アジン・モルゲンと妻と子
アラーン
ハンカ湖の畔に住んでいた男があった。男の名はアジン・モルゲン。
夏は湖で漁り、冬になると狩りや人参採りをした。アジン・モルゲンは心の正しい男であったので、いつも多くの恵みを得ることができた。
ある霜降の日、アジン・モルゲンは湖で網を見つけた。網は持ち主のわからないもので、引き上げてみると一匹のチョウザメがかかっていた。チョウザメは白露から寒露の間に取るものなので、アジン・モルゲンはこれを水中に逃した。
その後、アジン・モルゲンは妻を娶った。花嫁の着てきた衣装は草の衣と魚皮の衣と毛皮の衣を重ねた、人参よりも高価なものだった。妻はアジン・モルゲンによく仕え、オンドルを守ってよく働いた。
ほどなく妻は身ごもった。アジン・モルゲンが産屋を立てていたところに産気づき、産屋の扉をふさぐ前に出産した。にわかにハンカ湖の水かさが上がり、産屋の傍まで迫ってきた。妻はチョウザメに姿を変えて水に入り、再び人の村には戻らなかった。
妻が産んだのは一男。アジン・モルゲンが抱き上げて外に出ると、湖面に映る鱗のような太陽を見てそれを指差した。
アジン・モルゲンはますますよく働いた。氷が解けると子を背に背負って湖に出ては魚を取り、真夏は子を傍らの籠に入れて漁具の手入れや木工をし、秋になるとハンカ湖に網を広げてチョウザメを取り、他の人には取らせず、それをすべて逃がした。そして冬には子を村に預けて狩に行った。狩の得意なアジン・モルゲンは多くの貂を獲り、毛皮をニングダに運んでは絹や青玉と引き換えた。また何年かに一度はイランに毛皮を献上し、郷長の証書を受けていた。これらは大変権威のあるものだったので、村には多くの人が集まり、とても栄えた。
やがてアジン・モルゲンの子は大きくなり、一人で何でもできるようになった。アジン・モルゲンは子に狩りを教えた。






