前編
☆☆☆金鉱山砦
「フィーネ様!敵の使者が来ました。金鉱山を明け渡し、フィーネ様は・・・縛り首、そうすれば、他の兵士は助けると・・・返答は如何しますか?」
「どうせ。奴隷として生かされるだけですよ。王女殿下、我らは、貴方と地獄までお伴しますよ!!」
「「「そうだ!」」」
「「「転移者ナオトを殺せ!!」」」
古の賢者言った。
綺麗は汚い。汚いは綺麗、正しいは間違い。間違いは正しい。と
なら、強いは弱い。弱いは強い。異世界人のチートは、逆転し、ホーネスト?いや無能になる。
まさに、自称ミリタリーチートの勇者モドキは、自らの能力で、棺桶に片足を突っ込んでいる状態じゃないか?いや、亡きお父様の策のおかげだ。
銃があるのに、この砦を攻めあぐねている。
自分だけが、転生者か?自分だけが、異世界の知識があるのか?
この世界の物は、全て、異世界に劣っていると?
劣っているのはお前自身だ。
いや、侮ってはいけない。敵の侮りは味方だが、味方の侮りは敵よりも怖い。
しかし、今だけは傲慢で行こう。
「馬鹿めと、返答するの」
「はい、馬鹿めですね。畏まりました!」
・・・これで、決まった。銃を持っている軍に、突撃を敢行する。
「突撃をするの!あらかじめ定められた人員は、城門前に集合なの!」
「「「はい!フィーネ様!残存騎士団!ザクトリー隊、集結完了!」」」
「ヒィ、魔道師軍団!ロイ、集合しましたわ!」
「「「魔道師見習い軍団、集結完了!」」」
度重なる敗戦で、お父様やお兄様、お姉様、騎士団、魔道師軍団も壊滅した。
直系、王族唯一の生き残り。フィーネは13歳、皆、私よりも、少し、年上ぐらいの若い子と50代のおじさん騎士の混合部隊だ。
「命令かた~~つ。敵情!3万、武器、銃、ロケラン、車両あり!敵は高度な機動戦をする可能性あり!我、突撃隊、騎士、魔道師隊、48名、突撃を敢行し!敵を殲滅するの!詳細は、作戦要綱の通り!5分後!突撃!」
「「「「敵は銃、ロケラン、魔道車使用!敵を殲滅、5分後、突撃、了解!」」」
「5分後、城門を開くぞ!」
「見送りに集まれ!」
「歓声はあげるな。敵に気がつかれる!」
「ワイバーン隊、準備!」
「クワ、クエ!」
バタバタ!
「おう、ボウ!!やる気あるな。頼むぜ相棒」
☆☆☆
「勇者ナオト様、敵は、降伏を拒否しやがりました」
「そうか。馬鹿だな。何て言っていたのさ?」
「それが、言いにくい事です」
「いいから」
「はい・・・、『馬鹿め』と」
「プゥ、状況分かっているのかな。こっちは、総勢3万人、うち1万人は銃があるよ。向こうは、魔道師と、剣と槍、後、ワイバーンか。
それよりも、この砦を落としたら、次は魔族領だ。その準備を進める。これで、各都市も城門を開いて、税金を払ってくれるよ。そしたら、軍拡だ。あれ、雨?」
パラパラパラ~~~
ヒュ~
「霧雨だ。向かい風だ。さっきまで晴天だったのに」
「フフフ、魔力を感じますわ。敵の魔法ですわ。『じゅう』は、雨で使えなくなると思っているのでしょう。小雨とそよ風で力を誇示しているつもりなのでしょうね。この権能は、フィーネですわ」
「そうなの。リンデア。馬鹿だね」
俺は、吉野尚人、19歳、就職浪人だった。異世界転移して、このセシリ王国の森にいたらしい。
すぐに、王城に保護されたけど、
俺の能力は危険だと、城で飼われ、発揮する場を与えてくれない。
追放すらしてもらえない。
この国は、
