今と未来と曇り空
翌日<10月17日>
朝1番、担任の前岡に平謝りしながら、進路希望を提出する。前岡は毎日似たようなオフィスカジュアルを着ていた
一週間締め切りから遅れた紙は、机の奥にあった為か、クシャ付き、内容と字の汚さに呼応して、より一層の醜さをかもち出していた。
前岡は、肩ぐらいまである、少し茶色がかった髪を触りながら話を始めた。
「これで最終稿?」
「はい、だいじょぶです」
少し間をおいて一瞥する。右足を上にして足を組む。
「まあっ、アンタぐらいの歳で進路決めるのなんて、難しいでしょ」
少し返答に困ったが、「そうですね」と返す。
「また、アンタに来年数学教えんのかぁ」
「僕は、先生の授業好きですよ」
目を少し細め、鼻で笑う。
「くらだん、おべっかはよしな。
毎授業、退屈そうに窓際から外ながめてんじゃない」
「……僕は、あの授業態度がデフォですよ。」
本題に舵を切るように、
「話変わりますけど、僕って修学旅行委員か何かですか?」
「あーー。私が選んだんだ。みんな、やりたく無さそうだったし。佐藤ぐらいしか手ぇ挙げなかったし。あと1人選ぶの時間かかりそうだったから、寝てたアンタを選んだ訳。黒板に書いてたじゃん」
最後ドヤ顔を浮かべ、満足そうな顔をして話終える。
「あ……、さいですか。分かりました」
汚い言葉が出ないよう、言葉を取り繕うとするが、普段の語彙力から限界に達してしまった。マリ?さんの苗字が佐藤である事が分かった。用が済んだので、教室に戻る。
前岡はとんでもなくズボラなので、そんなことだろうなと思っていた。テニス部の顧問をやっているが、公式戦に遅刻して、間に合わない事を確信して2度寝を決め込んだり。職員室に教科書を忘れ、取りに行けば良いものの、面倒なので前の生徒に見せてもらったり。そんな感じで枚挙にいとまが無いのでこれ以上深堀するのはやめておく。
放課後もバイトぐらいしかやる事ないから、一応参加しとくか。
マリ?さんという人には集まりに出てなかった事、休み時間あやまっておこう。