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誰かとごはんを食べたくなる物語  作者: 地野千塩


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34/54

メルト

 クスクス。


 笑われている気がする。今日も婚活パーティーに行って来たが、成果は何もなかった。既婚の友達は励ましてくれたが、勝手に被害者意識をを持ってしまい、あまり会いたくない。特に既婚者には、独身である自分は欠陥品だと笑われているような……。


 もちろん、そんな事を直接言ってくる人はいないが、既婚者全員が敵に見えてしまう。心は岩のように固くなっていた。


 そんな中、優花から家に来ないかと連絡を受けた。


 優花も既婚者だ。できれば会いたくないのだが、あまりにも避け続けるのも不自然なので、お邪魔する事にした。


 優花のご主人は、長期出張で中国に行っているそうだ。子供もいない。彼女のマンションのリビングは、少々広く見えた。


 結婚しても、別にそんな変わりないのかも。余白の多いリビングを見ながら、そんな気がする。


「じゃーん! 今日はチーズフォンデュしよう」

「ホットプレートで? 出来るの?」

「うん」


 テーブルの上にホットプレートを置き、細々とした材料を切り、準備をはじめた。チ小鍋にチーズを入れ、チーズが溶けるのを待つ。


 ゆるゆるとチーズが溶けていく。


 ホッとトプレートの上には、パン、ブロッコリー、にんじん、エビ、イカ、ソーセージなどが盛られ、見るのも鮮やかだった。


 そう言えば優香花とはよく女子会を開き、こんな風にチーズフォンデュを楽しんだ事を思い出す。


 当時、女子会にはボスがいた。ボスは、優花の悪い噂を流し、孤立させようとしていたが、私はそんな噂全く信じらてなかった。孤立しそうな優花を誘ってよくチーズフォンデュ食べらた事を思い出す。


「私、ミサのいいところいっぱい知ってるから」


 優花の声とともに、ふわりとチーズの匂いが広がる。


「そうかな?」

「よくも悪くも、人の言うことを信じないのがいいところ」

「うーん。だから男も信じられないのかねえ」


 チーズは完全に溶け、具材をくぐらせて食べ始めた。チーズフォンデュはダラダラと話しながら食べるのにピッタリだ。いつまでも具がなくならない。酒もすすむ。


 いつの間にか、固くなっていた心もゆるゆると溶けていた。


 最終的には女二人で男の悪口大会にもなっていたが、まあ、いいか。

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