジョンって何?って感じよね?だから特別に説明してあげるわ☆彡


 ダンジョンって言うのはね、ゲームみたいにモンスターを倒してレベルを上げる場所です!コレで伝わらないなら知らなーい♪


 んー、そうねー・・・A、B、C、D、E、F、G、H、I・・・A~Gくらいでいいかしら。前にばらまいたところじゃ低いのが一杯ありすぎてらくしょー過ぎたもの。


 ダンジョンは、Aが一番強くて、Gが一番弱いの!入口のゲートを通って入って、一番奥にあるコアに触れればクリアよ!


 クリアしたら壊れ・・・るのばかりじゃ困るんだったわよね?


 えーっと、この辺に先輩がくれたメモが・・・あ!あった!


 こほん。


 10分の1は、コアに触れたら壊れます!そして、壊れるタイプのダンジョンは入り口のゲートにランプを付けるわ?そして、そのランプがぜーんぶ点灯したらゲームオーバー!中からこわーいモンスターがいーっぱい出てくるのよ!だから必死に潜ってね?


 あ、別に壊さなくても中のモンスター狩ればランプは減るよ!


 反対に、壊れないダンジョンからはモンスターはぜーったい出てきません!そして、こっちだと挑戦者・・・冒険者?君たちは死にません!中で死んでも出口用ゲートからポン!と吐き出されるだけ!こっちで鍛えて、壊れる方に挑むのよ?


 壊れる方は死んじゃうからね!


 あ、ダンジョンに潜るメリットはレベルが得られるのと溢れるのを防止するだけじゃないわ!モンスターを倒すと、食料とか水、燃料とかの資源が手に入るのよ!


 じゃあ、そう言うことだから!頑張って進化すると良いわ!』


 と。


 世界中が混乱する中、さらに混乱の極みにあったのは日本という国であった。


 丁度国会中だったにもかかわらず、国家元首代理ともいえる総理にステータスが出なかったのである。


 そして、不意にステータスが全員に付与され、気づいた官僚が最後の天皇と呼ばれることになる愛和天皇の元に行くと、御年125歳の震える手でステータス付与ボタンを押した後に事切れていたのだ。


 なお、最後の天皇と呼ばれることになった原因はこの出来事ではなく、当時から95年ほど前、1930年に起こった妖魔大戦争とよばれる大戦が終わった後生き残っていた皇族の血を引くと確認が取れた人物がこの女性のみであり、この人は何故か妊娠できなかったからである。


 戦争時に情報が散逸し、自称皇族は多く存在したものの全ての、この国、日本―日ノ本諸藩連合国―の国民が認める皇族は存在せず、最後の天皇になるに至ったのだ。


 まぁ、それは置いておいて、大事なことは2つ。


 1つ目は、どの国よりも早く日本にステータスとダンジョンが配布されたこと。


 2つ目は、ステータス配布より前に国家元首が暗殺されたとある国の国民には、1か月が過ぎてもダンジョンだけが出現し、その国がダンジョンから溢れ出したモンスターの大群に飲み込まれるその時までステータスが配布されなかったことである。


 これらの事から、最後の天皇と呼称されることになった愛和天皇は命が尽きるその寸前にそのことに気付き、最後の力を振り絞って付与した名君であったと言われることになったのだ。


 さて、そんな経緯でどこよりも早くダンジョンとステータスが付与された日本は、ダンジョンの状況を調査し、流石に藩間の通行がスムーズとは言えない連合状態ではやがてあふれ出すことになる、と判断し他の地球から流れ着いた情報を元に廃藩置県を実施、国名を変えて日本国となったのである。


 国の上の人物たちがそのような内政に力を入れている中、国民たちは1週間ほど喪に伏した後、ダンジョンへと潜っていった。


 ダンジョン対策で各国の内需が高まった結果国外からの輸入が激減し、食料が枯渇寸前だったのである。


 その結果他の国々とは異なりほぼすべての人間がダンジョン―ただしその大部分は死なない方の非致死性ダンジョンと呼称される方に―に潜る総冒険者国家、ランク制主義国家日本となったのだ。


 ・・・え?ランク制主義国家ってなんだ、って?


