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1.エドガー・アラン・ポオ

作家活動期: 1832~1849


発明品: 推理小説、素人探偵、密室殺人、

     意外な犯人、暗号解読


好きな作品: モルグ街の殺人(1841)、

       お前が犯人だ(1844)



 ポオはミステリー(推理小説)の創始者とされています。ところで、ミステリーっていったいどんな小説を指すのでしょうか。

 まず小説の冒頭で、物語に不可解な謎が生じます。でも、それが解決されないまま作品が終結すれば、それは、ホラー(恐怖小説)に分類されることでしょう。ポオの作品、「アッシャー家の没落(1839)」や「赤き死の仮面(1842)」、「黒猫(1843)」などは、謎が最後まで解明されずにその余韻を楽しむ、いわゆるホラー小説ですが、さらにそこにポオは『探偵』という概念を創造し、その探偵に物語の謎解きを執行させる、という手法を取ることで、ミステリーとホラーの間に明確な境界線を引いたのです。

 ポオのミステリーの代表作に「モルグ街の殺人(1841)」や「黄金虫(1843)」などがありますが、モルグ街の殺人では、『密室殺人』や『意外な犯人』という新概念を創造したと言えるでしょう。まさに、ミステリーが誕生した記念すべき一作とも言えます。一方で、黄金虫では、『暗号解読』という謎解きの定番形式も、ポオは創出しました。

 ポオの小説を読んでいると、ポオは粘着気質で執着心の塊のような人物であろうと、容易に想像が着きます。まさに天才というか、常人離れしていることは間違いありません。小説のはずなのに、ポオの文中には詩がたくさん登場します。詩を書くには、豊富な語彙力と、個性的な感性が必要となりますが、そこはもはや彼の独壇場で、彼の文体は誰にもまねができません。

 例えば「アッシャー家の没落」を例に挙げてみましょう。謎が解かれずに終わる、いわゆるホラー的な短編ですが、軽く見てはいけません。格式高い重厚な文章に彷徨させられ、アッシャー家の邸宅へ入るまでの文章で、読者は疲労困憊、精根尽き果ててしまいます。プロット的には、割と普通、といってしまっては、彼の愛好者たちから非難を受けてしまいそうですが、空前絶後のどんでん返しがあるわけではなく、後日に書かれたホラー短編である「黒猫」の方が、プロット的にはよっぽど洗練されています。ただ、たとえ凹凸に乏しいプロットであっても、ポオの手に掛かると、読者は異様な世界へ連れ込まれ、これまでに体験したことがない恐怖のどん底へ突き落されてしまうのです。そこが彼のすごさです。

 ポオは天才ですから、彼と同じ次元の文章は、通常の人間にはまず書けません。でも、ミステリーを書く時に、異常心理の犯罪者を創造しようと思ったら、まっさきに、「アッシャー家の没落」や「黒猫」を読んでみてください。きっと何か得るものがあるはずです。


 あらためて調べてみたところ(ネットは本当に便利ですよね)、普通小説に分類されているけどミステリー嗜好が強い代表傑作、夏目漱石の「こころ」が1914年で、フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキーの「カラマアゾフの兄弟」が1880年ということですから、ポオが後世に与えた影響は想像以上に大きかったのだと思います。



  ポオから得た教訓:

 文章の表現力は高いに越したことはありません。でも、自分には才能がないの一言で、それを片付けてしまっては、面白くないですよね。たとえ素人作家でも、自分が書いた文章を、時に見直して、修正を加えるなどしながら、日々頑張っていれば、やがて語彙力も増えていき、次にはもっといい小説がきっと書けるようになるでしょう。努力はみんなができることです!

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