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雨と事件と通せんぼ
その後、楓と別れて学校に向かう。その間も雨は降り続いたままだった。
学校に着き、さっさと用事を済ますために、職員室に向かう。
職員室はテスト前という事で何かと殺伐としていた。放課後はテスト作成のため、原則は職員室に入れず、用がある生徒は先生を呼び出して、別の場所で話すという事になっている。
例に漏れず、俺も前岡を出入り口付近にいる教員を便りに呼び出す。すると前岡はテストを作成している最中だったのか、俺を空き会議室に連れ立った。
「修学旅行の日程と進路希望調査もってきましたよ」
「意外と早かったね。こんな雨なのに」
「折り畳み傘は中々、心もと無かったですよ」
「まじかぁ。傘、持ってきたかな?」と前岡は自分の帰りを心配している。
「にしても、テスト前の職員室ってあんなに殺気立ってるモノなんですね」
「いや、それもあるけど今回は違う」と前岡は普段、絶対に見せない感情の揺れを表情と共に見せてきた。
「うちと同じ地区の生徒が、あの事件に巻き込まれちまった」
「あのって」
「少女連続殺人事件、3年生らしい」