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ベーコンの音
毎朝、起きるのが辛い。もう冬。起きるのが辛い時期。それだけでも何だか勇気がいる。
もうとっくに朝だ。窓の外から朝の光を感じる。鳥の鳴き声。
起きなきゃ。早く起きないといけないとわかっているが、右足が重い。
そんな時、キッチンの方から音がした。
ベーコンを焼く音だ。
最近、夫は朝食を作ってくれるようになった。お腹が減る。お腹のなる音が一番大きいではないか。これだともうベッドにいる理由はない。
どうにかベッドから起き上がり、キッチンに小走りに向かう。
「おはよう! 今日も美味しい朝食を作ったぜ」
夫がドヤ顔で一枚の皿を見せる。そこには、目玉焼き、サラダ、バターロール。それにカリカリに焼いたベーコン。
美味しそうな朝ご飯を見ていたら、今日も起きてよかったと思う。
あの音のおかげで、冬でもどうにか毎日起きられる。私のとって目覚まし時計のようだ。
今朝もこの幸せな音が響く。




