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傲慢な戦士:偽  作者: ヘイ
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第65話

「何で!」

 責め立てるように叫んで川中は隠された顔を怒りに染め上げる。

「マルテアァア!」

 幾ら叫んでも、彼の叫びに答えは返ってこない。既に、マルテアとの通信は途切れてしまっていた。

「答えろ!」

 普段の川中からは考えられない程に声を荒げる。優しさを感じさせない、憎悪の滲む声で求める。

『ぐっ……! 陽の国の! 落ち着け!』

 ルイスとの戦闘中にも関わらず、ディートヘルムは川中に指示を出す。

 しかし、彼の声を聞いたとしても、川中は冷静になることはできそうにもなかった。

「答えろぉおお!!!!」

 問い詰める様に叫びながら川中は銃を撃ち放った。

 しかし、この攻撃がマルテアのリーゼにダメージを与えることはない。

「くそ! くそっ!」

 大剣を持って、カルロスなど無視してクラウディアに向かって突っ込んでいく。

 あり得るはずがない。

 あれだけの事をして、ただの同士討ちだなどと考えられない。

『うぁぁああああああああああああああああああああああああ!!』

 通信機から聞こえてくる飯島の叫びに呼応するように川中も叫ぶ。

 戦況が完全にアスタゴ有利になりつつある。唯一、冷静であるディートヘルムはルイスの対応に手一杯で、フォローすることは不可能だ。

『チッーー!』

 ディートヘルムの舌打ちが響く。

 クラウディアは敵として最悪な手を取ってきたのだ。

「お前は殺す。絶対に」

 川中は涙を流しながらにクラウディアの乗るマルテア国旗の描かれた、黒色の巨人を睨む。

 我を失ってクラウディアに特攻する川中は誰がどう見ても隙だらけで、カルロスが見過ごす訳がない。

 自身に向くハルバードの矛先に注意が向かなかった。

 カルロスのハルバードが川中のコックピットを背後から破壊した。

 血で染まっていくリーゼの中、川中の殺意は収まらない。

 ギチギチとリーゼは活動を続けて、死んだと思い油断をしていたクラウディアは迫り来る大剣が避けられない。

「死ね! 死ね!」

 血を吐きながら、最後の瞬間まで怨嗟を吐き続け、大剣を深く深く突き刺していく。

「地獄に、落ちろォ!!」

 最後に川中は獣の如く吼えて、喀血しながら意識が落ちていく。

 沈み込む。

 そして、リーゼはそんな意識と共にか、クラウディアの乗るリーゼと共に大地に向けてその体を投げ出した。

 リーゼが倒れ込んだ事により、地響きが起きる。

 戦場が揺れた。

 ここで一つの戦いが終了する。

「ごめ、ん……ね。竹、崎……」

 謝罪が川中の口から出た。

 この言葉が、謝罪が紡がれたのは、自分が竹崎から助けられたことに対する罪悪感からだった。

 自分勝手だ。

 川中も竹崎も。

 勝手に人を助けて、自分だけ満足した気になるのだから。

 そして、また一つ、叫びが上がる。


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