花と野菜の国と言われる農業国だ。ぶっちゃけ貧乏、だから、優れた日本の知識と産物で、内政チートを起こすべく、有志一同、立ち上がり。王国と戦い。連戦連勝。ついに、最後の砦を攻略することになった。
大将は、生き残りの末の姫、欲しがり妹と言われたフィーネ姫だ。10代前半らしい。
王国の金と秘宝を独り占めにしているようだ。
ここを攻略すれば、王国を手中に収め。
次は、魔王軍と戦う。魔族領は転移者により内政チートが行われ、豊かと評判だ。俺と同じ自衛隊の装備を召喚出来る能力者がいて、現代軍を持っている。見に行ったけど、実に、寡兵で、旧式だ。敵ではないだろう。文明も江戸時代末期だって、自分で言っていた。
「ナオト様!砦から、手勢が出てきました!100名いません。先頭に、フィーネです!」
「あ、そう。気が変わって、降伏をしにきたのかな?って、戦闘旗を掲げている!」
戦争って、もっと、自由かと、思ったけど、がんじがらめのルールがある。
降伏旗じゃないな。だから、戦ってもOKだ。
「ナオト様!敵は、小走りで向かって来ます。突撃のつもりらしいですわ!」
「リンデア!馬鹿だね。自殺願望があるのか?プゥ、これは、万を超え。銃とラムを持っている軍隊に、100で突撃?!想像を超える馬鹿だ」
そう、俺の能力は通販だ。この世界の価値のあるもので、日本の物を買えることが出来る。
武器も買えるのさ。
おかしいだろう。通販を危険だって、王は、俺を役人にしようとした。
飼い殺しだ。
リンデアは、大公の令嬢、兄とともに参戦してくれる。王家の血があるから、彼女と結婚すれば、俺がこの国の王になれる。
つまり、フィーネはいなくてもいいのさ。
「親衛隊に、撃たせてよ。みなごろしにしていいよ」
「「「はい!お父様!」」」
彼らは、10歳前後の、ストリートチルドレン、20式小銃を配って、訓練をした。数百はいる。
俺をお父様、リンデアをお母様と慕う。
この世界での家族と言っても良いだろう。
ダダダダダダダ!
「ほお、見事な、一斉射撃だ」
「フフフ、皆、お父様のお役に立ちたいとのことですわ」
ああ、早く結婚したいな。
・・・・・
「あれ、倒れない・・・どうして」
「おかしいですわね」
「ナオト様、ワイバーンが空をグルグル回っていますわ!」
「また、近づいたら、撃ってよ」
「近づいてきません・・・10騎以上います」
いつもは、歩兵に随伴して、地上数十メートル上から、ブレスを吐くトカゲなのに、数百メートル上を旋回している。
「個人携帯地対空誘導弾改は撃つなよ。あれは高い。一発、大金貨55枚(5500万円)だ。5発しか買えなかった。魔族領のドラゴンに使う予定だから、銃で撃退して」
「でも、また、空から鉄礫が落ちてきたら」
あ、そうか、空に向かって、撃つと、空から弾が落ちてきたことがあった。
それ以来、空に向かって、撃つのは禁止している。
奴ら、歓喜すると、銃を空に向かって、撃つものな。
「細かいことはいいよ。上空をグルグル回られたら、気分が悪い」
「「「はい!」」」
ダダダダダダダダ!
「あれ、弾が小便のように、弧を描く・・」
「ワイバーンが、ジグザグに動いて、当たりにくい」
シュ~~ン、ドン!ボム!
「何か落ちてきた!燃えている!もしかして、爆撃か?異世界人のくせに」
「あそこは、ガソリンの集積地だ!」
「ナオト様!フィーネが何かで弾を防いでいます!」
「でも、袋のネズミだ!全軍、突撃だ!110ミリ、え~と、携帯対戦車弾は、一発、撃って良いよ!」
・・・これも、一発、大金貨一枚を超える。
戦争って、コスパ悪いな!
☆☆☆親衛隊
バン!バン!
