ハンカ湖の北から東へ移住する
アラーン
しばらくしてハンカ湖の周りには、たくさんの人が訪れるようになった。
勇敢で礼儀正しく勤勉なアジン・モルゲンは、客人を丁寧にもてなした。食料と薬草を分け与え、道を教えた。レフー川に沿って何度もロシア人の探検隊が送り込まれ、そのたびに迷う人も多くいたので、アジン・モルゲンは迷い人を助け、時に虎や熊に食われた人たちを葬った。湖の周りは巨大な湿原で、足を取られて動けなくなる客人が多かったので、見つけるたびにアジン・モルゲンはそれを助けた。
ある寒い冬、とてもたくさんの客人が湖にやってきた。それはコサックでも探検隊でもなく、住むところを失った貧しい人々だった。アジン・モルゲンらが村に招いたところ、彼らは続々と増え続けた。そして春になると、湖の周りの乾いた土地を興し、大豆や玉蜀黍を育て始めた。そのため、舟をつける場所がなくなるほどだった。
「畑の作物は動けない。人には足がある。」
アジン・モルゲンと村の人々は、ハンカ湖のほとりを進み、村の場所を東に移した。
新しい村には、以前より更にたくさんの人が訪れた。その多くはロシア人で、たくさん酒を持っていて、毛皮や絹や青玉と引き換えに村の人々に与えた。アジン・モルゲンは酒を好まなかったが、求められると必要な分だけ毛皮を彼らに与えたため、ニングダで商品に引き換えたり、イランへ献上したりする分がなくなった。長く献上することがなくなったため、郷長の証書も効力がなくなった。毛皮は酒と引き換えたのでなくなった。酒は皆が飲んだのでなくなった。