エピローグ
☆3年後
俺は、あれから、貴族牢に入れられ、召喚の仕事をするようになった。
最初は、弾丸だった。
「これが、分かるか?」
「分かりません・・・」
次は、本だ。
赤い本と緑の本を見せられた。
何かの教本のようだ。自衛隊の本。
「この本を二セット、通販しろ」
「はい」
「下水道、上水道の本を」
「プラスチックの本を・」
やがて、召喚の仕事もなくなり。少し、お小遣いをもらえるようになった。
それで、本を読み。時間を潰す。
そして、三年目くらいに、この世界で、名をはせている。3人のうちの一人聖王国の聖女がやってきた。
30前くらいの長髪の女だ。目が釣り目。転生者のようだ。
「いまから、欠損部位の回復魔法をかけます」
「え、いいの?」
ボア~~~
やった。これで、元に戻れる。
王国は、やはり、俺を必要としているのか?
「一緒に来なさい」
「はい、どこに行きますか?王宮ですか?それとも、冒険者ギルド・・」
「・・・君ね。その本は、エロ小説ね。とりあえず。この部屋で、打ち合わせをするわ」
部屋にいた人物は、日本人だ。あの魔王と、勇者サトシだ。後、もう一人いる。
「ゴホン、アズサの夫、剣聖勇者、アルバートだ。護衛に来た」
「そう、サトシ殿と会うと言ったら、心配して来てくれたのよね。私は、貴方しかいないのに・・・・って、それはいいわ。後は、いちいち、自己紹介しないから・・・・裁判の打ち合わせよ」
「佐々木さん、素敵な旦那様ですね」
「本宮さん。そうでしょう。自慢の夫なのよ」
「ウヌー、仲が良くないか?」
「何だってーーーー」
・・・王国で裁判が行われる。
「誰の?」
「君よ」
「アズサさんが、この王国に入れ知恵したんでしょう?ズルいですよ」
「そう、ズルいわね。それで?何か?」
「だって、俺のチートを邪魔した」
「そう、チートを邪魔するのはズルいわね。それも、チートよ」
「まあ、アドバイスするわ。銃を農民や不良孤児にばらまいたのは不味かったわね。彼らは、平気で銃を売ったりしていたわよ。
軍隊なら、銃の一括管理は当たり前。これは常識であって、民間の解説本に載せるまでもないことかもしれない。自衛隊の関連規則には載っているわ」
「え、でも、そんなこと、誰も教えてくれなかった」
「騎士団でも、弓や魔剣は一括管理よ。いくらでも、気がつくチャンスはあったわ。
後は、この世界は、金兌換制よ。金の保有量=お金の流通量と言ってもいいわ。
これは、学校で習ったでしょう。現代軍の欠点は、金が莫大にかかる事よ」
「そんなこと知っているよ」
「知っているけど、関連付けて、自分に置き換えて、考察する能力はなかった。貴方がニートでなくても、結果は同じね。ニートでも成功している人は、沢山いるわ」
「まあ、まあ、それよりも、尚人君の弁護の打ち合わせをしよう」
「サトシさん。俺、大公に騙されたんです」
「それ、悪手、大公は死亡、リンデアは、魔族領で尋問、話から、途中で、尚人君が、明確に王になる意思を持っていたと、判明したよ。
これは、嘘を言ったら、死亡の契約魔法をかけて行った尋問だから、確実性があるよ」
「それじゃ、どうすれば・・」
「ひたすら、情状酌量を求めるしかないね」
「そんな」
「順当で、処刑、次点が奴隷労役50年と言うところかしら」
・・・裁判が始まった。
あの王女、フィーネが裁判長だ。国家反逆罪だと、
「・・・以上のことから、彼は、自分の意思でこの国に来たのではないのです。裁判長の恩情を、切望いたします」
「最後に、ナオト、言うことはありますか?」
「あの、奴隷で結構です。召喚の仕事をさせて下さい!この城にいさせて下さい。お役に立ちます」
「・・・・・・・」
その数日後、判決を言い渡された。
「主文、右手を切断し、追放刑に処す」
「ちょっと、待てよ。利手を斬られたら、魔法使えなくなるよ。いや、聖女様、また、治してよ」
「・・・欠損部位を治したのは、新たに刑罰を受けてもらう為よ。王国から依頼があったのよ。治してもらいたかったら、聖王国に行き。金貨100枚を添えて、申請しなさい」
「ケチ!じゃあ、アズサさん。お金貸して!」
「無理ね・・・お金を貸す信用関係がないでしょう?」
「金持ちのくせに、サトシさんは?」
「お金を借りるのに、その話し方はない。無理だよ」
カンカン!
「静粛になの!刑は即日執行!」
「良かったな。お前は追放されたかったのだろう?」
「そんな」
「利き腕がなくても魔法は使えるわ。ただし、精度が格段に落ちるけど・・・」
・・・私、アズサ・ササキは、フィーネに心情を聞いた。
「何故、奴隷労役にしなかったの?」
「貴女のことを調べたの。アズサ様は、人為的な召喚をされて、奴隷の指輪をつけられそうになったと聞いたの。転移者にとって、トラウマになる・・・」
「やさしいのね」
ガバ!
思わず抱きついた。
「お父様と家族を殺される原因になったのよね。本当は、奴隷にして、毎日、苦痛を与えたかったのではないですか?」
「追放されて、また、決起したら、今度は、そうはいかないの」
「そうね。財政が苦しい中、産業を興し、義務教育を二年間施せるようになったわね」
☆☆☆処刑場
パスン!
「ギャアアアアーーーーー、2度も斬られた!」
「これで、貴殿は、自由だ。さあ、王国内、国外、自由にどこにでも行かれよ」
「グスン、グスン、いやだ!」
・・・その後、吉野はざまぁ返しをすることなく、1転生者として、1年後、安宿で、死体で発見された。死因は、極度の栄養失調だ。
転生者、異世界に、鰯の群れのようにやってくると云われる。
その中で、悪名とは言え。名を残した吉野は、本望だったか。死んだので確かめようもない。
最後までお読み頂き有難うございました。