「ヒャハ、馬鹿だ。集団でまとまっている!」
「格好の『じゅう』の的になるのにね」
「撃て、あいつは、俺たちと同じ年齢で、贅沢に暮らしていたんだ!」
・・・・
「あれ、倒れない。何で」
「そんな。どんな大人の騎士でも倒れたのに」
「いいから、撃てよ!」
☆フィーネ側
敵からは、分からないが、前方、空中に、魔道師たちが、バスケットボール状のウォーターボールを複数、展開していた。
弾は、ウォーターボールに当たると、跳弾をしたり、勢いを失い地面に落ちる。
しかし、隙間がある。
パチャ!
「一人、被弾!」
「治療師は、回復、魔道師が鍵なの!騎士は盾になって、守るの!」
「「「オオオオオオオーーー」」」
「フィーネ様もですよ!」
フィーネの権能、霧雨により、魔道士達に、ウォーターボールの原料を提供していた。
「そろそろ、集まって来た!土魔法師!ソイルウォール展開なの!二重で作って、ロケランに備えるの!」
「「「御意!」」」
ピカ、ドーーーン!
「ロケットランチャーが来ました!皆、フィーネ様を守れ!」
ドカーーーーン!
「ゲホゲホ」
「至近距離だが、外れた・・天啓だ。さあ、フィーネ様!」
「ゴホゴホ、準備出来たの。総員・・ゴホ、防毒マスク着用!袖を伸ばすの!8秒後、発動!」
「「「気密点検ヨシ!」」」
「総員、地面に伏せ!これより!瘴気を散布する!!」
ボム!ボワ~~~~~
私は、鉛の箱の蓋を開けた。中に入っているのは、魔族領の瘴気の依り代。ダークエルフが使う秘術だ。戦術瘴気とか言っていたな。
・・・・
「おい、寝ているぞ!ロケランが効いたみたいだ。皆、突撃・・・と、ワナに気をつけろ!」
「落とし穴が至る所にあるからな。ゆっくりでいいぞ」
およそ、フィーネから数十メートル先で、
「あれ、体から、湿疹が・・」
「グハ」
バタン!
次々と倒れていく。
フィーネのそよ風の魔法で、敵方に向かうようになっていた。
ボム!ボワ~~~
そよ風を、敵に向けて、吹かせていたのは、このためだ。
「ゴホゴホゴホ!」
「あれ、目眩が」
ガタ、バタン!
・・・・ああ、この罪は、私が背負う。ミリタリーチートでも、対毒ガスの装備は知らないと見える。
この私もつい最近まで、分からなかったが、
☆☆☆数時間後
ボオオオオオオーーーーー
当たり一面、炎に包まれた。ナオトの軍は壊滅状態、ナオトは、車で逃げようとしたが、
王国軍に捕まった。
「はあ、はあ、はあ、卑怯だぞ!戦争だぞ!ルールってものがあるんだ!」
「黙れ!謀反人!」
バキ!
ナオトの咆哮に、フィーネは我関せずで、淡々と次の予定を述べた。
「お前は、四肢を右手以外、切断、こちらの要求された弾薬、武器を召喚するの~」
「な、何だと!」
「この国は、お前のせいで、銃が数千、散らばっているの。回収部隊を作るの~、恨みは飲み込み。生かしてはやるの」
「ヒィ」
「無能なお前は、それが、幸せなの~、従順だったら、未亡人に相手をさせるの。大公はワナにはまって死亡、リンデアは不妊魔法を掛け。顔を潰し。魔族領に移送。お前のせいだって、言っていたの。『使えない転移者』だって」
「ヒィ、お前、何歳だよ!そうだ。俺はもっと、役に立つ。言われた通り下水道をやるから」
バキ!
「馬鹿なの?あいかわらず、自分の置かれた状況をわかっていないのね」
どうして、どうして、こうなった。たった一戦で覆った。
銃を持った軍が、全滅・・・した!?
夢であってくれ。
最後までお読み頂き有難うございました。