表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
傲慢な戦士:偽  作者: ヘイ
38/117

第36話

『本日も食糧補給につき、リーゼ一機を護衛に回す。連絡は以上だ』

 ヘッドギアから聞こえてきたのは岩松の声。ここまで毎日のように聞くことになれば、流石に慣れてしまう。

 三人は未だリーゼから降りておらず、こうなる事も予測できていた。誰が行くのかを決める前に降りては態々、乗る手間というものが増えてしまう。そのためリーゼから降りる事なく三人は船に乗らずに待機していたのだ。

 リーゼが立ち上がるのにもかなりの力がいる。

「誰が行く?」

 岩松からの連絡が切れたのを確認して、山本が二人に通信を繋ぐ。

 質問に答えたのは飯島である。

『俺か松野が行くから、山本は休んでてくれ』

 声は聞こえないが松野も文句はないのだろう。

 前回は飯島が向かったため、その負担を考えて今回は彼を選択から外す事にした。

「いや、俺は良いが……」

 大丈夫なのか。

 確認を取る様に山本が口にしようとすると、松野が遮った。

『山本も疲れてるでしょ?今日は休んでていいよ』

 通信の向こう側で彼女は笑った。

『そうだ。仲間なんだから気にすんなよ』

 二人は少しばかり無理をしている様な気もするが、それは山本も変わらない。誰もが少し無理をしている。

 頼り合い、協力し合う。彼らの関係はそんなものになっている。いつの間にか信じて戦うことができる関係に変わっていた。

「……そうか、じゃあ頼んだ」

 疲れていたのも事実。今回は、山本は二人に護衛を任せる事にした。

 二人の話し合いの末に、今日、護衛として付いて行くのは松野に決まった。

『頼んだ、松野。次行く時は、俺が行くからな』

『分かったよ、じゃあ行ってくる』

 そうして通信が切れて、松野が乗り込んだ一機のリーゼが雨の中をゆっくりと進んでいく。すぐ近くにはあの二人がいるのだろう。

「……戻るか」

 彼女の乗り込んだリーゼの背中をしばらく見てから、船の方へと視線を移して、再び動き始める。

 山本が動かすと同時に、飯島もリーゼを動かす。すぐ目の前にある、巨大な船の上へと向かって歩いて行く。

 飯島と山本はリーゼから降りると急いで艦内へと入り、ヘッドギアを頭から外した。

「ふぅ……」

 かなりの疲労感が二人の体を襲う。

「ああ、疲れたな……」

 飯島は息を吐きながら呟いた。

 飯島は精神的な痛みは慣れてきたのか、初めての時ほどの辛さはなくなりつつあった。それでも、リーゼを動かすことによる肉体への負荷は変わらず、身体の節々が痛む。

 ゆっくりとリーゼ搭乗者に与えられた待機室に向かい、歩き始める。

「松野、大丈夫なのか……?」

 山本が飯島に尋ねれば、飯島は山本の隣を歩きながら答える。

「大丈夫だろ……」

 自分にも言い聞かせる様な声だった。山本も気にし過ぎてはダメだと考えてか、それ以上のことは何も言わなかった。

 何故だか、気持ちがモヤモヤする。

 降り頻る雨がどこか、彼らの心を曇らせてしまっていたのかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