 ランクの数だけ票を入れれる民主主義みたいなものである。意見を通したければランクを上げろ!と言われる修羅の国である。


 ランクは、最初Gから始まり、G級の非致死性ダンジョンを10個踏破することでF級に、またF級を10個・・・と言う風に上がっていく。


 Gであれば1票、Fであれば2票であり、A級になれば7票、最上位であるS級になれば8票である。


 なお、破壊され死に得る方のダンジョンは級の英字の前にSが付き、自分の級より1つ下までしか入れないのだ。


 まぁ、ここまで話をしてわかってもらいたいことは、北海道支部の支部長というのは相当な大物であるので幼馴染ちゃんの要求は無茶ではないということと、君たちが知っている世界の歴史とは全く別物なので変な所があってもこの世界特有の事であると気にしないで欲しい、という2点である。


 さて、では次は私が追っていく視点主、この物語の主人公である向江水 激志君の辿って来た足跡を語ろうじゃないか。


 ちなみに、先の幼馴染ちゃんの発言は、3年前である。


 3年間にあった出来事を時系列順に大きなものだけを並べていこう。


 北海道ではあの善良な幼馴染の父親が便宜を図ってしまうと判断し、幼馴染ちゃんの発言を聞いたその日のうちに本州を飛び越して九州にまで飛んで早々にC級に到達。


 その後、人知れず山奥に出現していたSC級ダンジョンの氾濫―モンスターが外に出てくること―をほぼ単独で解決し、特例的にB級に昇格。


 ここまでが1年であった出来事である。


 さらに1年をかけてA級を10個踏破しS級になり、1年かけて慎重にSA級ダンジョンを踏破、世界初のS₁級冒険者―小さい数字はSA級ダンジョンの踏破数を示すことになった―に至ったのだ。


 どうやったらX級冒険者になれるのかと首を傾げながらも3年を過ごした向江水君は、この間一度も帰省せず1度も幼馴染ちゃんに出会っていない。


 なぜか―向江水君に話を聞かれていたことは知らないので―唐突にダンジョンに行ってくるとだけ書き残して地元を飛び出して消えていった彼を幼馴染ちゃんが親たる北海道支部長の全権力を持って探していることも知らなければ、九州の支部長が優秀な冒険者に素性を秘密にしてくれと言われた―思春期特有の好きバレが恥ずかしいという感情由来であるが誰にも言っていないので何か悪人から逃げていると思われている―ので情報を漏らさないように必死に北海道支部長からの探りを遮断していることも知らない。


 全てを知っている者は私以外におらず、私は面白い物を見つけたと言わんばかりに眺めているだけなのでこのことが判明するのは先の事・・・これは、そんな世界における、向江水君の冒険譚である。


 って、向江水君は私を笑い死にさせる気かい!?信頼が必要なら、国外のSA級ダンジョンを攻略せねば!とか言って海の上を走って大陸に向かってるよ!


 あーっはっはっは!


 あ?私の名前?Lisbellである。


 え?リズちゃんとは別だよ。あれとは無関係・・・じゃないが別人さ。


 ただの傍観者で、中に干渉することは無いよ。だってこの物語はコメディだからね。


 シリアスなら、力が欲しいか・・・?と主人公君に語り掛けるかもしれないけど、ここまで面白い物語に干渉したら台無しになってしまうかもしれないじゃないか。


 で?どうするんだい?この物語を読みたいのであれば、それを示してくれたまえ。


 君たちのいる世界にいる代行者の脳内に物語の内容を送り付けて、書かせるからね。


 どんな形式で物語を公表するのかは代行者に任せているし、物語の内容を映像の様に送り付ける都合上、代行者の能力次第でクオリティが変わるかもしれないがそこは私の知ったことじゃないからね。


 なんせ、代行者は私が選んだわけじゃなく波長が合った人間が受信して成るものだからね。

感想大歓迎です。

☆やいいねをよろしくお願いします。特に☆は1でもいいので何卒・・・

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